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会社設立の見積もりと契約は、書面で確かめる|担当する資格者・対応範囲・実費と報酬・追加費用の条件

公開 約11分(6,211字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

会社設立の見積もりと契約は、書面で確かめる|担当する資格者・対応範囲・実費と報酬・追加費用の条件

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 会社設立の見積もりを受け取ったところで、どこを読めばよいのかが分からず止まっている方。
  • 面談では専門家に丁寧に説明してもらったけれど、その内容が書面に入っているのかどうかが気になっている方。
  • この記事は、依頼先を疑うために書いたものではありません。書面にするのは、あとから読み返せる形にしておくためです。特定の事務所やサービスを比べたり、順位を付けたりはしていません。個別の見積もりが妥当かどうかも、当サイトでは判断していません。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

書面にするのは、あとから読み返せるようにするためです

書面で確かめる目的を表したイラスト
疑うためではなく、読み返せるようにするためです。

会社設立の依頼は、多くの方にとって一度きりの手続きです。面談で聞いた話を、数週間後にそのまま思い出せる人はあまりいません。書面で確かめておくのは、依頼先を疑うためではなく、あとから読み返せる形にしておくためです。

会社設立の手続きは、契約してから登記が完了するまでに何度かやり取りが挟まります。その間に、こちらの状況が変わることもあります。書面があれば、そのつど戻って確かめられます。

  • 決めたことが残る対応の範囲と金額が紙にあれば、途中で認識がずれても戻れます。
  • 比べられる形になる複数の専門家から同じ形式で受け取れば、範囲の違いが見えます。金額だけでは比べられません。
  • 説明する手間が減る依頼先の側にとっても、書いてあることを何度も説明せずに済みます。双方にとって楽になります。
  • 困ったときの材料になる万一、行き違いが起きたときに、話の出発点になります。

もうひとつ、書面にはこちらの理解を確かめるという働きもあります。読んでみて意味が取れない項目があれば、そこは説明を受けていない部分です。会社設立の手続きに出てくる言葉は聞き慣れないものが多いので、見積書を読みながら分からない語を尋ねていくと、依頼の中身が自然に見えてきます。

行き違いは、悪意がなくても起きます

国民生活センターは、起業や副業をめぐる消費者トラブルについての調査報告を公開しています。会社設立に限った話ではありませんが、説明の受け取り方が食い違うだけで話がこじれることは起こります。書面は、そこを埋めるための手段です。

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見積もりを取る前に、こちらから条件をそろえる

見積もりを取る前に条件をそろえることを表したイラスト
同じ条件で聞けば、比べられる見積もりが返ってきます。

書面の話に入る前に、ひとつ順番があります。見積もりを取るときの条件を、こちらでそろえておくことです。前提が違えば、返ってくる見積もりも違う形になります。

会社設立を依頼するときに、問い合わせから完了まで書面が動く順番を並べた図

1でこちらが伝える条件がそろっていないと、3で返ってくる見積もりの前提がばらばらになります。株式会社か合同会社か、資本金はいくらか、許認可が要るか、設立後の記帳をどうするか。ここを同じ内容で伝えるだけで、比べられる見積もりが返ってきます。

なお、こちらの条件が途中で変わることもあります。資本金の額を変えた、設立の時期を早めたいことになった、共同で出資する人が増えた。変わったときは、その時点で伝えて見積もりを出し直してもらうのが結局いちばん早い進め方です。会社設立の依頼では、前提が動くこと自体は珍しくありません。

「一式いくら」だけの見積もりは、質問の出発点です

総額だけが書かれた見積もりを受け取ることもあります。それ自体が問題ということではなく、内訳を尋ねればよいだけです。実費と報酬が分かれているか、どこまでが範囲か。この二つを聞けば、たいてい書き直したものを出してもらえます。

出典会社設立で代行できる手続きとは?専門家に依頼するメリット・デメリットと選び方(freee) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

見積書|実費と報酬が分かれているか

実費と報酬が分かれているかを確かめることを表したイラスト
実費は同じ額。比べるのは報酬のほうです。

見積書でいちばん先に見るのが、実費(法定費用)と報酬が分かれているかです。会社設立の費用はこの二つに分かれていて、実費は誰に依頼しても、自分で手続きしても同じ額です。事務所によって差が出るのは報酬のほうだけなので、混ざっていると比べようがありません。

会社設立の費用を、誰に依頼しても同じ実費と、依頼先によって変わる報酬に分けた図

実費として押さえておく最小限は次のとおりです。登録免許税は、株式会社が資本金の額の0.7%で15万円に満たないときは15万円、合同会社が同じく0.7%で6万円に満たないときは6万円。定款認証の手数料は株式会社のみで、資本金100万円未満は3万円(発起人が全員自然人で3人以下であることなど、一定の3条件をすべて満たす場合は1万5,000円)、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円です。合同会社に定款認証は要りません。

立替金として書かれていることもあります

実費を依頼先がいったん立て替えて、あとから精算する形もよくあります。その場合、依頼した専門家の見積書には立替金や預り金として書かれます。書き方が違うだけで、性質は実費のままです。精算のタイミングを確かめておいてください。

