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会社設立の依頼先は総額で比べる|「手数料0円」が向く場合と向かない場合の考え方

公開 約12分(7,038字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

会社設立の依頼先は総額で比べる|「手数料0円」が向く場合と向かない場合の考え方

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 会社設立の見積もりを複数取ってみたものの、金額の並びがそろっていなくて比べられないと感じている方。
  • 「設立手数料0円」の案内と、通常の報酬を提示する案内が並んでいて、どちらが自分に合うのかを判断したい方。
  • この記事では、費用の試算表や内訳表は作りません。当サイトは依頼先の種類と役割を解説する場所で、費用の細かい計算は扱っていないためです。書くのは、比べるときに何をそろえるかという考え方だけです。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

比べる単位を、設立の一点から期間に変える

設立の一点ではなく期間で費用を見ることを表したイラスト
1年、2年という区切りで見ると配分の違いが消えます。

会社設立の依頼先を金額で比べるとき、多くの方が最初にやるのは、見積書の合計欄を並べることだと思います。ところが会社設立の場合、この並べ方だと比べたことにならないことがよくあります。設立の時点で発生する金額と、そのあとに続く金額とが、依頼先によって違う配分になっているからです。

とくに「設立手数料0円」の案内は、設立の時点の金額を下げて、設立後の顧問契約で成り立たせる組み立てになっていることが多くなります。設立の一点で切り取ると、その配分の違いが見えません。

会社設立の前後でお金が発生する場面を順番に並べた図

比べる単位を期間に変えると、この配分の違いが見えるようになります。1年でいくらか。最低契約期間があるならその期間でいくらか。会社設立を依頼する目的が「設立後も安心して任せられる相手を見つけること」であるなら、2年で見るのも自然です。

会社設立という手続きは、多くの方にとって初めての買い物です。値段の見当がつかないところに、0円という分かりやすい数字が出てくると、そこに目が行くのは自然なことです。だからこそ、会社設立の依頼を決める前に、比べる単位だけは自分で決めておくとよいと思います。

同じ期間で見れば、配分の違いは消えます

設立の時点で報酬を受け取る形も、設立を無料にして月額で受け取る形も、事務所が受け取る合計はどこかでつじつまが合っています。依頼する側にとって大事なのは、その合計が自分の使い方に合っているかどうかです。前払いか、分けて払うか、という違いに近いと考えると分かりやすいと思います。

出典報酬額の統計(日本行政書士会連合会) 令和7年度報酬額統計調査(令和8年1月実施)。消費税を含み立替金は含まない。会社設立手続は回答者287/平均106,371円/最小7,000円/最大550,000円/最頻値110,…

総額に入れるもの、比較から外すもの

実費と報酬を分けて比較することを表したイラスト
実費は同じ額。比べるのは報酬の側だけです。

期間を決めたら、次はその中に何を入れるかです。ここで押さえておきたいのが、会社設立の費用は実費(法定費用)と報酬に分かれ、実費は誰に依頼しても、自分で手続きしても同じ額だということです。

会社設立の費用の項目ごとに、依頼先で変わるかどうかと発生する時期を整理した表
  • 登録免許税
    株式会社は資本金の額の0.7%で、15万円に満たないときは15万円。合同会社は同じく0.7%で、6万円に満たないときは6万円です。実費なので比較から外します。
  • 定款認証の手数料
    株式会社にだけ必要です。資本金の額等が100万円未満は3万円(3つの条件をすべて満たす場合は1万5,000円)、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円。合同会社に定款の認証は要りません。
  • 紙の定款の収入印紙
    紙で作る場合は4万円。電子定款なら不要です。専門家に依頼すると電子定款になるのが通常なので、ここは依頼の仕方によって差が出ます。
  • 報酬
    ここだけが依頼先によって変わります。比べるのはこの部分です。
  • 実費が同じであることは、会社設立の依頼を考えるうえで意外と大きな意味を持ちます。どの専門家に依頼しても、自分で手続きしても、国に納める分は変わらない。つまり依頼先選びで動かせるのは報酬の部分だけで、そこには上限も下限も決まりがありません。だから比べる意味があるとも言えます。

    つまり、比べるときにやることは「実費を外して、報酬だけを同じ期間で並べる」ことです。実費を含めたまま合計を並べると、同じ金額が両方に入っているだけで、差の見え方がぼやけます。

