会社設立の依頼先が有資格者かを確かめる方法|全国団体の会員検索と、事務所ページで見る3項目
この記事は、こういう方に向けて書いています
- 会社設立の依頼先を絞り込んだところで、その事務所や担当者が本当に登録された専門家なのかを、申し込む前に自分で確かめておきたい方。
- 問い合わせの返事に肩書きが書かれていたけれど、どこを見れば裏が取れるのかが分からず、そのままにしている方。
- この記事では、特定の事務所を勧めたり順位を付けたりはしません。書いているのは、どの依頼先を選ぶ場合にも同じように使える確認の手順です。各士業の全国団体が公開している検索の使い分けと、事務所のページで見る項目、見積書と広告で気をつける表示までをまとめました。
- 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。
01依頼先の資格は、申し込む前に自分で確かめられます

会社設立の依頼先が決まりかけたとき、最後に残るのが「この相手は本当に登録された専門家なのだろうか」という気がかりだと思います。これは、問い合わせる前に自分で確かめられます。各士業の全国団体が、登録者を検索できる仕組みを公開しているからです。
使い方はどれも似ています。氏名か事務所名を入力して、地域で絞り込む。出てきた結果に登録番号や所属する会が表示されるので、事務所のページに書かれている内容と突き合わせます。特別な手続きも、費用も要りません。

表のとおり、確かめられる範囲は団体によって差があります。懲戒処分の情報まで見られるのは税理士で、社会保険労務士については全国を横断する個人の検索そのものがありません。ここから先は、依頼先になる専門家ごとに順番に見ていきます。
資格の確認は、相手を疑う行為ではなく、会社設立の依頼を安心して進めるための下ごしらえです。登記は司法書士、税務は税理士、許認可は行政書士、社会保険は社労士というように担当が法律で分かれている以上、誰がどの資格でどこを担当するのかは、はじめにはっきりさせておいたほうがお互いに楽です。
出典司法書士及び土地家屋調査士関係(法務省)
02司法書士|登記を担当する人がここに載っているか

会社設立で最初に確かめたいのが、登記を担当する司法書士です。設立登記の申請の代理と登記申請書類の作成は司法書士と弁護士に限られているため、ここだけは担当者の資格がはっきりしている必要があります。
日本司法書士会連合会が、全国の司法書士と司法書士法人を検索できるページを公開しています。氏名や事務所名、所在地から引くことができ、所属する司法書士会と登録番号が確認できます。
- 個人と法人が分かれています司法書士法人として登録されている事務所と、個人として登録されている司法書士は、それぞれ別に検索します。事務所のページの表記に合わせて選んでください。
- 屋号と登録名が違うことがあります「〇〇総合事務所」という屋号で案内していても、登録上の事務所名が別ということはあります。見つからないときは、氏名で引き直してみてください。
- 所属する会は都道府県単位です司法書士は事務所の所在地を管轄する司法書士会に入会します。司法書士会に入会していることが業務を行う前提である点は、司法書士法73条1項の書き方からも読み取れます。
- 提携先の司法書士でも構いません税理士事務所や行政書士事務所が窓口になっている場合、登記は提携する司法書士が担当します。その場合は、担当する司法書士の名前を聞いてから検索してください。
検索の結果で見ておきたいのは、氏名の一致だけではありません。事務所の所在地が、案内されている場所と合っているかも見ておいてください。移転して間もない場合は情報が追いついていないこともありますが、まったく違う都道府県が出てくるようなら、同姓同名の別の専門家を見ている可能性があります。
司法書士法73条3項は「司法書士でない者は、司法書士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない」と定めています。行政書士法19条の2第1項、社会保険労務士法26条1項にも同じ趣旨の規定があります。似た名称を使うこと自体が制限されているので、肩書きの書き方は確認の手がかりになります。
なお、会社設立の登記を自分で申請する場合は、司法書士に依頼する必要はありません。本人申請は合法な選択肢で、法務局が申請書の様式と記載例を公開しています。ここでの確認は、依頼する場合に、その相手が誰なのかをはっきりさせるためのものです。
出典司法書士検索(日本司法書士会連合会) 旧ドメイン kensaku.shiho-shoshi.or.jp は証明書のホスト名不一致で使えない。
03税理士|懲戒処分の有無まで確認できるのはここだけです

