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会社設立の依頼は、どれくらいの期間がかかるのか|日数を断定せず、前提の置き方だけを整理します

公開 約11分(6,565字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

会社設立の依頼は、どれくらいの期間がかかるのか|日数を断定せず、前提の置き方だけを整理します

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 会社設立を依頼したらどれくらいで会社ができるのかを知りたくて調べたところ、「最短1日」「2週間」「1か月」とばらばらの日数が出てきて、どれを信じればいいのか分からなくなった方。
  • 取引先との契約や許認可の申請の関係で、設立の日を動かせない事情があり、日程を逆算して組みたい方。
  • 先にお断りしておきます。この記事では「◯日で会社設立できます」とは書きません。日数は前提で変わりますし、当サイトでは確認できない数字を書かない方針だからです。書くのは、何が期間を左右するのかと、公表されている運用とその条件、そして依頼先と法務局に何を確認すればよいかの三つです。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

先にお断りします。「何日で設立できる」とは書けません

会社設立の期間を断定できない理由を表したイラスト
日数はいくつもの前提の上にあります。前提から見ていきます。

会社設立にかかる期間を調べると、いろいろな日数が出てきます。会社設立の解説記事ごとに数字が違うのは、よくあることです。どれかが嘘だということではなく、それぞれ別の前提で書かれているというだけのことが多いのです。前提を外して数字だけを持ってくると、日程を組むときに合わなくなります。

当サイトでは、確認できない数字は書きません。ですので、この記事に出てくる会社設立の日数は公的機関が条件つきで公表しているものに限られます。それ以外の「およそ何日」は、依頼先の専門家に聞いてください。

「最短◯日」という言い方に気をつけてください

「最短」と書かれているものは、すべての条件が最良にそろった場合の日数です。書類が一発でそろい、補正が出ず、関係者全員がすぐ署名でき、混み合う時期でもない、という前提です。実際の会社設立でそこまでそろうことは、そう多くありません。会社設立の日程は最短ではなく、余裕を見て組んでください。

もうひとつ。会社設立の期間には、依頼する側が動く時間が含まれます。決めることを決め、印鑑証明書をそろえ、書類に署名して返す。この部分は専門家に代わってもらえないので、依頼先が速くても、ここが止まれば全体が止まります。

  • 専門家が動く時間
    定款の作成、認証の手配、登記申請書類の作成と申請。ここは依頼先の段取りしだいです。
  • 役所が動く時間
    公証人の認証、法務局の審査。ここは依頼しても短くなりません。混み具合と管轄で変わります。
  • 依頼する側が動く時間
    決めること、書類をそろえること、署名か押印をすること。ここが遅れると全体が後ろにずれます。
  • やり取りにかかる時間
    郵便の往復、確認の連絡。電子でやり取りできるかどうかで変わります。
  • 出典よくあるご質問等<商業・法人登記関係 – 法務局(法務局)

    期間を左右する五つの前提

    期間を左右する五つの前提を表したイラスト
    この五つを決めてから、日数を聞いてください。

    会社設立にかかる期間を大きく動かすのは、次の五つです。会社設立の日程を組むときの土台になる部分です。日数を人に聞くときも、この五つを添えて聞くと答えが具体的になります。

    会社設立の期間を左右する五つの前提が、どの段に効いてくるかを示した表
    • 会社の形株式会社か合同会社かで、工程の数そのものが変わります。合同会社には定款認証がありません。
    • 定款認証の要否株式会社では公証人の認証が要ります。公証役場の予約が取れるかどうかが日程に効きます。
    • 書類のそろい方印鑑証明書、就任承諾書、払込みを証する書面。関係者が多いほど、そろうまでに時間がかかります。
    • 時期法務省は公表している処理の運用について「登記申請件数の多い時期を除き」と断っています。混む時期があるということです。
    • 管轄の法務局登記を申請するのは本店の所在地を管轄する法務局です。混み具合は一律ではありません。
    この五つは、会社設立の依頼先を選ぶ話とは別です

    五つのうち、依頼先を変えても動かせないのは「役所が動く時間」の部分です。どの専門家に依頼しても、法務局の審査が短くなるわけではありません。依頼で変わるのは、書類がそろうまでの段取りと、補正が出にくくなる確からしさのほうです。