    出典登録免許税法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 別表第一 第24号(一)イが株式会社の設立登記(資本金の額の1000分の7、15万円に満たないときは15万円)、ハが合同会社(同、6万円に満たないときは6万円)。

    範囲がそろっているかを、作業の名前で確かめる

    見積書の作業の範囲をそろえることを表したイラスト
    作業の名前で並べ直すと、そろっていない部分が見えます。

    期間と実費をそろえても、まだ足りません。見積書に書かれている作業の範囲がそろっていないことが多いからです。「設立一式」という一行だけの見積書と、作業ごとに分けて書かれた見積書を並べても、比べようがありません。

    見積書で実費と報酬が分かれているかどうかで確認する内容が変わることを示した図
    • 定款の作成と認証誰が作るのか。電子定款か紙か。認証の手続きに同行するのか。
    • 設立登記の申請誰が代理するのか。登記を代理できるのは司法書士と弁護士だけです。その報酬が含まれているかどうか。
    • 設立後の税務の届出法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書。都道府県と市区町村への届出まで入るかも見ます。
    • 社会保険の届出税理士の業務ではありません。社会保険労務士に別で依頼する形になります。入っていないのが通常です。
    • 設立後の顧問月額の中身。決算と申告が別料金かどうか。

    会社設立の見積書には、事務所ごとの言葉づかいの癖が出ます。「設立一式」「設立サポート」「創業支援」。どれも中身は事務所によって違いますから、言葉ではなく作業で置き換えるのがこの作業の要点です。分からない項目があれば、その場で専門家にたずねてください。

    この五つを両方の見積もりについて書き出すと、そろっていない部分が見えます。そろっていない部分は、片方に足すか、両方から引くかして、同じ形にしてから金額を並べます。

    出典会社設立で代行できる手続きとは?専門家に依頼するメリット・デメリットと選び方(freee) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

    0円の案内が向きやすい場合と、そうでない場合

    顧問を付けるかどうかで依頼の形が変わることを表したイラスト
    設立後をどうするかで、向き不向きが決まります。

    そろえて並べたうえで、では0円の案内はどういう人に向くのか。設立後の顧問を付けるつもりがあるかどうかで、ほぼ決まります。もともと記帳と申告を任せるつもりでいるなら、条件として示される顧問契約は、追加の負担ではなく予定していた費用だからです。

    設立後の顧問を付けるつもりがあるかどうかで会社設立の依頼の見え方が変わることを比べた図

    注意しておきたいのは、「顧問は付けないが設立サポートは無料にしてほしい」という組み合わせは通らないことです。無料になっている分は、続く契約の中でまかなわれているからです。条件を外して良いところだけを取ることはできません。

    会社設立の相談を始める時点では、設立後をどうするか決まっていない方も多いと思います。その場合は、決まっていないと伝えたうえで両方の見積もりをもらうのがよいと思います。顧問を付ける場合と付けない場合で、会社設立の依頼の金額がどう変わるのかが見えます。

    そして、顧問契約が条件になっているなら、月額と最低契約期間、解約の条件まで確かめたうえで総額を出してください。最低契約期間があるなら、その期間が比べる単位になります。期間の途中で解約したときに、無料だった会社設立の分の精算があるのかどうかも、総額の見え方を変えます。

    顧問を付けないという選び方も、まったく普通です

    設立後の記帳と申告を自分で行う方はたくさんいます。会計ソフトを使って自分で処理し、必要になった時点で税理士に相談するという進め方もできます。「顧問を付けないと危ない」という書き方を当サイトではしません。事業の規模と、経理にかけられる時間で決めてください。

    もうひとつ。設立の依頼先と設立後の顧問は、同じ相手でなくてもかまいません。会社設立の登記だけを司法書士に依頼して、顧問は後から別の税理士に頼む、という組み合わせもあります。総額で見るときは、この組み合わせも選択肢として並べてみてください。

    出典税理士に相談する(日本税理士会連合会)

    報酬の目安として使える、公表された数字

    公表されている報酬統計を目安として見ることを表したイラスト
    幅として見る数字です。線引きではありません。

    報酬が妥当かどうかを考えるとき、手がかりになる公表された数字は限られています。会社設立に関して使えるのは、行政書士と司法書士の全国団体が公表している二つの統計だけです。

