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会社設立の前に税理士へ相談すると効くところ|資本金・決算期・役員報酬は登記のあとでは変えにくい

公開 約10分(5,646字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

会社設立の前に税理士へ相談すると効くところ|資本金・決算期・役員報酬は登記のあとでは変えにくい

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 会社設立の依頼先はだいたい決まっていて、会社設立で税理士に相談するなら、いつ、何を聞けばいいのかを知りたい方。
  • 会社設立の資本金をいくらにするか、決算期をいつにするかを自分で決めかねていて、専門家に相談する前に論点だけ把握しておきたい方。
  • この記事は、税額を下げる方法を書いたものではありません。書いているのは、登記が終わったあとでは変えにくいものが何かと、それを決めるときに税理士へ何を聞けるか、という範囲です。具体的な金額や有利不利の判断は、ご自身の事情を伝えたうえで税理士にご相談ください。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

1相談できるのは、税理士法2条1項の三つ目にあたる部分

設立前の相談が税務相談にあたることを表したイラスト
設立前の相談は、税理士に依頼できる三つの業務のひとつです。

会社設立の前に税理士へ相談することは、税理士法2条1項が定める業務のうち、三号の税務相談にあたります。同項は税理士の業務を、一号の税務代理、二号の税務書類の作成、三号の税務相談の三つに分けています。会社設立の相談は、このうち三号に収まります。

裏を返すと、この三つに入らないことは税理士に依頼できません。会社設立でいえば、登記の申請と登記申請書類の作成は司法書士(および弁護士)、定款の作成と許認可は行政書士、社会保険と労働保険の届出は社会保険労務士の分野です。相談の場でこれらの話題が出ても、実際の手続きは別の専門家に回ることになります。

設立前後の相談ごとを税理士・司法書士・行政書士・社労士のどの専門家が担当するかを示した表
無料の相談を使う手もあります

会社設立を正式に依頼する前の段階であれば、商工会議所やよろず支援拠点、税理士会の相談窓口など、公的な無料の相談も使えます。ただし窓口では代理までは行いません。書類の作成や提出を頼む段になったら、それぞれの専門家への依頼が必要になります。

出典税理士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2条1項が業務(1号税務代理・2号税務書類の作成・3号税務相談)、3条1項4号が公認会計士の資格、51条が弁護士の通知、52条が業務の制限、59条1項が罰則(2年以下の拘禁刑又は1…

2あとから変えにくいものと、変えやすいもの

変えやすい項目と変えにくい項目を分けたイラスト
登記される事項ほど、先に決めておく意味があります。

会社設立で決めることは、あとから変えられるかどうかで手ざわりがかなり違います。分かれ目になるのは、その項目が登記される事項なのか、定款に書く事項なのか、社内で決めるだけの事項なのかという点です。

会社設立で決める項目を、変えるのに手続きが要るものと社内で決められるものに分けた図

左側にあるものほど、会社設立の前に相談しておく意味が大きいということになります。とくに資本金と決算期は、税務の面から見ておいたほうがよい項目です。

登記事項を変えると登録免許税がかかります

会社設立で決める商号や本店、事業目的、資本金の額は、いずれも登記される事項です。変更するには変更登記の申請が必要で、そのつど登録免許税がかかります。会社設立のときの登録免許税とは別に発生するものだと考えてください。金額は変更する内容によって異なります。

出典会社法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 26条1項・30条が株式会社の定款と認証、575条が持分会社の定款(認証の規定はない)、579条が設立の登記による成立。

3資本金の額。設立の実費にも、その後にも効いてきます

資本金の額が実費と設立後の両方に関わることを表したイラスト
資本金は、実費の計算にも設立後の扱いにも関わります。

資本金の額は、会社設立のときの実費と、設立したあとの扱いの両方に関わります。まず実費のほうから見ておきます。

  • 設立登記の登録免許税株式会社は資本金の額の0.7%で、これで計算した額が15万円に満たないときは15万円です。合同会社は同じく0.7%で、6万円に満たないときは6万円になります(登録免許税法 別表第一 第24号(一))。
  • 定款認証の手数料株式会社だけに必要です。資本金の額等が100万円未満は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円。100万円未満で一定の条件を満たす場合は1万5,000円になります。
  • 設立したあとの扱い資本金の額は、事業年度の消費税や地方税の扱いにも関わってきます。ここは事業の中身によって変わるため、税理士に確認してください。
実費は誰に依頼しても同じ額です

会社設立の費用は「実費(法定費用)」と「報酬」に分かれます。登録免許税や定款認証の手数料といった実費は、どの専門家に依頼しても、自分で手続きしても同じ額です。事務所によって差が出るのは報酬のほうだけです。当サイトでは費用の内訳や試算は扱っていません。