    出典株式会社の設立手続き(中小企業基盤整備機構 J-Net21)

    株式会社と合同会社で、工程の数が違います

    株式会社と合同会社で工程の数が違うことを表したイラスト
    合同会社には定款認証がありません。工程が一つ減ります。

    五つの前提のうち、会社設立でいちばん分かりやすいのが会社の形です。株式会社には定款認証があり、合同会社にはありません。会社法30条が認証を求めているのは26条1項の定款、つまり株式会社の発起人がつくる定款です。持分会社については575条が定款の作成を定めるだけで、認証を求める規定がありません。

    株式会社と合同会社で会社設立の日程に効いてくる違いを比べた図

    ただし、合同会社のほうが速いから合同会社にする、という決め方はおすすめしません。会社の形は、あとから変えるのに手続きが要ります。会社設立の日程は理由のひとつにはなりますが、それだけで決めるものではありません。

    テレビ電話の認証で、移動の時間は減りました

    日本公証人連合会は、テレビ電話を利用すれば公証役場に出向かなくても電子定款の面前確認ができると案内しています。予約制で、顔写真付きの公的な身分証明書が要ります。移動の時間はなくなりますが、公証人の管轄が広がるわけではありません。認証をするのは、あくまで本店の所在地を管轄する法務局に所属する公証人です。

    出典9-4 定款認証(日本公証人連合会) 拡張子・末尾スラッシュなしが実効URL。

    公表されている運用その一|設立登記のファストトラック化

    設立登記のファストトラック化を表したイラスト
    対象・起算日・除外。条件とセットで読んでください。

    ここからは、会社設立の登記について公的機関が条件つきで公表している運用を二つ紹介します。ひとつ目が設立登記のファストトラック化です。会社設立の登記を優先して処理する取り扱いのことです。

    法務省の公表によると、平成30年3月12日から、株式会社および合同会社の設立登記についてファストトラック化が開始されています。完了の目安は、申請の受付日の翌日(オンライン申請において別送書類がある場合には書面の全部が登記所に到達した日の翌日)から起算して3執務日目までとされています。

    条件を外して読まないでください

    この運用には「なお、登記申請件数の多い時期等を除きます」という但し書きが付いています。数え方も「執務日」であって暦の日ではありません。土日祝日は入りません。さらに、書類に不備があって補正になれば、その分だけ後ろにずれます。「3日でできる」と単純化しないでください。

  • 対象
    株式会社および合同会社の設立登記。
  • 起算日
    申請の受付日の翌日。オンライン申請で別送書類がある場合は、書面の全部が登記所に到達した日の翌日。
  • 目安
    起算日から3執務日目までに完了。執務日は法務局が業務を行う日です。
  • 除外
    登記申請件数の多い時期等は除かれます。
  • 確かめ先
    実際の見込みは、本店の所在地を管轄する法務局にご確認ください。
  • 依頼する側から見ると、この運用は「登記を申請したあと」の話です。会社設立の申請までにかかる時間はここに含まれません。定款をつくり、認証を受け、書類をそろえて署名するまでの時間は別に見込んでください。会社設立の期間の話でいちばん混ざりやすいのが、この二つです。

    出典法務省:平成30年3月12日から,会社の設立登記のファストトラック化を開始します。(法務省) 株式会社・合同会社の設立登記を原則3執務日以内に完了させる取扱いの告知

    公表されている運用その二|完全オンライン申請の24時間以内処理

    完全オンライン申請の四つの条件を表したイラスト
    四つの条件をすべて満たすことが前提です。

    ふたつ目が、完全オンライン申請による法人設立登記の24時間以内処理です。法務省は令和2年3月17日から、一定の条件を満たすオンライン申請を対象に、この運用を行っていると公表しています。

