会社設立の依頼先|資格は名簿で確かめられます。相性は進め方の好みで見ます
この記事は、こういう方に向けて書いています
- 会社設立の依頼先の候補がいくつか出てきて、最後の決め手が見つからないという方。
- 紹介された事務所について、本当に登録された資格者なのかを自分で確かめたい方。
- この記事では、特定の事務所やサービスに順位を付けることはしません。分けて書いているのは、名簿で確かめられる事実と、進め方の好みという相性の二つです。どちらも、どの依頼先を選ぶ場合にも同じように使える見方です。
- 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。
資格の確認は、氏名か事務所名が分かればできます

会社設立の依頼先について、登録された資格者かどうかは自分で確かめられます。各士業の全国団体が会員の検索を公開していて、どれも無料で使えます。担当する方の氏名か、事務所の名称が分かれば足ります。
会社設立の依頼で「登記も含めてまとめて」と案内されている場合、登記を担当する司法書士の氏名を聞いておけば、そのまま検索で確かめられます。事務所内の司法書士でも、提携先の司法書士でも構いません。確かめているのは、担当する資格者がいるかどうかという一点だけです。
検索の手順そのものは難しくありません。氏名や事務所の所在地を入れて探すだけで、数分あれば終わります。会社設立を依頼する前に一度確かめておけば、あとは同じ手順で、設立後に依頼する専門家についても同じように確かめられます。
会員検索は、どの専門家を選ぶ場合にも共通して使える確認の手段です。載っていることが良し悪しを示すものでもありません。当サイトは特定の事務所やサービスを比較したり、順位を付けたりはしていません。並べているのは、依頼する側が自分で確かめられる方法までです。
出典司法書士検索(日本司法書士会連合会) 旧ドメイン kensaku.shiho-shoshi.or.jp は証明書のホスト名不一致で使えない。
名簿で分かること、分からないこと

会員検索で確かめられるのは、登録されているという事実です。それ以上のことは、たいてい載っていません。何が分かって何が分からないのかを、先に整理しておきます。
- 分かること|登録の有無その氏名の資格者が、いま登録されているかどうか。会社設立の依頼で確かめたいのは、まずここです。
- 分かること|所属と事務所どの都道府県の会に所属しているか、事務所の名称と所在地。連絡先が載っていることもあります。
- 分かること|処分の情報税理士情報検索サイトでは、懲戒処分の有無まで確認できます。団体によって公開の範囲は異なります。
- 分からないこと|仕事の中身会社設立をどれくらい扱っているか、説明が分かりやすいか、連絡が取りやすいか。ここは名簿には載りません。
つまり、名簿で確かめられるのは入口の部分だけです。その先は、会って確かめるしかありません。この記事の後半で書いている相性の話は、名簿では埋まらない部分を、どう見るかという話になります。
会社設立をどれくらい扱っているかを知りたい場合は、そのまま尋ねるのが早いです。年間にどれくらいの会社設立を扱っているか、株式会社と合同会社のどちらが多いか。数字で答えられる質問なので、面談のときに聞いてみてください。
司法書士法人、行政書士法人、税理士法人といった法人格の事務所もあります。この場合、法人としての登録と、所属する資格者個人の登録は別です。検索するときは、事務所名と担当者の氏名の両方で見てみてください。どちらの形でも、依頼できることに違いはありません。
出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。
資格ごとに、業として行えることが決まっています