資本金の額をどうするかは、実費の話だけでは決められません。取引先や金融機関から見たときの見え方、許認可の要件に資本金の下限がある業種かどうか、当面の運転資金をどこまで会社に入れておくか。税務の面は税理士、登記や機関設計の面は司法書士と、見てもらう相手が分かれます。

資本金の額を決める前に許認可の要件を確かめる分岐図

出典No.7191 登録免許税の税額表(国税庁)

4決算期。設立の時点で決めて、定款に書きます

決算期を決めることを表したイラスト
決算期は定款に書く事項です。設立時に決めておきます。

事業年度、いわゆる決算期は、会社設立の定款をつくる時点で決めて書き込みます。あとから変えるには定款の変更が必要で、株式会社であれば株主総会の決議が要ります。会社設立のときに決めておいたほうがよい項目のひとつです。

決算期をどこに置くかで、次のようなことが変わってきます。どれも、事業の中身によって向き不向きが分かれるところです。

  • 最初の事業年度の長さ
    設立の日から最初の決算日までが第1期になります。設立してすぐに決算期が来ると、短い期間で申告の手間が一度発生します。
  • 繁忙期との重なり
    決算と申告の作業は決算日のあとに来ます。事業の繁忙期と重なると、双方が重くなります。
  • 税務署などへの届出
    決算期は法人設立届出書にも書きます。会社設立の日以後2か月以内が提出の期限です。
  • 消費税の扱い
    事業年度の区切り方は消費税の扱いにも関わることがあります。ここは事業の内容で変わるため、税理士にご確認ください。
  • 第1期をどれくらい取るかは相談しておくとよい項目です

    会社設立の日から最初の決算日までの長さは、決算期の置き方で決まります。税理士に相談する価値がいちばん分かりやすいのがここだと思います。ご自身の事業の見通しを伝えたうえで、いつを決算日にするのが進めやすいかを聞いてみてください。

    なお、決算期を変更したくなった場合、手続きそのものはできます。定款を変更し、税務署などへ異動届出書を出すことになります。ただし変更した事業年度の申告が入るなど、事務が一度増えます。会社設立の時点で決めておければ、それに越したことはありません。

    なお、決算期を3月に置く会社が多いのは、国や自治体の年度に合わせているという事情もあります。ただ、会社設立で決算期を選ぶときに「多いから」を理由にする必要はありません。取引先の締めや、事業の繁忙期のほうが、実務では効いてきます。ここも税理士に事情を伝えて相談できる部分です。

    もうひとつ、設立してすぐの時期は、売上が立つ前に支出だけが先に出ることがあります。第1期をどれくらいの長さに取るかは、その時期の会社の姿がどう決算書に表れるかにも関わってきます。会社設立の相談では、このあたりまで含めて聞いておくと、あとで慌てずに済みます。

    出典No.5100 新設法人の届出書類(国税庁)

    5役員報酬。決め方に手続き上の区切りがあります

    役員報酬の決め方を表したイラスト
    役員報酬は税務と社会保険の両方に関わります。

    会社設立のあと、役員報酬は社長ご自身に支払う給与という形になります。会社の経費として扱うためには、決め方と支払い方に条件があります。この条件があるために、期の途中で自由に増やしたり減らしたりできるものではありません。

    会社設立の場面でいえば、次のような論点になります。いずれも税務の話なので、税理士に相談できる範囲です。

    • いつから役員報酬を出しはじめるか。設立の直後から出すのか、しばらく置くのか。
    • 毎月いくらにするか。会社に残す分と、個人が受け取る分の配分。
    • 社会保険料との関係。法人は代表者ひとりでも健康保険と厚生年金の対象になり、報酬の額によって保険料が変わります。
    • 給与支払事務所等の開設届出書を出す必要があるかどうか。
    この記事では有利不利の判断は書いていません

    役員報酬をいくらにすると税と社会保険を合わせて有利になるか、という話は、ご自身の事業の状況によって答えが変わります。当サイトでは個別の判断を行っていません。金額の決め方については、事情を伝えたうえで税理士にご相談ください。

    社会保険のほうは税理士の分野ではありません。健康保険・厚生年金の新規適用届や、報酬にもとづく手続きは社会保険労務士の分野です。役員報酬を決めるときは、税務と社会保険の両方から見ることになるため、二人の専門家が関わる場面になります。

    出典A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出(国税庁)

    6相談するときに、こちらから伝えておくとよいこと

    相談の準備をすることを表したイラスト
    決まっていないことこそ、相談の中身になります。

    会社設立前の相談は、こちらの事情が分からないと一般論で終わってしまいます。次のようなことを先に整理しておくと、専門家の側も具体的に答えやすくなります。

    設立前に税理士へ相談するときに手元にあるとよい情報のチェックリスト

    相談だけで終わらせても構いません

    会社設立のサポートを行っている事務所では、初回の相談を無料にしているところもあります。相談したからといって、その場で依頼を決める必要はありません。複数から話を聞いて比べるのは普通のことです。