    対象になるのは、オンラインによる株式会社および合同会社の設立登記の申請のうち、次の四つの条件をすべて満たすものです。

    1. 役員等が5人以内であること。株式会社の場合は設立時取締役・設立時会計参与・設立時監査役・設立時会計監査人といった設立時役員等が5人以内、合同会社の場合は業務執行社員が5人以内です。
    2. 添付書面情報(定款、発起人の同意書、就任承諾書等)がすべて電磁的記録により作成され、申請書情報とあわせて送信されていること。これが「完全オンライン申請」と呼ばれる部分です。オンライン申請であっても、添付書面を登記所に持参または送付する場合は対象になりません。
    3. 登録免許税の納付が収入印紙ではなく電子納付であること。電子納付が遅れると登記の完了が遅くなる可能性があるとされています。
    4. 補正がないこと。補正とは、申請の不備を登記官からの連絡にもとづいて事後的に是正することです。

    完了の時期については、登記申請件数の多い時期を除き、オンライン申請を受け付けた時点から起算して原則として24時間以内に登記を完了する、とされています。登記所は1日を「午前」「午後(1)」「午後(2)」の三つの時間帯に区分し、これを目安に処理を進めるとも案内されています。

    完全オンライン申請の24時間以内処理の対象になりそうかを判断する分岐図
    これも「申請したあと」の話です

    24時間以内というのは、受け付けた時点から起算した登記の処理の話です。定款をつくって認証を受け、書類をそろえるまでの時間は入っていません。会社設立の全体が24時間で終わるという意味ではないので、ここは分けて考えてください。

    出典完全オンライン申請による法人設立登記の24時間以内処理について(法務省)

    日程が延びやすいのは、この四つです

    会社設立の日程が延びやすい要因を表したイラスト
    補正・書類・人数・時期。余裕はこの四つのぶんです。

    会社設立の日程が思ったより延びるとき、原因はだいたい次の四つのどれかです。会社設立の準備を始める前に、目を通しておいてください。どれも、公表されている運用の前提を崩す方向に働きます。

    • 補正が出る申請の不備を、登記官からの連絡にもとづいて事後的に直すことです。補正があると24時間以内処理の対象から外れます。ここを減らせることが、慣れた専門家に依頼する実際的な利点のひとつです。
    • 書類がそろわない印鑑証明書には作成後3か月以内という決まりがあり、早く取りすぎても使えなくなることがあります。取りに行く時期は依頼先に確認してください。
    • 関係者が多い、または離れている発起人や役員が複数いると、署名や押印の往復が増えます。全員が電子署名を使える状態なら、この往復は減らせます。
    • 混み合う時期に重なる法務省が公表している運用は、いずれも「登記申請件数の多い時期を除き」という条件付きです。その時期がいつかは公表されていません。管轄の法務局に聞くのが確実です。

    法務省は、一人株式会社または一人合同会社であれば、公的個人認証サービスの電子証明書を取得することで、申請書情報とすべての添付書面情報に電子署名を付けられると案内しています。関係者がひとりであれば、日程は組みやすくなります。逆にいえば、人数が増えるほど日程は読みにくくなる、ということです。

    設立の日を動かせない事情があるなら、最初に伝えてください

    取引先との契約、許認可の申請、賃貸借契約など、会社設立の日を動かせない事情がある場合は、相談の最初にその事情を伝えてください。後出しになるほど選べる手が減ります。ただし、伝えたからといって法務局の審査が早くなるわけではありません。前倒しで準備を始める、という対応になります。

    出典法務省:一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!(法務省) 一人株式会社・一人合同会社は公的個人認証サービス電子証明書で全添付書面に電子署名でき、完全オンライン申請が可能

    登記が終わっても、まだ終わりではありません

    登記完了後にも期限のある届出が続くことを表したイラスト
    期限は設立の日から数えます。登記の完了日ではありません。

    会社設立の期間を考えるとき、登記の完了をゴールにしてしまうと、そのあとの期限を見落とします。会社設立は登記で終わりではありません。登記が終わってからの届出には、それぞれ別の期限があります。しかも起算日が「登記の完了日」ではありません。

