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株式会社と合同会社で、依頼の中身はどう変わるか|認証の有無・登録免許税の最低額・書類の数

公開 約11分(6,242字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

株式会社と合同会社で、依頼の中身はどう変わるか|認証の有無・登録免許税の最低額・書類の数

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 株式会社と合同会社のどちらにするか決めかけていて、会社設立を依頼したときに何がどう変わるのかを知っておきたい方。
  • 合同会社で設立するつもりで見積もりを取ろうとしていて、株式会社向けの説明との違いが分からず戸惑っている方。
  • この記事は、株式会社と合同会社のどちらが有利かを判定するものではありません。書いているのは、依頼の中身として動くところと動かないところです。会社の形をどう選ぶかは事業の中身と資金の状況で変わりますので、判断はご自身の事情を伝えたうえで専門家にご相談ください。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

1依頼の中身が変わるのは、三か所だけです

株式会社と合同会社の違いの全体像を表したイラスト
動くのは三か所。それ以外はほとんど同じです。

株式会社と合同会社では、会社設立の手続きの組み立てが少し違います。ただ、違うといっても全部が違うわけではありません。依頼の中身として動くのは三か所、それ以外はほとんど同じです。まず地図から見ておきます。

株式会社と合同会社で会社設立の依頼の中身がどう変わるかを比べた図

この三か所以外、たとえば誰に依頼できるのか、どの資格が何を担当するのかといった部分は、会社の形が変わってもまったく動きません。ここを先に押さえておくと、以下の話が読みやすくなります。

どちらが得か、という記事ではありません

当サイトは、株式会社と合同会社のどちらを選ぶべきかを判定していません。会社の形の選び方は、取引先からの見え方、将来の資金調達の考え方、利益の配分をどうしたいかなど、事業の中身によって変わります。判断はご自身の事情を伝えたうえで、専門家にご相談ください。

出典会社法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 26条1項・30条が株式会社の定款と認証、575条が持分会社の定款(認証の規定はない)、579条が設立の登記による成立。

2変わるところ その一|定款認証があるかないか

株式会社だけに定款認証があることを表したイラスト
認証を求めているのは、26条1項の定款だけです。

会社設立の手続きでいちばん大きな違いがここです。株式会社の定款は公証人の認証を受けなければ効力を生じませんが、合同会社にはこの手続きがありません。

会社法 30条1項

第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。

出典:会社法(e-Gov法令検索(デジタル庁))

ここで引かれている26条1項は「株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し…」という規定です。つまり30条1項が認証を求めているのは、株式会社の定款だけということになります。合同会社を含む持分会社については、575条が定款の作成を定めているだけで、認証を要する規定がありません。579条により、本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します。

  • 株式会社の定款認証手数料
    資本金の額等が100万円未満は3万円。ただし発起人が全員自然人で3人以下であること、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載があること、取締役会を置く旨の記載がないことの三つをすべて満たす場合は1万5,000円です。100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円(2024年12月1日改定)。
  • 合同会社の定款認証手数料
    かかりません。認証の手続きそのものがないためです。
  • 紙の定款の収入印紙
    紙で定款をつくると4万円がかかります。電子定款であれば不要です。これは会社の形にかかわらず同じです。
  • 依頼の範囲への影響
    株式会社の会社設立では公証役場での認証の手続きまで依頼できます。合同会社ではその段がないため、依頼の範囲がそのぶん短くなります。
  • 認証が要らない=定款が要らない、ではありません

    合同会社でも定款は作成しますし、設立登記の添付書類として法務局に出します。省けるのは認証の手続きだけです。ここを読み違えると、会社設立の準備で足をすくわれます。

    出典会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会) 令和6年11月22日公布・同年12月1日施行。資本金100万円未満で3条件を満たす場合1万5,000円。

    3変わるところ その二|登録免許税の最低額

    登録免許税の最低額が会社の形で違うことを表したイラスト
    計算は同じ0.7%。下限の額だけが違います。

    会社設立の登記のときに納める登録免許税も、会社の形で違います。計算のしかたはどちらも資本金の額の0.7%ですが、下限として定められている額が違います。

    • 株式会社の設立登記資本金の額の1000分の7。これで計算した税額が15万円に満たないときは、申請件数1件につき15万円です(登録免許税法 別表第一 第24号(一)イ)。
    • 合同会社の会社設立の登記同じく資本金の額の1000分の7。これで計算した税額が6万円に満たないときは6万円です(同 第24号(一)ハ)。
    • どちらも実費です登録免許税は国に納めるものですから、誰に依頼しても、自分で手続きしても同じ額です。専門家によって差が出るのは報酬のほうだけです。
    • 資本金が大きくなると0.7%で計算した額が下限を超えれば、そちらの額になります。下限の差が効いてくるのは、資本金が一定額までの場合です。
    実費と報酬は必ず分けて見てください

    会社設立の費用は「実費(法定費用)」と「報酬」に分かれます。登録免許税や定款認証の手数料は実費です。見積書でこの二つが行として分かれているかを見てください。分かれていない書式であれば、内訳を書き出してもらうよう頼んで構いません。当サイトでは費用の内訳表や試算は作っていません。

