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会社設立で行政書士と司法書士の両方に関わってもらうとき|分担の決め方と、報酬が二重にならない理由

公開 約12分(6,795字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

会社設立で行政書士と司法書士の両方に関わってもらうとき|分担の決め方と、報酬が二重にならない理由

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 許認可が要る事業で会社設立をする予定があり、行政書士と司法書士の両方に関わってもらうことになりそうな方。
  • 行政書士の事務所と司法書士の事務所からそれぞれ見積もりが出てきて、足し算すると高くなるのではないかと気になっている方。
  • この記事では、費用の内訳表や試算は作りません。書いているのは、どこで作業が分かれていて、どうすれば重複しないかという見方だけです。実際の金額は事務所ごとに違いますので、見積もりを取って確かめてください。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

両方に関わってもらう形は、どういうときに出てくるのか

行政書士と司法書士の両方に関わってもらう場面を表したイラスト
登記と許認可が両方あると、二人に分かれます。

会社設立で、行政書士と司法書士の両方に関わってもらう形が出てくるのは、たいてい次のような場面です。まず、なぜ二人に分かれるのかを確かめておきます。

会社設立の手続きと、業として担当できる資格
手続き 業として担当できる資格 根拠
定款の作成 行政書士・司法書士・弁護士 行政書士法1条の3第1項ほか
公証役場での定款認証の手続き 行政書士・司法書士・弁護士 行政書士法1条の3・1条の4
設立登記の申請の代理 司法書士・弁護士 司法書士法3条1項1号・73条1項
登記申請書類の作成 司法書士・弁護士 司法書士法3条1項2号・73条1項
建設業・飲食業などの許認可の申請 行政書士・弁護士 行政書士法1条の3・1条の4
法人設立届出書などの税務の届出 税理士・弁護士 税理士法2条1項
社会保険・労働保険の届出 社会保険労務士 社会保険労務士法2条1項

確認日 2026年9月1日。弁護士は一般の法律事務を扱えるため別枠です。税務は所属弁護士会を経て国税局長に通知することで行えます(税理士法51条1項)。この表は会社設立の場面に絞ったものです。

この表は、どの専門家に何を頼めるかの一覧でもあります。表の三行目と四行目、つまり登記に行政書士の名前がないこと。そして五行目、つまり許認可に司法書士の名前がないこと。この二つが、両方に関わってもらう形が生まれる理由です。

  • 許認可が要る事業で会社設立をする … 定款の事業目的と許認可を行政書士に、登記を司法書士に。
  • すでに行政書士に相談していた … 許認可や他の手続きで付き合いがあり、そのまま会社設立の定款も依頼した。
  • 登記の相談は司法書士にしたい … 機関設計や役員構成の相談を司法書士に、許認可は行政書士に。
  • 事務所の中に両方の資格者がいない … 窓口の事務所が、もう一方を提携先として使う。
できる・できないの意味

ここで「担当できる」と書いているのは、報酬を得て業として行えるかの話です。ご自身の会社の定款を作り、登記を申請することは、資格がなくてもできます。本人申請は合法で、現実的な選択肢のひとつです。

出典会社設立は誰に頼む?司法書士・行政書士・税理士に依頼できること(マネーフォワード) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

どこで引き継ぐのか。境目は定款認証の直後です

定款の認証のあとで担当が移ることを表したイラスト
境目は定款が確定したところです。

二人に関わってもらう場合、実際にどこで作業が移るのか。株式会社の会社設立でいえば、定款の認証が終わったところが境目になります。

行政書士と司法書士で分担したときの会社設立の流れを段ごとに示した図

見ていただくと、行政書士が2・3・4と8、司法書士が6・7を担当しています。二人の専門家が交互に入る形です。作業が並んでいるだけで、重なっている段はひとつもありません。ここが、費用の話につながります。

引き継ぎで渡るもの

認証を受けた定款(電子定款なら電磁的記録とその写し)、発起人の印鑑証明書、決めた内容の控え。同じ書類を二度用意することにはなりません。窓口がひとつにまとまっている場合は、この受け渡しも事務所間で行われます。

なお、合同会社の会社設立には定款認証がありません(会社法575条・579条。30条が認証を求めているのは株式会社の定款だけです)。この場合、行政書士が担当するのは定款の作成までで、そのあとは司法書士に移ります。