出典No.7191 登録免許税の税額表(国税庁)

見積書|担当する資格者と、対応範囲が書かれているか

担当する資格者と対応範囲が書面にあるかを確かめることを表したイラスト
誰が何を担当するのかが、紙にあるかを見ます。

次に見るのが、誰が何を担当するのかです。会社設立は資格ごとに担当が分かれていて、ひとつの資格で全部を引き受けることはできません。まとめて案内している依頼先は、事務所の中か提携で分担しています。この形そのものに問題はありません。

見積書や契約書に、次のことが書かれているかを見てください。書かれていなければ、書き足してもらえるかを尋ねれば済みます。

  • 設立登記の申請の代理を、どの司法書士(または弁護士)が担当するのか。
  • 定款の作成と認証手続きを、誰が担当するのか。
  • 税務の届出が範囲に入るのか。入る場合、どの税理士が担当するのか。
  • 社会保険と労働保険の手続きが範囲に入るのか。入らないことが多い項目です。
  • 許認可の申請が範囲に入るのか。別料金になっていないか。
  • 登記完了後の書類を、いつ、どうやって受け取るのか。
資格の登録は、各団体の会員検索で確かめられます

担当する資格者の氏名が分かれば、登録されているかを名簿で確かめられます。日本司法書士会連合会、日本行政書士会連合会、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイト、日本弁護士連合会が、それぞれ検索を公開しています。税理士情報検索サイトでは懲戒処分の有無まで確認できます。これは特定の事務所を勧めるものではなく、どの専門家を選ぶ場合にも共通して使える確認の手段です。

なお、登記申請の代理と登記申請書類の作成は、司法書士法3条1項1号・2号が司法書士の業務と定め、同法73条1項が資格のない者による実施を禁じています。ただし書により弁護士も行えます。「登記はどなたが担当されますか」という質問は、この一点を確かめるためのものです。答えに司法書士の名前が出てくれば、それが通常の形です。

出典司法書士検索(日本司法書士会連合会) 旧ドメイン kensaku.shiho-shoshi.or.jp は証明書のホスト名不一致で使えない。

追加費用が発生する条件が、書かれているか

追加費用が発生する条件を確かめることを表したイラスト
条件が書かれていること自体は、悪いことではありません。

見積書で見落とされやすいのが、追加費用の条件です。会社設立の手続きは、依頼したあとで前提が変わることがあります。そのときにどうなるのかが書かれているかを見てください。専門家の側も、条件を先に示しておくほうが説明しやすくなります。

  • 会社の内容を途中で変えた場合
    商号や本店、資本金の額を変更すると、書類の作り直しが発生することがあります。
  • 定款認証をやり直す場合
    公証役場での認証は、内容が確定してから行います。あとから変えると手数料が改めてかかります。
  • 書類の再取得が必要になった場合
    印鑑証明書には有効期限があります。手続きが延びると取り直しになることがあります。
  • 登記が補正になった場合
    書類の補正で追加の報酬が発生するのかどうか。
  • 急ぎの対応を頼む場合
    特急料金の定めがあるかどうか。
  • 範囲の外を頼む場合
    許認可や社会保険は別料金であることがほとんどです。
  • これらはあって当たり前の条件で、書かれていること自体が悪いということではありません。むしろ書かれていないと、途中で話し合いになります。先に読んでおけば、そこを避ける進め方もできます。

    金額の表示の読み方

    「0円」「無料」という表示を見たときは、同じ画面に条件が書かれているかを見てください。誰の報酬が0円なのか、実費は別か、顧問契約が条件になっているか。景品表示法は、実際よりも著しく有利であると誤認させる表示を禁じています。「最安」のような表示についても、何と比べたのかが示されているかを見てください。

    出典景品表示法(消費者庁) 「最安」「No.1」などの表示を扱うときの根拠。

    顧問契約が条件になっている場合に、確かめること

    顧問契約が条件になっている場合の確認を表したイラスト
    契約が二つになる分、確かめる項目も増えます。

    会社設立のサポートを無料にする代わりに、設立後の顧問契約を条件としている案内があります。この組み立てそのものに問題はありません。ただ、契約が二つになるので、書面で確かめる項目が増えます。

    • 月額と、含まれる業務の範囲記帳をどちらが行うか、決算と申告が月額に含まれるか。同じ月額でも中身が違います。
    • 最低契約期間何か月、何年という定めがあるか。会社設立のサポートを無料にする条件になっていることがあります。
    • 解約の条件いつまでに申し入れるのか。期間の途中で解約した場合の扱いはどうなるのか。
    • 設立サポートの扱い途中で解約した場合に、無料だった設立サポートの料金が発生するのかどうか。

    設立の依頼と顧問契約は、制度のうえでは別々の契約です。まとめても、分けても構いません。分けて依頼する場合は、それぞれの報酬が見えやすくなります。まとめる場合は窓口がひとつで済みます。どちらが良いということではなく、設立後に記帳をどうしたいかで向き不向きが変わります。

