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設立サポートに付く顧問契約の条件を確かめる|月額・最低契約期間・解約・業務の範囲

公開 約11分(6,465字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

設立サポートに付く顧問契約の条件を確かめる|月額・最低契約期間・解約・業務の範囲

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 会社設立の設立サポートを無料にする案内を見ていて、条件として示されている顧問契約の中身を、契約の前に確かめておきたい方。
  • 顧問契約という言葉は聞いたことがあるものの、月額に何が含まれていて、どこからが別料金なのかが分からない方。
  • この記事では、特定の事務所の料金やプランの中身は扱いません。どの依頼先に対しても同じように使える、契約書と見積書のどこを見るかという話だけを書きます。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

設立の依頼と顧問契約は、別々の契約として見る

会社設立の依頼と顧問契約が別の契約であることを表したイラスト
同じ相手でも、契約としては二本立てです。

最初に整理しておきたいことがあります。会社設立を依頼する契約と、設立後の顧問契約は、同じ相手と結ぶ場合でも別の契約だということです。前者は一度きりの仕事、後者は毎月続く仕事です。求められるものも、金額の決まり方も、関わる専門家の顔ぶれも違います。

会社設立の依頼と設立後の顧問契約の違いを並べた対比図

設立サポートを無料にする案内では、この二つが組みになって示されていることがあります。会社設立の部分の報酬を0円にする代わりに、設立後の顧問契約を結ぶ、という組み立てです。無料と書かれているときは、同じ画面のどこかに条件が示されているはずですので、まずそこを探してください。

もうひとつ、契約が分かれているということは、依頼する相手も分けられるということです。会社設立の登記だけを司法書士に依頼し、設立後の顧問は別の税理士に頼む。あるいは会社設立の一切を税理士事務所の窓口にまとめて、そのまま顧問も続ける。どちらもよくある形で、優劣はありません。会社設立の依頼先を探す段階で、この二つの契約を頭の中で分けておくと、案内の読み方が変わってきます。

前提として、0円と案内されている部分がどこなのかも押さえておいてください。一般に0円になるのは、案内を出している事務所自身の設立サポートの報酬です。登録免許税や定款認証の手数料といった実費は法律と政令で額が決まっており、誰に依頼しても、自分で手続きしても同じですから0円にはなりません。登記を担当する司法書士の報酬も、0円の中に含まれるのか別に発生するのかは依頼先によって違います。そのうえで、顧問契約の月額まで含めた総額で比べる、という順序になります。

顧問契約を結ばずに会社設立だけを依頼することもできます

設立の依頼と顧問をセットにしなければならない決まりはありません。会社設立だけを依頼して、顧問は付けないという選び方も、後から別の税理士に頼むという選び方もできます。どれが良いという話ではなく、記帳と申告を自分でやるつもりがあるかどうかで変わります。

出典税理士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2条1項が業務(1号税務代理・2号税務書類の作成・3号税務相談)、3条1項4号が公認会計士の資格、51条が弁護士の通知、52条が業務の制限、59条1項が罰則(2年以下の拘禁刑又は1…

月額に何が含まれているのか、作業の名前で確かめる

顧問契約の月額に含まれる業務を確かめることを表したイラスト
作業の名前で聞くと、範囲がはっきりします。

顧問契約でいちばん確かめておきたいのが、月額に何が含まれているかです。ここが違えば金額が違うのは当然ですから、金額だけを並べても比べたことになりません。会社設立の依頼先を選ぶ段階から、専門家にこの点を聞いておく価値があります。

顧問契約の月額に含まれる業務と別料金になる業務の扱いを整理した表

会社設立を依頼する段階では、設立後のことまで頭が回らないのが普通です。それでも、条件として顧問契約が示されているのなら、会社設立の見積もりを見る時点で月額の中身も一緒に見ておくほうが、あとで数え直さずに済みます。

表のうち、上の六つは事務所によって分かれるところです。とくに記帳をどちらがやるのかは金額に直結します。こちらが会計ソフトに入力して確認だけを頼む形と、領収書を渡して全部お願いする形とでは、手間がまったく違うからです。