出典9-4 定款認証(日本公証人連合会) 拡張子・末尾スラッシュなしが実効URL。

報酬が二重にならないのは、作業が重なっていないからです

作業が重なっていないので報酬も重ならないことを表したイラスト
担当する作業が違うので、同じ仕事に二度払うことはありません。

二人に依頼すると聞くと、報酬を二重に払うことになるのではと心配になると思います。結論からいえば、そうはなりません。理由は単純で、それぞれが担当する作業が違うからです。

会社設立を一人に頼む場合と二人に分けて頼む場合を並べて比べた図

右側の形では、司法書士が引き受けるのは登記の部分だけです。定款の作成をしていないのですから、その分の報酬は司法書士の見積もりに入りません。逆も同じで、行政書士は登記を担当していないので、登記の報酬は行政書士の見積もりに入りません。

重複が起きるとすれば、範囲の書き方がずれたとき

気をつけたいのは、片方の見積もりに「定款作成を含む会社設立一式」と書かれ、もう片方にも「定款作成」が入っている場合です。言葉の範囲がずれたまま並べると、同じ作業が二か所に載ります。このときは、どちらの見積もりから外すのかを決めれば済みます。見積書を受け取ったら、項目名だけでなく含まれる作業の説明を見てください。

なお、窓口をひとつにまとめた場合(行政書士の事務所が提携する司法書士に登記を回す形)でも、中身は同じです。一枚の見積書に両方の報酬が載るか、別々に請求されるかの違いだけになります。どちらの形かは、見積書を見れば分かります。

出典報酬額の統計(日本行政書士会連合会) 令和7年度報酬額統計調査(令和8年1月実施)。消費税を含み立替金は含まない。会社設立手続は回答者287/平均106,371円/最小7,000円/最大550,000円/最頻値110,…

実費は、依頼先の数では増えません

実費が依頼先の数で増えないことを表したイラスト
登録免許税も認証手数料も、一回分だけです。

会社設立の費用は実費(法定費用)報酬に分かれます。ここでいちばん大事なのは、実費は誰に依頼しても、自分で手続きしても同じ額だということです。依頼先が二つになっても、実費が二倍になることはありません。

  • 設立登記の登録免許税
    株式会社は資本金の額の0.7%で、これで計算した額が15万円に満たないときは15万円。合同会社は0.7%で6万円に満たないときは6万円。登記の申請は一回なので、一回分だけです。
  • 定款認証の手数料
    株式会社のみ。資本金の額等が100万円未満は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円。100万円未満で三つの条件をすべて満たせば1万5,000円。認証も一回です。
  • 紙の定款の収入印紙
    4万円。電子定款なら不要です。行政書士でも司法書士でも、依頼すれば電子定款になるのが通常です。
  • 登記事項証明書や印鑑証明書の手数料
    必要な通数の分だけかかります。分担しても、必要な通数が増えるわけではありません。
  • 見積書で実費と報酬が分かれているかを見てください

    会社設立の見積もりを比べるときは、実費と報酬が分かれて書かれているかをまず見ます。分かれていれば、事務所ごとに違うのは報酬の部分だけだと分かります。当サイトでは費用の内訳表や試算は扱っていませんので、実際の金額は見積もりで確かめてください。

    二人に依頼したときに増えるとすれば、やり取りの手間のほうです。窓口が二つになると、説明を二度することになりますし、書類の受け渡しも二本立てになります。窓口をどちらか一方にまとめると、この手間は減ります。費用の話と手間の話は別だと考えてください。

    出典No.7191 登録免許税の税額表(国税庁)

    二つの報酬統計は、そのまま足せるものではありません

    二つの報酬統計の前提が違うことを表したイラスト
    設例の前提が違うので、平均を足しても実際とは合いません。

    行政書士と司法書士には、それぞれの全国団体が公表している報酬の統計があります。ただし調査の設計が違うので、二つの平均値を足して「両方に頼むとこれくらい」と考えるのは正確ではありません。

    行政書士と司法書士の報酬統計の前提の違いを並べた図

    司法書士の側の数値は、定款の作成と認証手続まで含んだ設例に対するものです。ですから、定款を行政書士が担当する分担の形では、司法書士側の作業はこの設例より狭くなります。二つの平均を単純に足すと、実際より大きく出ることになります。