資格を確かめる意味は、その資格でなければ業として行えない仕事があるという点にあります。会社設立の場面で関わる条文を並べておきます。

この一覧は、依頼先を疑うために使うものではありません。資格の名前と扱える仕事が結びついていることを確かめるためのものです。会社設立を「まとめて」引き受けている依頼先は、事務所の中か提携で分担しています。この形そのものに問題はありません。
2025年6月1日から、刑法の改正にともなって「懲役」は「拘禁刑」に置き換わりました。いまも「1年以下の懲役」と書いてある記事は、それ以前の条文をそのまま写しています。条文を引くときは、確認した日付とあわせて見てください。
なお、会社設立の手続きをご自身で行うことは、どの資格がなくてもできます。ここで書いている制限は、報酬をもらって業として代わりに行う場合の話です。本人申請は合法で、現実的な選択肢のひとつです。
出典行政書士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2026年5月21日施行の改正で条がずれた。現行は1条の3が業務、1条の4が代理等、1条の2は職責。19条1項違反の罰則は21条の2(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)。
検索で見つからないときの進め方

会員検索で名前が出てこないことがあります。それだけで何かを決めつける必要はありません。表記の違いで引っかからないことも、そもそも検索している相手が資格者ではないこともあります。順番に確かめてみてください。

会社設立の窓口が資格者でないことは、それ自体では何の問題もありません。問い合わせの受付や、書類の準備の案内は、資格がなくても行えます。確かめておきたいのは、登記や定款の作成、税務の相談といった資格が要る部分を誰が担当するのかという点だけです。
当サイトでは、特定の事業者を名指しして違法だと述べることはしていません。書いているのは、こう案内された場合はこう確かめられるという見分け方の形です。各団体も、資格の確認方法を案内するページを公開しています。
出典ニセ司法書士にご用心(東京司法書士会)
相性は、優劣ではなく進め方の好みです

ここから相性の話に移ります。先に書いておくと、相性に良し悪しはありません。説明を細かくしてくれる専門家が合う方もいれば、要点だけ短くやり取りするほうが進めやすい方もいます。どちらが優れているということではなく、どちらが自分に合うかという話です。
会社設立の依頼は、契約から登記の完了まで何度かやり取りが挟まります。設立後の顧問契約まで続くなら、付き合いはさらに長くなります。やり取りの進め方が自分に合っているかどうかは、そのまま進めやすさになります。
- 説明の分量。細かく確かめたいのか、要点だけで足りるのか。
- こちらのペース。急いでいるのか、じっくり決めたいのか。
- 決め方。選択肢を並べてほしいのか、勧めてほしいのか。
- やり取りの手段。会って話したいのか、文字で残したいのか。
- 分からないことを聞きやすいかどうか。
会社設立の相談で扱うのは、商号や事業目的、資本金といった、事業の中身に関わることです。話しやすいと感じる相手のほうが、伝え忘れが減ります。相性を軽く見ないほうがよいのは、この点があるからです。
初回の相談を無料にしている事務所もあります。相談したからといって、その場で依頼を決める必要はありません。複数の専門家に同じ質問をしてみて、返ってくる説明の分かりやすさを見比べるのは、普通のことです。急かされて決めなければならない場面は、ほとんどありません。
出典会社設立は誰に頼む?司法書士・行政書士・税理士に依頼できること(マネーフォワード) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。
相性を見るときの手がかり

相性は感覚の話に見えますが、確かめる項目に分けておくと見やすくなります。会社設立の相談の場で、次のような点を見てみてください。

なかでも分かりやすい手がかりが、できないことをできないと言うかどうかです。会社設立ではひとつの資格で全部を引き受けることはできません。「登記は提携している司法書士が担当します」「社会保険は範囲外なので社会保険労務士をご紹介します」と説明があれば、範囲がはっきりします。
問い合わせへの返事が速いのは分かりやすい手がかりですが、それだけで決める材料にはなりません。繁忙期には遅くなることもあります。速さより、返事の内容がこちらの質問に答えているかどうかを見てください。
出典会社設立で代行できる手続きとは?専門家に依頼するメリット・デメリットと選び方(freee) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。
迷ったときに使える、中立の窓口