    なお、「合同会社のほうが登録免許税が安いから合同会社にする」という決め方が向くかどうかは、事業の中身によります。会社の形は、設立のときの実費だけで決めるものではありません。取引先からの見え方、将来の資金調達、利益の配分の考え方など、判断の材料は複数あります。ここは会社設立を依頼する専門家に相談する価値のある場面です。

    出典登録免許税法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 別表第一 第24号(一)イが株式会社の設立登記(資本金の額の1000分の7、15万円に満たないときは15万円)、ハが合同会社(同、6万円に満たないときは6万円)。

    4変わるところ その三|決めることと、書類の数

    株式会社と合同会社で決める事項が違うことを表したイラスト
    組み立ての考え方が違うので、決めることも変わります。

    三つ目の違いは、会社設立で決める事項と、そろえる書類の数です。株式会社と合同会社では、会社の組み立ての考え方そのものが違うため、決めることが変わります。

    株式会社と合同会社で会社設立の際に決める事項を並べて比べた図

    書類の数についても、合同会社のほうが少なくなりやすいというのが一般的な傾向です。定款認証がないこと、機関の設計が単純であることが効いています。ただし、社員が複数いる場合や出資の内容が複雑な場合は、合同会社でも検討することが増えます。必ず合同会社のほうが軽い、と言い切れるものではありません。

    合同会社ならではの検討もあります

    利益の配分を出資の割合と違う形で定められる、業務執行社員を限定できる、といった点は合同会社の特徴です。自由度が高いぶん、決めておかないとあとで揉めやすいという面もあります。社員が複数いる合同会社の会社設立では、この部分を専門家と相談する意味が大きくなります。

    出典株式会社の設立手続き(中小企業基盤整備機構 J-Net21)

    5変わらないところ|依頼できる相手と、その職域

    資格ごとの職域が会社の形で変わらないことを表したイラスト
    依頼する相手は、会社の形が変わっても同じです。

    ここまで違いを三つ見てきましたが、会社設立を依頼する相手そのものは変わりません。会社設立で誰に何を頼めるかは、それぞれの資格の法律で決まっていて、会社の形とは関係がないからです。

  • 設立登記の申請の代理
    司法書士(および弁護士)。司法書士法3条1項1号、73条1項。株式会社でも合同会社でも同じです。
  • 登記申請書類の作成
    こちらも司法書士(および弁護士)です。行政書士・税理士は扱えません。
  • 定款の作成
    行政書士・司法書士・弁護士。定款は権利義務に関する書類にあたります。合同会社の定款も同じです。
  • 法人設立届出書などの税務の届出
    税理士。税理士法2条1項の税務書類の作成・税務代理にあたります。
  • 健康保険・厚生年金の新規適用届
    社会保険労務士。法人は代表者ひとりでも適用になるのは、合同会社でも同じです。
  • 建設業・飲食業などの許認可
    行政書士。業種によって必要になるかどうかが決まります。
  • ですから、依頼先を探すときに「合同会社に対応しているか」を心配する必要は、あまりありません。司法書士であれば合同会社の設立登記も扱いますし、行政書士であれば合同会社の定款も作成できます。確かめるのは、対応の可否よりも、今回の依頼にどこまで含まれるかのほうです。

    見積もりを取るときは、会社の形を先に伝えます

    「合同会社で設立する予定です」と最初に伝えてください。認証の段が入らない前提で見積もりを出してもらえます。同じ条件で複数から取れば、比べられます。逆に、形が決まっていない段階なら「両方の場合で出していただけますか」と頼むこともできます。

    出典司法書士の業務(日本司法書士会連合会)

    6見積もりの中身は、どのくらい変わるのか

    会社形態別の報酬統計がないことを表したイラスト
    実費ははっきり変わり、報酬は見積もりで確かめます。

    会社設立の手続きを依頼したときの金額は、実費と報酬に分かれます。このうち実費は、会社の形によってはっきり変わります。登録免許税の下限と、定款認証手数料の有無です。ここは誰に依頼しても同じ額なので、比べる意味がありません。

    問題は報酬のほうです。合同会社のほうが認証の段がないぶん作業が少なくなるため、報酬も株式会社より低めに設定している事務所があります。ただし、これを裏づける公的な統計はありません。

    • 行政書士の報酬額統計日本行政書士会連合会の報酬額統計調査(令和7年度)にあるのは「会社設立手続」という一括の項目だけです。株式会社と合同会社を分けた項目は存在しません。回答287件、平均106,371円、最頻値110,000円、最小7,000円、最大550,000円。消費税を含み、立替金は含みません。
    • 司法書士の報酬アンケート日本司法書士会連合会の報酬に関するアンケート(2024年3月実施)は、発起人2名・資本金500万円の株式会社の発起設立という設例に対する回答です。定款認証手続と登記申請の代理を含みます。有効回答932件、平均107,887円。合同会社の数値としては使えません。
    • 税理士の報酬統計公的な統計そのものが存在しません。各事務所が公開している料金を見比べることになります。
    • 結局どうするか会社設立の形を伝えたうえで、複数から見積もりを取って比べるのがいちばん確かです。
    会社形態別の相場という数字を見たときは