    書けない数値もあります

    行政書士の統計にある会社設立に関わる項目は「会社設立手続」の一括だけで、株式会社と合同会社を分けた数値は公表されていません。司法書士のアンケートにも、現行版に地区別の低額者・平均・高額者の表はありません。地区別の相場も、会社形態別の行政書士報酬も書けないということです。当サイトでは、確認できない数字は書かないことにしています。

    結局のところ、両方に関わってもらう場合の総額は、見積もりを取らないと分かりません。統計は「この程度の幅の話をしている」という目安として見て、実際の金額はそれぞれの専門家から見積書として出してもらってください。

    出典司法書士の報酬(日本司法書士会連合会) 2024年(令和6年)3月実施の報酬アンケート。会社設立登記の設例は発起人2名・資本金500万円の株式会社の発起設立で、定款認証手続と登記申請の代理を含む。有効回答932/平均10…

    窓口をひとつにする形と、別々に頼む形

    窓口をひとつにする形と別々に頼む形を表したイラスト
    どちらでも構いません。手間と見え方が変わるだけです。

    行政書士と司法書士の両方に関わってもらう場合、進め方は大きく二つに分かれます。どちらが正しいということはありません。

    窓口をひとつにまとめる

    • 行政書士の事務所(または司法書士の事務所)が窓口になり、もう一方は提携先として関わる。
    • 説明も書類の受け渡しも一本にまとまるので、依頼する側の手間は減る。
    • 見積書が一枚にまとまることが多い。ただし、内訳で報酬が分かれているかを見る。
    • 登記の段で連絡先が変わるのかどうかを、先に聞いておく。

    それぞれに直接依頼する

    • 定款は行政書士に、登記は司法書士に、それぞれ直接依頼する。
    • 見積書が二枚になるので、それぞれの報酬の中身が見えやすい。
    • 説明を二度することになり、書類の受け渡しも二本立てになる。
    • 引き継ぎのタイミングを、依頼する側が把握しておく必要がある。

    許認可が続く会社設立では、行政書士を窓口にすると、定款から許認可まで一本の線でつながります。逆に、機関設計や役員構成が複雑で登記の設計から相談したい場合は、司法書士を窓口にするほうが進めやすいことがあります。どちらを重く見るかで、窓口になる専門家を決めてください。

    分担していること自体は、依頼する側の不利益ではありません

    会社設立は一つの資格で完結しない手続きです。複数の専門家が関わるのが普通の形であって、そのこと自体に問題はありません。専門家の側も、この分担を前提に動いています。確かめておくのは、誰がどの段を担当するのかという点と、それが見積書のどこに書かれているかという点だけです。

    出典会社設立手続きは司法書士に依頼できる?法人設立の相談先の選び方(弥生) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

    両方に依頼する前に、確かめておくこと

    両方に依頼する前の確認項目を表したイラスト
    範囲の重複と引き継ぎ。この二つを書面でそろえます。

    行政書士と司法書士の両方に関わってもらうと決めたら、契約の前に確かめておくとよい項目があります。範囲が重なっていないかと、引き継ぎがどう行われるかの二つが軸です。

    行政書士と司法書士の両方に依頼する場合に確かめる項目を並べたチェックリスト

    資格の登録そのものは、日本行政書士会連合会の会員検索と、日本司法書士会連合会の検索で確かめられます。これは特定の事務所を勧めるものではなく、どの依頼先を選ぶ場合にも共通して使える確認の手段です。二人に関わってもらう場合は、二つとも見ておけば対応が取れます。

    当サイトは順位づけをしていません

    掲載や紹介の順番は優劣を示すものではありません。当サイトは、特定の事務所やサービスを名指しで比較したり、評価を付けたりはしていません。書いているのは、依頼先の種類の違いと、選ぶときに確かめる項目までです。

    出典行政書士会員検索(日本行政書士会連合会) 末尾スラッシュなしが実効URL。

    段取りと期間の考え方

    会社設立の段取りと期間の考え方を表したイラスト
    期間は断定できませんが、順番は決まっています。

    会社設立にどれくらいかかるかは、断定できません。会社の形態、定款認証が要るかどうか、書類がそろっているか、法務局の混み具合。前提によって変わります。ただ、並べる順番だけは決まっています。