  • 記帳は誰がやるか自分で入力するのか、任せるのか。任せる場合、資料をどう渡すのか(郵送、預かり、電子データ)まで決まっていると迷いません。
  • 決算と申告は月額に入るか月額とは別に決算料が設定されていることがあります。1年で見るときはここを足して考えます。
  • 連絡の手段と回数訪問の頻度、電話や電子メールでの相談の回数に上限があるか。
  • 会社設立の直後にやることは含まれるか法人設立届出書や青色申告の承認申請書などの届出を、顧問契約の中でやってもらえるのか。

出典税理士に相談する(日本税理士会連合会)

税理士の業務ではないものは、そもそも月額に入りません

資格によって扱える業務が分かれることを表したイラスト
社会保険は社労士、登記は司法書士。顧問契約の外です。

顧問契約の範囲を考えるときに、忘れられがちな線があります。税理士の業務ではないものは、そもそも税理士の顧問契約には入れられないということです。会社設立の場面でよく問題になるのは、社会保険の手続きと登記です。

顧問契約に入れられる業務と入れられない業務を決めている条文を並べたカード

ですから「社会保険もまとめてお願いできますか」と聞いたときの答えは、「提携している社会保険労務士が担当します」という形になるのが通常です。そして、この専門家との契約は税理士の顧問契約とは別に発生します。ここを勘定に入れておかないと、1年で見た総額がずれます。

法人は代表者ひとりでも社会保険の対象です

「従業員がいないから社会保険は関係ない」とはなりません。法人は代表者ひとりであっても健康保険と厚生年金保険の適用事業所になり、年金事務所への新規適用の届出が要ります。会社設立のあとに必ず出てくる手続きなので、誰に頼むのかを最初に決めておくとあとが楽です。

登記も同じです。役員が変わったとき、本店を移したとき、資本金を増やしたときには変更の登記が必要になり、これは司法書士(と弁護士)の分野です。会社設立のときに登記を担当してもらった専門家に、その後も頼めるかどうかを聞いておくと、会社設立の後の動きが読みやすくなります。設立の段階で、どの専門家がどこを担当したのかを控えておくと迷いません。

出典社会保険労務士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2条1項1号が申請書等の作成、1号の2が提出手続の代行、1号の3が事務代理、2号が帳簿書類の作成。27条が業務の制限。

最低契約期間は、いつから何か月なのか

最低契約期間の起算日と長さを確かめることを表したイラスト
いつから、何か月か。両方をたずねます。

設立サポートを無料にする案内では、顧問契約に最低の契約期間が設けられていることがあります。会社設立の部分で受け取らなかった分を、続く契約の中でまかなう組み立てになっているためで、これ自体はおかしなことではありません。確かめておきたいのは、その期間の中身です。

  • いつから数えるのか契約書を交わした日か、会社の設立登記が完了した日か、顧問業務が始まった月か。起算日が違うと、終わりの時期も変わります。
  • 何か月なのか1年(12か月)という区切りが使われることがあります。決算期をまたぐかどうかも見ておきたいところです。
  • 自動で更新されるのか期間が終わったあと、何もしなければ同じ条件で続くのか、そこで一度切れるのか。
  • 更新のときに金額は変わるのか初年度だけの金額なのか、以後も同じなのか。

最低契約期間という言葉が契約書に出てこないこともあります。その場合でも、解約についての条項に「契約は1年とし、以後は自動更新とする」といった書き方で同じことが定められていることがあります。言葉を探すのではなく、期間と更新について書かれた条項を探してください。会社設立の依頼を受けた事務所であれば、どの条項がそれに当たるかをすぐに示してくれるはずです。

ここは口頭の説明だけで進めないほうがよいところです。「だいたい1年くらい」という説明と、契約書に書かれた条項がずれていることは起こりえます。契約書の該当する条文を専門家に指してもらって、その場で読むのがいちばん確実です。