    会社設立のサポートと顧問契約が同じ書面にまとめられていることもあれば、契約書が二通に分かれていることもあります。どちらの形でも構いませんが、二つの契約であることは変わりません。解約や期間の定めがどちらの契約に付いているのかを、書面の上で確かめておいてください。

    総額で見るという考え方

    会社設立のときの費用だけを見ると安く見えても、顧問料まで含めた1年分・2年分で見ると印象が変わることがあります。比べるときは同じ期間で並べてください。当サイトでは費用の試算表は作っていませんが、期間をそろえて見るという考え方は共通して使えます。

    出典会社設立費用が0円で依頼できる税理士の注意点(税理士コンシェルジュ) 0円モデルの構造を説明する補助として使う。個別事務所の推奨には使わない。

    口頭で聞いたことが、書面に入っているか

    口頭で聞いたことが書面にあるかを確かめることを表したイラスト
    聞いた話と紙の中身を、突き合わせます。

    最後の作業が、面談で聞いた話と書面を突き合わせることです。丁寧に説明してもらった内容ほど、書面に入っているかどうかを確かめないまま進みがちです。

    会社設立の面談で確かめることと、書面に残しておきたいことを並べて比べた図

    突き合わせて抜けているところが見つかったら、「この点も書いていただけますか」と伝えるだけです。会社設立の依頼で難しい交渉が必要になる場面は、ほとんどありません。

    やり取りの記録も残しておいてください

    見積書と契約書のほかに、メールやメッセージの履歴も残しておくと役に立ちます。会社設立の依頼は書面のやり取りが中心なので、経緯がそのまま記録になります。支払いの控えも一緒にまとめておくと、あとで探す手間が減ります。

    なお、当サイトでは個別の見積もりが高いか安いかの判断はしていません。書いているのは、比べられる形になっているかどうかを確かめる方法までです。金額の妥当性は、複数の専門家から同じ条件で見積もりを取って判断してください。

    出典起業・副業をめぐる消費者トラブルの被害救済に関する調査報告(国民生活センター)

    まとめ|紙で確かめるのは、四つだけです

    書面で確かめる項目のまとめを表したイラスト
    担当・範囲・内訳・追加費用。この四つで足ります。

    会社設立の見積もりと契約について、書面で確かめる項目をまとめます。数は多くありません。

    • 担当する資格者登記は誰か、定款は誰が作るのか、税務は誰が担当するのか。事務所内でも提携先でも構いません。氏名が分かれば、各団体の会員検索で登録を確かめられます。
    • 対応の範囲定款、認証手続き、登記、税務の届出、社会保険、許認可。どこまでが依頼に入るのかを項目で確かめます。
    • 実費と報酬の内訳実費は誰に依頼しても同じ額です。分かれていないと比べられません。
    • 追加費用が発生する条件内容の変更、書類の取り直し、急ぎの対応、範囲の外の依頼。書かれていること自体は問題ではありません。
    • 顧問契約が条件の場合月額と含まれる範囲、最低契約期間、解約の条件。会社設立の依頼とは別の契約です。
    • やり取りの記録見積書、契約書、連絡の履歴、支払いの控え。まとめて残しておきます。

    この四つ、顧問契約が絡むなら五つが書面でそろっていれば、会社設立の依頼としては十分に準備ができています。あとは複数の見積もりを同じ条件で並べて、範囲と金額を見比べるだけです。

    急いで決める必要はありません

    会社設立の日付は、ご自身で決められるものです。書面を受け取ったその場で結論を出す必要はありませんし、持ち帰って別の専門家にも同じ条件で見積もりを頼んでみて構いません。比べれば、範囲の違いがはっきり見えます。それでも迷う場合は、商工会議所やよろず支援拠点といった公的な窓口で、一般的な相談をしてみることもできます。

    制度も条文も改正されます。この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。個別の依頼の可否や見積もりの妥当性については当サイトでは判断していません。実際に判断されるときは、記事に添えた出典で最新の内容を確かめたうえで、司法書士・行政書士・税理士といった専門家に直接ご相談ください。

    出典株式会社の設立手続き(中小企業基盤整備機構 J-Net21)

    紙の上でそろっていれば、あとは進めるだけです

    会社設立の依頼で困るのは、たいてい紙に書かれていないことを、お互いが違う意味で理解していたときです。逆に言えば、担当する資格者、対応の範囲、実費と報酬の内訳、追加費用の条件。この四つが書面でそろっていれば、たいていのことは防げます。難しい交渉をする必要はなく、書かれているかどうかを確かめるだけです。

    書かれていない項目があったときも、身構える必要はありません。「この点も書き足していただけますか」と伝えれば済みます。会社設立を扱い慣れた専門家であれば、見積書の段階でこれらはたいてい書かれていますし、書き足すことを嫌がられることもまずありません。聞かれたほうも、あとから説明する手間が減ります。

    そして、書面を受け取ったあとに急いで決める必要はありません。会社設立の日付はご自身で決められるものです。複数の見積もりを並べて、範囲と条件を見比べてから決めてください。制度も条文も改正されますので、実際に判断されるときは記事に添えた出典で最新の内容をご確認ください。

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