    • 行政書士日本行政書士会連合会の報酬額統計調査(令和7年度、令和8年1月実施)に「会社設立手続」という項目があり、回答287件、平均106,371円、最頻値110,000円、最小7,000円、最大550,000円です。金額には消費税を含み、立替金は含みません。株式会社と合同会社を分けた項目はありません。
    • 司法書士日本司法書士会連合会の報酬に関するアンケート(2024年3月実施)。発起人2名、資本金の額500万円の株式会社の発起設立で、書類をすべて作成し、定款認証手続と登記申請の代理をした場合という設例に対し、有効回答932件、平均107,887円です。
    • 税理士公的な報酬統計はありません。かつての報酬規程は廃止されており、各事務所が自由に決めています。顧問料の相場を示す公的な数字は存在しないと考えてください。
    • 社会保険労務士会社設立の場面についての全国統計は、当サイトでは確認できていません。見積もりを取って確かめる形になります。

    この数字は「これより高いから駄目」という線ではありません。幅として見るためのものです。行政書士の統計では最小7,000円から最大550,000円まで開きがあり、依頼する範囲によって大きく変わることが読み取れます。

    「最安」といった表示は根拠を確かめてください

    会社設立の依頼先の案内で、価格について断定的な表示を見かけることがあります。表示に関する法律では、根拠のない優良性・有利性の表示が問題になります。当サイトは、どの依頼先がいちばん安いという言い方をしません。比べるのは、同じ範囲でそろえたうえでの金額と、条件のはっきりしているかどうかです。

    なお、自分で会社設立の手続きをすれば、報酬の部分は発生しません。本人申請は合法で、法務局は申請書の様式と記載例を公開しています。総額を考えるときは、この選択肢も並べたうえで、どこまでを専門家に任せるかを決めるのが自然です。ただし当サイトでは、自分で手続きする手順そのものは扱っていません。

    出典司法書士の報酬(日本司法書士会連合会) 2024年(令和6年)3月実施の報酬アンケート。会社設立登記の設例は発起人2名・資本金500万円の株式会社の発起設立で、定款認証手続と登記申請の代理を含む。有効回答932/平均10…

    「0円」の表示そのものを、どう読むか

    無料の表示に添えられた条件を読むことを表したイラスト
    条件の文を先に読んでから、金額を見ます。

    最後に、表示の読み方に触れておきます。無料や値引きの表示は、条件があるならそれを分かりやすく示すことが求められます。ですから、「0円」と書かれている画面には、条件の文がどこかにあるはずです。小さな字で書かれていることが多いので、探す習慣をつけておくと役に立ちます。

  • 「※登記の実費は別途」
    登録免許税などの実費は0円にできません。これが書いてあるのは当然のことで、隠しているわけではありません。
  • 「※顧問契約をご契約の場合」
    0円の条件が顧問契約であることを示しています。月額と最低契約期間を確かめる合図です。
  • 「※司法書士報酬は別」
    登記を担当する専門家の報酬が別に発生することを示しています。総額に足して考えます。
  • 「※所定の条件を満たす場合」
    条件の中身が書かれていない場合は、そのまま聞いてください。答えられない条件というものは通常ありません。
  • 会社設立の依頼先の広告には、価格のほかにも「最短」「即日」といった言葉が並ぶことがあります。こうした言葉も、条件とセットで読むものです。何をもって最短なのか、どういう場合にそうなるのかを確かめれば、比べられる情報になります。

    条件を確かめるのは、依頼先を疑うためではありません。依頼する範囲をそろえるためです。専門家の側にとっても、範囲がはっきりしていたほうが後の行き違いが減ります。聞かれて困るような質問ではないので、遠慮せずに確かめてください。

    当サイトが順位を付けない理由

    会社設立の依頼先は、対応の範囲も、続く契約の条件も、事務所ごとに違います。同じ物差しで並べられないものに順位を付けても、読む方の役に立ちません。当サイトが書いているのは、依頼先の種類と法律上の役割、そして自分で確かめるための項目までです。特定の事務所やサービスの比較・順位付け・口コミの評価は扱っていません。