会社設立のあと、法人設立届出書や決算・申告を任せる相手が税理士です。日本税理士会連合会は「税理士情報検索サイト」を公開していて、税理士と税理士法人を検索できます。
このサイトの特徴は、登録の有無だけでなく、財務大臣による懲戒処分等を受けた者の情報まで公開されていることです。他の士業の会員検索にはない範囲まで確かめられるので、税理士に会社設立まわりを依頼するときは、必ず一度は開いてみてください。
- 検索できるもの税理士の氏名、税理士法人の名称、所属する税理士会と支部、登録番号、事務所の所在地。
- 処分の情報懲戒処分等を受けた者に関する情報が掲載されています。掲載の期間や内容の範囲はサイトの案内に従ってください。
- 国税庁のページからも辿れます国税庁も「税理士をお探しの方へ」というページで、税理士の探し方と検索の入口を案内しています。
- 公認会計士の場合公認会計士が税務を扱うには税理士登録が要ります。その場合は、税理士としてこの検索に出てくるかを見れば確かめられます。
会社設立の窓口で税金の話が出たとき、答えているのが税理士かどうかは確かめておいてください。税理士法52条は「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない」と定めており、報酬を得ているかどうかを条件にしていません。無料の相談であっても、個別の税額の計算に踏み込む回答は税理士の業務です。
なお、弁護士は所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内で税理士業務を行えます(税理士法51条1項)。この場合は税理士の検索には出てきませんので、弁護士としての登録のほうを確かめることになります。
出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。
04行政書士|定款や許認可を頼む相手を確かめる

定款の作成や、建設業・飲食業・古物商といった許認可の申請を依頼するのが行政書士です。日本行政書士会連合会が会員検索を公開しており、氏名・事務所名・所在地から登録を確かめられます。
行政書士の登録は都道府県の行政書士会を通じて行われ、登録番号が付されます。事務所のページに登録番号が書かれていれば、それと検索結果を突き合わせるのがいちばん早い方法です。
- 確かめられること氏名、事務所の名称と所在地、所属する行政書士会、登録番号。取扱業務を登録している会員は、その分野も表示されます。
- 会社設立で頼める範囲定款の作成と公証役場での定款認証の手続き、許認可の申請。登記申請書類の作成と登記申請の代理はできません(行政書士法1条の3第2項)。
- 制度そのものの説明総務省が行政書士制度のページを公開しています。制度の位置づけを確かめたいときはこちらが確実です。
- 行政書士法人の場合法人として登録している事務所は、法人名で検索します。個人名で出てこないときは法人名も試してみてください。
行政書士も司法書士も税理士も、事務所のページの下部や会社概要のところに登録番号と所属する会を記載しているのが一般的です。そこに何も書かれていない場合は、問い合わせのときに聞いてしまうのがいちばん早いです。答えにくい質問ではありませんし、通常はすぐに教えてもらえます。
なお、会社設立を行政書士に依頼した場合でも、登記は司法書士が担当します。窓口がひとつでも中では分担しているという形は珍しくないので、それぞれの担当者について確認するという考え方で見ておくと迷いません。
出典行政書士会員検索(日本行政書士会連合会) 末尾スラッシュなしが実効URL。
05社会保険労務士|全国を横断する個人の検索がありません

ここだけは事情が違います。会社設立のあと人を雇うときに依頼するのが社会保険労務士ですが、全国社会保険労務士会連合会に、全国を横断して個人を検索できる公式の仕組みはありません。
連合会が公開しているのは、各都道府県の社会保険労務士会を探すためのページです。そこから所在地の会のサイトへ進み、その会が公開している名簿や会員の検索を使う、という流れになります。ひと手間かかりますが、これが公式の入口です。会社設立のあとに社会保険を任せる専門家を探すときは、この順で辿ってください。
- まず都道府県の会を選ぶ連合会のページで、事務所の所在地を管轄する社会保険労務士会を選びます。
- 会ごとに公開の仕方が違います会員名簿を公開している会、検索できる会、問い合わせに応じる会と、扱いは一様ではありません。
- 連合会が運営する別の検索もあります特定の分野について認証を受けた社会保険労務士だけを収録した検索も用意されていますが、収録されているのは全体の一部です。ここに出てこないことは、登録がないことを意味しません。
- 分からなければ会に尋ねる所在地の社会保険労務士会に問い合わせれば、登録の有無は確かめられます。
「社労士 検索」で調べると、民間の団体が運営している検索サイトが上位に出てくることがあります。これらは連合会の公式の名簿ではありません。掲載されている・いないは登録の有無と関係がないので、資格の確認に使うのであれば、連合会が案内している都道府県会のほうから辿ってください。
会社設立の依頼という場面では、社会保険労務士が関わるのは設立後の手続きです。健康保険・厚生年金の新規適用届や労働保険の保険関係成立届がそれに当たり、法人は代表者ひとりでも社会保険の適用事業所になります。税理士や司法書士はこれらの届出を業として代行できないため、担当が分かれる点も押さえておいてください。
出典各都道府県の社労士会を探す(全国社会保険労務士会連合会) 連合会公式の全国横断の個人検索は存在しない。都道府県会の一覧がこれ。chukidan.jp は民間団体なので公式扱いにしない。
06弁護士|登録は全国の検索で確かめられます