  • 法人設立届出書
    設立の日以後2か月以内に、納税地の所轄税務署長へ。定款等の写しを添付します。都道府県と市町村にも同様の届出が要ります。
  • 青色申告の承認申請書
    設立初年度は、設立の日以後3か月を経過した日と初年度終了の日のうち早いほうの前日まで。期限を過ぎると初年度は青色申告ができません。
  • 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
    事実の発生から5日以内に年金事務所へ。法人は代表者ひとりでも対象になります。
  • 登記事項証明書の取得
    届出や口座の開設で使います。登記が完了してから取得できます。オンラインでの請求もできます。
  • 設立の日は、設立登記を申請した日です。登記の審査に日数がかかっても、期限の起算日は動きません。つまり、登記の完了を待っている間にも、届出の期限は進んでいます。会社設立の日程を組むときは、ここまで含めて見ておいてください。

    届出の担当は、登記とは別の専門家です

    税務の届出は税理士、社会保険は社会保険労務士の分野です。会社設立を依頼した事務所の範囲にこれらが入っているかどうかで、登記のあとの動き方が変わります。範囲の外なら、誰に頼むかを先に決めておくと、期限に追われずに済みます。

    出典C1-4 内国普通法人等の設立の届出(国税庁)

    まとめ|依頼先と、管轄の法務局に確認してください

    会社設立の期間についてのまとめを表したイラスト
    日数ではなく、前提と確認先を持ち帰ってください。

    会社設立にかかる期間について、確認できることだけを並べてきました。最後に、会社設立の日程を組むときの要点をまとめます。

    • 日数は断定できない会社の形、定款認証の要否、書類のそろい方、時期、管轄の法務局。この五つで変わります。当サイトでは確認できない日数は書きません。
    • ファストトラック化株式会社と合同会社の設立登記について、申請の受付日の翌日から起算して3執務日目までに完了する運用です。登記申請件数の多い時期等は除かれます。
    • 24時間以内処理完全オンライン申請で、役員等5人以内・添付書面が全部電磁的記録・電子納付・補正なしの四つをすべて満たす場合の運用です。ひとつでも欠けると対象外です。
    • どちらも「申請したあと」の話定款をつくり、認証を受け、書類をそろえるまでの時間は含まれていません。
    • 延びる要因は四つ補正、書類のそろい方、関係者の人数と所在地、混み合う時期。
    • 登記のあとにも期限がある法人設立届出書は設立の日以後2か月以内。起算日は登記の完了日ではありません。

    会社設立を依頼するときは、「いつまでに設立したい」という希望を先に伝えて、その日程が現実的かどうかを専門家に判断してもらうのがいちばん確実です。日数を先に決めてしまうより、前提を伝えて答えをもらうほうが、結果的に早く進みます。

    登記の見込みは、管轄の法務局が確かです

    登記完了までの日数は、法務局や時期によって変わります。この記事に書いた運用も条件付きのものです。急ぐ事情がある場合は、依頼先の専門家に伝えたうえで、本店の所在地を管轄する法務局にご確認ください。法務局は登記手続案内という相談の窓口も設けています。

    制度も運用も変わります。この記事は2026年9月1日時点で確認した内容です。各セクションに添えた出典で最新の内容をご確認ください。個別の日程の可否については、当サイトでは判断していません。依頼先の専門家にご相談ください。

    出典商業・法人登記申請手続(法務局)

    日数ではなく、前提を確認してください

    会社設立の期間について確かなことを言えるのは、あなたの事情を聞いた依頼先の専門家と、実際に登記を審査する管轄の法務局だけです。記事に書かれた日数は、どれも何らかの前提の上に成り立っています。前提が違えば結果も変わります。

    日程を組むときは、まずこの記事の五つの前提を自分の場合に当てはめてみてください。株式会社か合同会社か、定款認証が要るか、添付書面を全部電子にできるか、急ぐ時期に重なっていないか、本店の所在地はどこか。この五つが決まると、依頼先に聞いたときの答えがぐっと具体的になります。

    そのうえで、余裕を持たせておくことをおすすめします。書類の不備で補正が出れば、公表されている運用の対象からも外れます。登記完了までの日数は、法務局や時期によって変わります。急ぐ事情がある場合は、依頼先の専門家に伝えたうえで、管轄の法務局にもご確認ください。

    この記事は、依頼先を考えるのに役に立ちましたか。

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