    出典景品表示法(消費者庁) 「最安」「No.1」などの表示を扱うときの根拠。

    総額を確かめるときの、実際の進め方

    見積もりをそろえて比べる進め方を表したイラスト
    そろえてから並べる。順番はこれだけです。

    ここまでの内容を、実際に見積もりを比べるときの進め方としてまとめます。会社設立の依頼先が二つ三つに絞れてきたら、次の順で手を動かしてみてください。

    1. 期間を決める。1年か2年か。最低契約期間があるなら、その期間に合わせるのが自然です。
    2. 実費を外す。登録免許税と定款認証の手数料は、どの依頼先でも同じ額です。比較から外します。
    3. 作業を書き出す。定款、登記、税務の届出、社会保険、設立後の顧問。それぞれ、含まれているかどうかを書きます。
    4. 足りない作業を補う。片方にだけ含まれている作業は、もう片方に足した金額で考えます。
    5. そのうえで並べる。ここではじめて、比べられる形になります。

    この作業をすると、金額の差が思ったより小さいことも、逆に大きいことも分かります。どちらにしても、そろえる前の数字で決めてしまうより、ずっと納得のいく判断ができます。

    金額以外の判断材料も、同時に見えてきます

    作業を書き出す過程で、返事の早さ、説明の分かりやすさ、書面を出してくれるかどうかといった点が見えてきます。会社設立の依頼は一度きりですが、顧問契約は続きます。続く関係を考えるなら、金額だけで決めないほうが結果的に良いことが多いと思います。

    当サイトでは、費用の内訳表やシミュレーションは作りません。会社の形、資本金の額、依頼する範囲によって金額が変わるため、一般化した表がかえって誤解を生むからです。ここに書いたのは、自分の見積もりを自分でそろえるための考え方です。

    出典会社設立代行とは|必ず知っておきたい6つの基礎知識(GMOあおぞらネット銀行) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。

    まとめ|そろえてから並べれば、判断できます

    総額で比べる考え方のまとめを表したイラスト
    期間・範囲・実費。三つをそろえてから並べます。

    会社設立の依頼先を総額で比べる話を、短くまとめます。

    • 設立の一点で比べない0円の案内は設立後の顧問契約と組みになっていることが多く、設立時だけを見ると配分の違いが見えません。
    • 期間をそろえる1年か2年か。最低契約期間があるなら、その期間に合わせます。
    • 範囲をそろえる定款、登記、税務の届出、社会保険、顧問。作業の名前で書き出して、そろっていない部分を補います。
    • 実費は比較から外す登録免許税と定款認証の手数料は、誰に依頼しても、自分で手続きしても同じ額です。
    • 0円が向くかどうか設立後の顧問を付けるつもりがあるかどうかでほぼ決まります。付けないつもりなら、設立だけを依頼する形が合うこともあります。
    • 条件は書面で確かめる0円になるのは誰のどの報酬か。月額、最低契約期間、解約の条件。総額はこれらを足して出します。
    • 報酬の目安公表された統計は行政書士と司法書士の二つだけ。税理士には公的な報酬統計がありません。

    会社設立は、多くの方にとって一度きりの手続きです。だからこそ比べ方が分からず、目に入った数字で決めてしまいがちになります。ここに書いた三つのそろえ方は、慣れれば十分ほどでできる作業です。依頼する前に一度やっておくと、後から迷いにくくなります。

    この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。制度も統計も更新されますので、実際に判断されるときは各セクションに添えた出典で最新の内容をご確認ください。個別の見積もりの妥当性については、税理士・司法書士といった各分野の専門家に直接ご相談ください。

    出典会社設立費用が0円で依頼できる税理士の注意点(税理士コンシェルジュ) 0円モデルの構造を説明する補助として使う。個別事務所の推奨には使わない。

    そろえてから並べる。これだけです

    会社設立の依頼先を比べるとき、やることは単純です。期間をそろえる。範囲をそろえる。実費は外す。この三つをやってから金額を並べれば、比べられる形になります。逆に、そろえないまま並べた数字は、どちらが高いのかさえ分かりません。

    そのうえで、0円の案内が向くか向かないかは、設立後の顧問を付けるつもりがあるかどうかでほぼ決まります。付けるつもりなら無理のない選択になりますし、当面は自分で記帳するつもりなら、設立の部分だけを依頼する形のほうが合うこともあります。どちらが正しいという話ではありません。

    会社設立を自分で手続きするのも、合法で現実的な選択肢です。専門家に依頼するのは、その手間と時間を報酬に換えているということです。総額を見て、自分にとってどこまで換える価値があるかを決めてください。個別の見積もりについては、依頼先の専門家に直接おたずねください。

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