    「合同会社の設立代行の相場は◯円」といった数字を見かけたら、その数字がどこから来たのかを確かめてください。上に書いたとおり、行政書士の統計は会社形態別に分かれておらず、司法書士のアンケートは株式会社の設例です。会社形態別の公的な数値は、いまのところ存在しません。

    出典報酬額の統計(日本行政書士会連合会) 令和7年度報酬額統計調査(令和8年1月実施)。消費税を含み立替金は含まない。会社設立手続は回答者287/平均106,371円/最小7,000円/最大550,000円/最頻値110,…

    7形を決めかねているときの、考える順番

    会社の形を決めるときの考え方を表したイラスト
    会社設立の実費の差だけでなく、事業の中身から見ていきます。

    会社設立を株式会社でするか合同会社でするか、決めかねている方に向けて、考える順番を並べておきます。当サイトはどちらが良いという判定はしませんので、あくまで論点の一覧として見てください。

    株式会社と合同会社のどちらを検討するかの分かれ道を示した分岐図

    なお、あとから株式会社に組織変更するという道もあります。ただしそれには別の手続きと費用がかかります。「とりあえず合同会社で」と決める場合も、将来の見通しを一度専門家と話しておくと、判断の材料が増えます。

    自分で手続きするという選択肢もあります

    会社設立の手続きをご自身で行うことは合法です。合同会社は決める事項が比較的少ないため、本人申請を選ぶ方もいます。法務局は合同会社の設立登記のオンライン申請についての案内も公開しています。依頼するかどうかは、時間と手間の兼ね合いで判断できます。当サイトでは、自分で申請する手順そのものは扱っていません。

    出典合同会社の設立手続き(中小企業基盤整備機構 J-Net21)

    8まとめ|三か所が動き、それ以外は同じです

    株式会社と合同会社の依頼の違いのまとめを表したイラスト
    動くのは三か所。それ以外は変わりません。

    株式会社と合同会社で、会社設立の依頼の中身がどう変わるかを見てきました。短くまとめます。

    • 定款認証の有無株式会社は必要(会社法30条1項)。合同会社は不要(575条・579条)。認証の段がないぶん、合同会社では依頼の範囲が短くなります。
    • 登録免許税の最低額どちらも資本金の額の0.7%。株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円(登録免許税法 別表第一 第24号(一))。
    • 決めることと書類の数機関の考え方が違うため、決める事項が変わります。合同会社のほうが少なくなりやすい傾向はありますが、社員が複数なら検討は増えます。
    • 依頼できる相手は同じ登記は司法書士と弁護士、定款は行政書士・司法書士・弁護士、税務は税理士、社会保険は社会保険労務士。会社の形では動きません。
    • 実費は誰に依頼しても同じ額登録免許税も定款認証手数料も、依頼先によって変わりません。差が出るのは報酬だけです。
    • 会社形態別の報酬統計はない行政書士の統計は「会社設立手続」の一括のみ、司法書士のアンケートは株式会社の設例です。見積もりを取って比べてください。

    会社設立を依頼するときに大事なのは、会社の形を最初に伝えることです。それだけで、見積もりの前提がそろいます。まだ形を決めていない段階なら、その旨を伝えて両方で出してもらうこともできます。

    この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。制度も条文も改正されますので、実際に判断されるときは各セクションに添えた出典で最新の内容をご確認ください。会社の形の選び方や、個別の見積もりの妥当性については当サイトでは判断していません。司法書士や税理士といった各分野の専門家に直接ご相談ください。

    出典合同会社の設立の登記をしたい方(オンライン申請):法務局(法務局(法務省)) 合同会社設立登記のオンライン申請の手順と添付書面を案内

    動くのは三か所。あとは同じです

    株式会社と合同会社で、会社設立の依頼の中身が変わるのは三か所でした。定款認証があるかないか、登録免許税の最低額が15万円か6万円か、決めることと書類の数がどれだけか。この三つです。どれも会社法や登録免許税法の定めから出てくるもので、依頼先の方針で変わるものではありません。

    そして、動かないところのほうが多いというのが、この記事でいちばん伝えたい点です。登記を代理できるのは司法書士と弁護士、定款の作成は行政書士・司法書士・弁護士、税務は税理士、社会保険は社会保険労務士。この分担は、会社の形が変わっても一切動きません。ですから、依頼先を探すときに「合同会社に対応しているか」を心配する必要は、あまりありません。

    見積もりを取るときは、会社の形を最初に伝えてください。合同会社なら認証の段が入らないぶん、見積もりの中身が変わります。株式会社なら定款認証の手数料が実費として入ります。同じ条件で複数から取れば、比べられます。この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。制度は改正されますので、実際に判断されるときは各セクションに添えた出典で最新の内容をご確認ください。

    この記事は、依頼先を考えるのに役に立ちましたか。

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