候補が絞れないときや、そもそも誰に頼むべきかから迷っているときは、公的な窓口で一般的な相談をするという手もあります。特定の事務所を勧める場ではないので、中立の立場で話を聞けます。
ここで注意しておきたいのは、公的な窓口では代理までは行わないという点です。一般的な案内や相談は受けられますが、書類の作成や提出を頼む段になったら、それぞれの専門家への依頼が必要になります。
公的な窓口は、会社設立の依頼先を決める前の整理にも使えます。何をどこまで頼みたいのかがはっきりしていない段階で話を聞いておくと、そのあとの問い合わせで伝える条件がそろいます。
「会社設立の登記にはどんな書類が要るのか」という一般的な案内は窓口で聞けます。一方、その書類を作ってもらう、代わりに申請してもらうとなると、司法書士(または弁護士)への依頼になります。この境目を知っておくと、窓口の使い方が分かりやすくなります。
出典よろず支援拠点全国本部(独立行政法人中小企業基盤整備機構) 全国のよろず支援拠点で無料の経営相談
まとめ|事実は名簿で、好みは会って確かめる

会社設立の依頼先について、資格の確認と相性の見方をまとめます。
- 資格は名簿で確かめられる各士業の全国団体が会員検索を公開しています。氏名か事務所名が分かれば、登録の有無を確かめられます。無料です。
- 名簿で分からないこともある仕事の進め方や説明の分かりやすさは載っていません。そこは会って確かめることになります。
- 資格ごとに業務の制限がある登記は司法書士(および弁護士)、定款は司法書士・行政書士、税務は税理士、社会保険は社会保険労務士。法律で分かれています。
- 見つからないときは、もう一段表記の違いのこともあります。「登記はどなたが担当されますか」と改めて尋ねれば足ります。
- 相性に優劣はない説明の分量、やり取りの手段、決め方の好み。合うかどうかの話です。
- 迷ったら中立の窓口へよろず支援拠点や商工会議所、各士業会の相談窓口が使えます。ただし代理はしてもらえません。
会社設立の依頼先を決める作業は、事務所の良し悪しを見抜くことではありません。確かめられることを確かめて、あとは自分に合う進め方を選ぶという作業です。当サイトが特定の事務所やサービスに順位を付けないのは、後半の部分に一般的な正解がないからでもあります。
それでも決めきれないときは
複数の専門家に、同じ条件で見積もりを頼んでみてください。同じ条件で聞けば、返ってくるものも比べられる形になります。それでも決まらないなら、会社設立の手続きをご自身で進めるという道も残っています。本人申請は合法で、法務局が申請書の様式と記載例を公開しています。判断が要るところだけ相談する、という組み立ても可能です。
制度も条文も改正されます。この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。個別の依頼の可否については当サイトでは判断していません。実際に判断されるときは、記事に添えた出典で最新の内容を確かめたうえで、司法書士・行政書士・税理士・社会保険労務士・弁護士といった専門家に直接ご相談ください。
出典弁護士情報検索(日本弁護士連合会) 全登録弁護士が対象。ひまわりサーチ(bengoshikai.jp)は任意登録制なので性質が違う。
確かめられることと、好みの話を分けてください
会社設立の依頼先を選ぶとき、確かめられることと、好みの話は分けて考えられます。登録されているかどうかは名簿で確かめられる事実です。説明が分かりやすいか、連絡が取りやすいか、進め方が自分に合うかは、事実というより好みの話です。前者は数分で終わりますし、後者は一度会えばだいたい分かります。
そして、相性に良し悪しはありません。じっくり説明してもらいたい方もいれば、要点だけ短くやり取りしたい方もいます。どちらが優れた専門家ということではなく、どちらが自分に合うかという話です。当サイトが順位を付けないのは、そこに一般的な正解がないからでもあります。
会社設立は多くの方にとって一度きりの手続きですが、依頼先を選ぶために使える手段は公開されています。各団体の会員検索は無料で使えますし、公的な相談窓口もあります。迷ったら、複数の専門家に会って同じ質問をしてみてください。制度も改正されますので、実際に判断されるときは記事に添えた出典で最新の内容をご確認ください。
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