顧問料に、公的に定められた基準はありません

かつて税理士には報酬の規程がありましたが廃止されており、いまは各事務所が自由に決めています。司法書士や行政書士のような、会社設立の報酬についての全国統計も税理士にはありません。日本税理士会連合会は税理士実態調査を公表していますが、これは業界の実態を調べたもので、個々の見積もりが高いか安いかを測る物差しではありません。金額の妥当性は、範囲をそろえた複数の見積もりで見るほかありません。

なお、最低契約期間があること自体は、依頼する側に不利とは限りません。続けて見てもらう前提があるから設立の部分を無料にできるわけで、期間の約束はその裏返しです。問題になるのは、期間があることを知らずに契約した場合だけです。

出典第7回税理士実態調査報告書 – 日本税理士会連合会(日本税理士会連合会) 令和6年4月実施、回答38,607件・回答率44.8%。顧問報酬・決算報酬の分布を各編PDFで公開

解約するとき、どうなるのか

解約の条件を契約前に確かめることを表したイラスト
やめ方まで含めて、契約の中身です。

契約を始めるときに終わり方の話をするのは気が引けるかもしれませんが、やめ方まで含めて契約の中身です。会社設立の依頼と違い、顧問契約は続くものですから、途中で事情が変わることもあります。

顧問契約を解約する場合に確かめる項目を分けて示した図
  • 申し出の期限と方法1か月前までに書面で、といった定めがあります。電子メールで足りるのかも確かめておくと安心です。
  • 途中で解約した場合の請求無料だった会社設立の分について、精算の取り決めがあるかどうか。あるなら、いくらになるのかまで
  • 預けた資料の返却帳簿、領収書、決算書の控え、電子データ。会社設立のときに渡した書類も含めて、返してもらえる範囲を決めておきます。
  • 切り替える時期決算期の途中で税理士を変えると、引き継ぎの手間が増えることがあります。

解約の話をすると心証を悪くするのではないか、と気にされる方もいます。ただ、会社設立からの付き合いを長く考えている専門家ほど、条件をはっきりさせておくことに前向きです。説明を求めたときの答え方そのものが、その依頼先を知る材料にもなります。

無料の表示には、条件の説明が添えられているはずです

値引きや無料の表示は、条件があるならそれを分かりやすく示すことが求められます。「0円」という文字の近くに条件が見当たらない場合は、こちらから聞いてください。聞いても書面が出てこないときは、その依頼先を選ばないという判断も含めて、落ち着いて考える場面だと思います。

出典景品表示法(消費者庁) 「最安」「No.1」などの表示を扱うときの根拠。

契約の前に、書面で確かめる項目

見積書と契約書で条件を確かめることを表したイラスト
金額は見積書に、条件は契約書に書かれています。

ここまでの内容を、契約の前に確かめる項目としてまとめます。会社設立の依頼と顧問契約をあわせて考えるときは、見積書と契約書の両方を見てください。見積書には金額が、契約書には条件が書かれています。

顧問契約を結ぶ前に書面で確かめる項目を並べたチェックリスト

この一覧を全部たずねるのは大げさに思えるかもしれません。ただ、専門家の側はどれも日常的に説明している内容です。会社設立の依頼を受ける事務所であれば、初回の面談で一通り説明されることも多いと思います。説明が一通りあったなら、それを書面でもらえるかと聞くだけで足ります。

条件がはっきりしている依頼先を選ぶ、という基準

当サイトは、どの依頼先が良いという順位付けをしません。代わりに置いている基準がこれです。聞いたことに答えが返ってきて、それが書面になるかどうか。会社設立という一度きりの手続きよりも、続く顧問契約のほうで効いてくる基準です。

出典会社設立費用が0円で依頼できる税理士の注意点(税理士コンシェルジュ) 0円モデルの構造を説明する補助として使う。個別事務所の推奨には使わない。

依頼先の資格を確かめる方法

会員検索で専門家の資格を確かめることを表したイラスト
登録の確認は、各団体の公式の検索で行います。

顧問契約を結ぶ相手が、登録された税理士かどうかは、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで確認できます。氏名や事務所の所在地から検索でき、登録の有無に加えて懲戒処分の有無まで確認できるのが特徴です。国税庁も、税理士を探すときの案内としてこのサイトを紹介しています。