    そのうえで、依頼するかどうかを決めるときに見るとよいのは、金額よりも先に対応の範囲です。会社設立のサポートに登記が含まれるのか、それは提携する司法書士が担当するのか。税務の届出はどこまでか。社会保険は範囲に入るのか。ここがそろっていないと、あとから追加が出てきます。

    出典税理士に相談する(日本税理士会連合会)

    7設立サポートと顧問契約は、分けて考えられます

    設立サポートと顧問契約が別の契約であることを表したイラスト
    設立の依頼と顧問契約は、分けても、まとめても構いません。

    税理士に会社設立を相談すると、多くの場合そのまま会社設立後の顧問契約の話につながります。この二つは別の契約なので、まとめて考えることも、分けて考えることもできます。

    設立サポートと顧問契約を分けた場合とまとめた場合を比べた図
    「設立手数料0円」を見たときに確かめる四つ

    誰の報酬が0円なのか(税理士の設立サポート料か、司法書士の登記報酬か)、②登記の実費(登録免許税など)と司法書士の報酬は別か含むか、③顧問契約の月額と最低契約期間、解約の条件、④設立費用だけでなく総額でいくらになるか。この四つをそろえて比べてください。

    会社設立のあとに顧問を付けるつもりが最初からあるなら、まとめて依頼したほうが手間は減ります。逆に、しばらく自分で記帳してみたいという場合は、会社設立だけを依頼して顧問はあとから考える、という進め方もできます。どちらが正解ということはありません。

    出典会社設立費用が0円で依頼できる税理士の注意点(税理士コンシェルジュ) 0円モデルの構造を説明する補助として使う。個別事務所の推奨には使わない。

    8まとめ|登記の前に一度、税務の目で見てもらう

    設立前に相談しておく項目のまとめを表したイラスト
    決める前に相談すれば、選べる幅が残ります。

    会社設立で税理士に相談する意味がいちばん大きいのは、登記が終わる前です。理由は単純で、会社設立で登記される事項や定款に書く事項は、あとから変えようとすると手続きと費用がかかるためです。ここまでの内容を短くまとめます。

    • 相談は税理士の業務のひとつ税理士法2条1項3号の税務相談にあたります。ただし登記・定款の作成・許認可・社会保険は、それぞれ別の専門家の分野です。
    • 資本金会社設立の登録免許税の計算に入り、その後の扱いにも関わります。許認可に資本金の要件がある業種は、先に行政書士へ。
    • 決算期定款に書く事項です。第1期の長さと繁忙期との重なりを見ておきます。
    • 役員報酬決め方に手続き上の区切りがあります。社会保険料にも関わるため、社会保険労務士の話も出てきます。
    • 実費と報酬は別登録免許税や定款認証の手数料は、誰に依頼しても自分で手続きしても同じ額です。
    • 設立サポートと顧問契約別の契約です。まとめても分けても構いません。0円の案内は四つの点を確かめてから。

    相談する相手が本当に登録された税理士かどうかは、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで確かめられます。これは特定の事務所を勧めるものではなく、どの専門家を選ぶ場合にも共通して使える確認の手段です。

    ここに書いたのは論点の一覧です。どの選び方がご自身に合うかは、事業の中身と資金の状況によって変わります。当サイトでは個別の判断を行っていません。制度も改正されますので、実際に決められるときは記事に添えた出典で最新の内容を確かめたうえで、税理士にご相談ください。

    出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。

    決める前なら選べます。決めたあとは手続きになります

    会社設立で決めたことを「あとから変えられるかどうか」は、その項目が登記される事項なのか、定款に書く事項なのか、社内で決めるだけの事項なのかでおおよそ決まります。登記される事項は変更登記が要り、登録免許税もかかります。定款に書いた事項の変更には、株式会社なら株主総会の決議が要ります。

    ですから、相談の順番としては登記の前がいちばん効きます。会社設立を依頼する先が税理士でも司法書士でも、定款の内容を固める前に一度、税務の面から見てもらう時間を取れないかを聞いてみてください。設立サポートを行っている事務所であれば、この相談は依頼の中に含まれていることが多いはずです。

    そして、ここに挙げたのはあくまで論点の一覧です。どの選び方がご自身に合うかは、事業の中身と資金の状況によって変わります。当サイトでは個別の判断は行っていません。実際に決められるときは、税理士に事情を伝えたうえでご相談ください。制度も改正されますので、記事に添えた出典で最新の内容をご確認ください。

    この記事は、依頼先を考えるのに役に立ちましたか。

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