出資の設計が複雑な会社設立や、共同創業で株主間の取り決めを整えたい場合には、弁護士が依頼先の候補になります。弁護士は登記の代理も行えますし、所属弁護士会を経て国税局長に通知すれば税務も扱えます。
日本弁護士連合会は、登録しているすべての弁護士を検索できるページを公開しています。氏名や所属する弁護士会から引くことができ、登録番号と事務所が確認できます。
- 全登録者が対象です任意の登録制ではないため、弁護士として活動している人はここに出てきます。見つからない場合は、表記のゆれを疑ってください。
- 別に案内のページもあります連合会には中小企業向けの相談窓口の案内もあります。会社設立の相談先を探す段階では、そちらも入口になります。
- 弁護士法人の場合法人として登録している事務所は、その名称で確かめます。
- 会社設立で頼む場面登記の代理も可能ですが、実務では司法書士に依頼するのが一般的です。弁護士に依頼する意味が大きいのは、権利関係の設計が絡むときです。
弁護士に会社設立を依頼する場面はそれほど多くありませんが、登記・定款・税務を一人で扱える資格であることは知っておいて損はありません。共同出資の割合や、将来の増資を見据えた設計まで含めて相談したいときは、選択肢に入れてよいと思います。
氏名か事務所名で引く、登録番号と所属する会を見る、事務所のページの表記と突き合わせる。この三つはどの士業でも共通しています。会社設立で複数の専門家に依頼することになった場合も、同じ手順を繰り返せば足ります。
ここまでで、五つの士業の確認方法が出そろいました。次は、検索の外側で見ておくこと、つまり事務所のページと見積書のどこを読むかに移ります。
出典弁護士情報検索(日本弁護士連合会) 全登録弁護士が対象。ひまわりサーチ(bengoshikai.jp)は任意登録制なので性質が違う。
07事務所のページと見積書で、あと三つだけ見ておく

検索で登録が確かめられたら、あとは書かれているものを読むだけです。会社設立の依頼先を選ぶときに見ておくのは、次の三つで足ります。

次に見積書です。会社設立の費用は実費(法定費用)と報酬に分かれ、実費は誰に依頼しても自分で手続きしても同じ額です。見積書でこの二つが分かれているかどうかは、確かめておいてください。分かれていないと、あとから何が追加になるのかが読めません。

広告の表示についても、ひとことだけ。消費者庁が所管する景品表示法は、商品やサービスについて実際よりも著しく優良である、あるいは著しく有利であると誤認させる表示を禁じています。会社設立の依頼先を比べているときに、根拠の示されない優位の表示や、結果を保証するような言い切りを見かけたら、その根拠がどこにあるのかを尋ねてみてください。
設立の手数料を0円としている案内は珍しくありません。多くは顧問契約を前提に設立サポート料を無料にし、登記は提携する司法書士が担当するという組み立てです。誰の報酬が0円なのか、登記の実費と司法書士の報酬は別なのか、顧問契約の月額と最低契約期間はどうなっているのか。この四つが同じ画面に書かれているかを見てください。
出典景品表示法(消費者庁) 「最安」「No.1」などの表示を扱うときの根拠。
08まとめ|確認の手順を、順番どおりに並べておきます

会社設立の依頼先が有資格者かどうかを確かめる手順は、結局のところ三つの動作の繰り返しです。検索して、事務所の表記と突き合わせて、足りないところは尋ねる。最後に、その順番を並べておきます。

見つからなかったときに、まず疑うこと
検索で出てこなかったからといって、すぐに結論を出す必要はありません。登録上の氏名と広告に出している名前が違う、事務所が移転して所在地が変わっている、法人と個人で登録が分かれているといった理由はよくあります。旧字体や、姓と名の間の空白の有無で引っかからないこともあります。
それでも見つからないときは、事務所に登録番号と所属する会を尋ねてください。登録された専門家であれば、答えられない質問ではありません。会社設立の依頼は一度きりの取引になることが多いので、最初に聞いておくのが結局はいちばん早い方法です。
資格の確認が済んだあとは、対応してもらえる範囲と費用の内訳を見比べる段階に移ります。会社設立は登記・税務・社会保険・許認可に分かれ、担当する専門家もそれぞれ違います。複数の専門家に依頼することになっても、確認の手順は同じです。どこを誰に依頼するのかを決めたうえで、必要な数だけ確認を繰り返してください。制度も各サイトの仕様も更新されますので、実際に確かめるときは記事に添えた出典から最新の内容をご覧ください。
出典税理士をお探しの方へ(国税庁)
確認は5分で終わります。先にやっておいてください
資格の確認は、身構えるような作業ではありません。氏名か事務所名を検索欄に入れて、出てきた登録の内容を見る。それだけです。会社設立の依頼先を決める前の5分で終わります。多くの場合は問題なく見つかりますし、見つかったという事実そのものが、その後のやり取りを落ち着かせてくれます。
見つからなかったときも、いきなり結論を出す必要はありません。登録名と屋号が違う、支店の名前で出している、担当者と代表者が別といった理由はいくらでもあります。そのときは、事務所に「登録番号と所属する会を教えてください」と尋ねてください。答えられない相手であれば、そこで初めて考え直せばよいことです。
そして、資格の確認は依頼先の良し悪しを決めるものではありません。登録されているかどうかは、あくまで出発点です。そのうえで、対応してもらえる範囲、費用の内訳、連絡の取りやすさを見比べて、会社設立を任せる専門家を選んでください。個別の見積もりが妥当かどうかは、複数から取って比べるのが確実です。
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