    1. 会社の中身(商号・目的・資本金・役員・本店)を決める。許認可が要るなら、この段階で要件を確かめる。
    2. 定款をつくる。許認可の審査で見られる事業目的を、ここで固める。
    3. 株式会社なら、公証役場で定款の認証を受ける。合同会社は不要。
    4. 出資の払込みをする。
    5. 設立登記を申請する。申請した日が会社設立の日になります。
    6. 登記が完了したら、登記事項証明書と印鑑証明書を取得する。
    7. 許認可を申請する。税務と社会保険の届出も出す。

    両方に関わってもらう場合、2から3までが行政書士、5が司法書士、7がまた行政書士という並びになります。引き継ぎが二か所あるので、それぞれで待ち時間が発生しうる、という点は見込んでおいてください。窓口がひとつにまとまっていれば、この調整は窓口が行います。

    許認可がある会社設立は、営業開始日から逆算します

    会社設立の登記が終わっても、許認可が下りるまで営業は始められません。設立の日ではなく、営業を始めたい日から逆算して段取りを組む必要があります。審査にかかる期間は業種と窓口によって違いますので、所管の官公署か行政書士に確かめてください。

    出典商業・法人登記申請手続(法務局)

    まとめ|作業で分けて、範囲を書面でそろえる

    両方に関わってもらう場合のまとめを表したイラスト
    作業で分けて、範囲を書面でそろえれば足ります。

    会社設立で行政書士と司法書士の両方に関わってもらうときの要点を、短くまとめます。

    • 分担の理由は条文にある登記は司法書士(および弁護士)の分野、許認可は行政書士の分野です。行政書士法1条の3第2項と司法書士法3条1項・73条1項によります。
    • 境目は定款が確定したところ株式会社なら認証の直後、合同会社なら定款の作成が終わったところで、担当が司法書士に移ります。
    • 報酬は二重にならない担当する作業が違うので、同じ仕事に二度払うことにはなりません。司法書士が定款を作らなければ、その分は司法書士の見積もりに入りません。
    • 実費は増えない登録免許税も定款認証手数料も一回分だけです。誰に依頼しても、自分で手続きしても同じ額です。
    • 統計は単純に足せない司法書士のアンケートは定款認証と登記申請の代理を含む設例に対するものです。行政書士の「会社設立手続」と足すと、実際より大きく出ます。
    • 確かめるのは範囲の重複両方の見積書に定款の作成が入っていないか。これだけ見ておけば、費用の心配はほぼ解消します。

    両方に関わってもらう形は、許認可が控えている会社設立ではよくある組み立てです。依頼先の専門家が増えることを不安に思う必要はありません。むしろ、それぞれの本来の分野を担当してもらう形なので、自然な進め方だといえます。窓口をどちらにするかは、許認可を重く見るか、登記の設計を重く見るかで決めてください。

    この記事の内容は2026年9月1日時点で、e-Gov法令検索の現行条文と各団体の公表資料で確認したものです。制度も統計も改まりますので、実際に判断されるときは各セクションに添えた出典で最新の内容をご確認ください。個別の依頼の可否や見積もりの妥当性については、行政書士や司法書士といった専門家に直接ご相談ください。

    出典司法書士検索(日本司法書士会連合会) 旧ドメイン kensaku.shiho-shoshi.or.jp は証明書のホスト名不一致で使えない。

    分かれているのは作業です。払うのはその分だけです

    会社設立で行政書士と司法書士の両方に関わってもらうとき、同じ作業に二度払うことにはなりません。行政書士が担当するのは定款の作成と認証の手続き、司法書士が担当するのは登記の申請と登記申請書類の作成です。作業が重なっていないので、報酬も重なりません。実費にいたっては、そもそも回数が決まっているものなので、増えようがありません。

    気をつけるとすれば、範囲の言葉がずれたまま二つの見積もりを並べてしまうことです。片方の見積もりに「定款作成一式」と書かれ、もう片方にも「定款を含む設立登記一式」と書かれていれば、同じ作業が二か所に入っています。どちらの範囲から定款を外すのかを決めれば、それで解決します。

    行政書士と司法書士の両方に関わってもらう形は、許認可が控えている会社設立ではよくある組み立てです。窓口をどちらにするかは、どちらでも構いません。ご自身の場合にどう分けるのが合うかは、両方の専門家に事情を伝えたうえで、見積もりを取って確かめてください。この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。

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