  • 税理士
    日本税理士会連合会の税理士情報検索サイト。全国の税理士会・支部の一覧からもたどれます。
  • 司法書士
    日本司法書士会連合会の司法書士検索。会社設立の登記を担当する専門家を確かめるときに使います。
  • 行政書士
    日本行政書士会連合会の会員検索。定款の作成や許認可を依頼するときに。
  • 社会保険労務士
    連合会に全国横断の個人検索はありません。公式には各都道府県の社労士会の一覧が公開されており、そこからたどる形になります。
  • 会員検索は、依頼先を評価するものではありません。登録されているかどうかを確かめるだけのものです。それでも、会社設立という初めての依頼で、これから長く付き合う専門家の資格をこちらで確認できるのは心強いと思います。

    民間の検索サイトを公式と取り違えないように

    士業を探すための民間の検索サイトはたくさんありますが、それらは各団体の公式の名簿ではありません。とくに社会保険労務士については、検索の上位に民間団体のサイトが出てくることがあります。登録の確認は、各団体の公式のページで行ってください。

    出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。

    まとめ|四つの条件を、契約書の言葉で確かめる

    顧問契約の条件のまとめを表したイラスト
    月額・期間・解約・範囲。この四つを書面で。

    会社設立の設立サポートに付いてくる顧問契約について、確かめる点をまとめます。

    • 別の契約であること会社設立の依頼と顧問契約は、同じ相手でも別の契約です。片方だけを依頼することもできます。
    • 月額に含まれる範囲記帳、試算表、決算と申告、年末調整。作業の名前で聞くと範囲がはっきりします。
    • 最低の契約期間いつから数えて何か月か。自動で更新されるか。更新後の金額は変わるか。
    • 解約の条件申し出の期限と方法、途中で解約したときの精算、預けた資料の返却。
    • 税理士の業務外のもの社会保険は社会保険労務士、登記は司法書士の分野です。別の契約になります。
    • 金額の妥当性顧問料に公的な統計はありません。範囲をそろえた複数の見積もりで見るほかありません。
    • 総額で見る0円になるのは事務所自身の設立サポートの報酬までです。実費と司法書士の報酬、そして月額を足した総額で比べてください。

    会社設立の依頼先を選ぶときに、設立の部分だけを見て決めてしまうと、続く契約の条件があとから出てきます。設立と設立後を一続きのものとして見ておくと、判断がぶれにくくなります。逆に、設立と顧問を分けて別々の専門家に依頼するという選び方もできます。どちらが良いという話ではありません。

    この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。制度も各事務所の取り扱いも変わりますので、実際に契約されるときは、各セクションに添えた出典と、依頼先から受け取る書面でお確かめください。個別の契約内容の判断は、税理士に直接ご相談ください。

    出典0円で会社設立は現実的に不可能!実際の設立費用と資本金の目安解説(ハートランド税理士法人) 0円モデルの構造を説明する補助として使う。個別事務所の推奨には使わない。

    続く契約だからこそ、先に書面にしておく

    会社設立の手続きは一度きりですが、顧問契約は毎月続きます。続くものほど、始める前に条件をそろえておく意味があります。月額、最低契約期間、解約の申し出、含まれる業務の範囲。この四つが書面にあれば、あとで困ることはほとんどなくなります。

    条件を聞くのは、相手を疑うことではありません。専門家の側から見ても、範囲がはっきりしていたほうが仕事がしやすくなります。「これは月額に入りますか」と都度たずねる関係より、最初に線を引いておく関係のほうが、お互いに楽です。

    顧問料に公的な統計はありませんので、当サイトでは金額の目安を示していません。会社設立の依頼と顧問契約をあわせて考えるときは、複数の依頼先から見積もりを取り、同じ範囲でそろえて比べてください。個別の契約内容については、税理士に直接おたずねください。

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