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会社設立の依頼でトラブルになったときの相談先|士業会の苦情・紛議の窓口と、消費者ホットライン188

公開 約13分(7,634字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

会社設立の依頼でトラブルになったときの相談先|士業会の苦情・紛議の窓口と、消費者ホットライン188

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 会社設立を依頼した先とのやり取りがうまくいかなくなり、どこに相談すればいいのか分からず止まっている方。
  • まだ困りごとは起きていないけれど、万一のときの行き先を知ったうえで依頼したい方。備えとして読んでいただいても構いません。
  • この記事では、特定の事務所や業者を名指ししません。書いているのは、困りごとの中身ごとに、どの窓口が対応しているのかという地図です。会社設立を専門家に依頼すること自体を危ういものとして描くつもりはありません。窓口が用意されているのは、専門家に依頼するという関係が社会の仕組みとして整えられているからです。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

「トラブル」とひとくくりにせず、中身を分けるところから

困りごとの中身を分けて整理することを表したイラスト
まず中身を分けると、行き先が見えてきます。

会社設立の依頼をめぐる困りごとは、ひとくくりにすると相談先が決まりません。中身によって、扱う窓口が違うからです。どの専門家に依頼していたかによっても行き先が変わります。まずは、いま起きていることが次のどれに近いかを見てください。

  • 報酬や契約についての争い請求された金額が説明と違う、解約したのに返金されない、追加費用の説明がなかった。お金と契約条件をめぐるものです。
  • 業務のやり方や対応についての不満連絡が取れない、依頼したことが進んでいない、説明が足りない。業務の進め方をめぐるものです。
  • そもそも資格があるのか分からない登記の書類を資格の説明なしに作ってもらった、税務の相談に無資格で応じられた気がする。職域に関わるものです。
  • 損害が出た、または出そう手続きの誤りで実害が生じた、期限を過ぎた。責任の所在を詰める必要があるものです。
依頼した相手が士業かどうかで相談先が分かれることを示した分岐図
相談の前に、そろえておくと話が早いもの

契約書と見積書、請求書、やり取りの記録(メールやメッセージ)、支払いの記録、そして起きたことを日付順に書き出したメモ。この五つがそろっていると、どの窓口でも話が進みやすくなります。会社設立の依頼は期間が長くなることがあるので、記憶だけに頼らず記録を並べてください。

出典起業・副業をめぐる消費者トラブルの被害救済に関する調査報告(国民生活センター)

士業に依頼していた場合、所属する会に窓口があります

士業会の窓口の位置づけを表したイラスト
会は会員を指導する立場にあるため、苦情の窓口があります。

司法書士・行政書士・税理士・社会保険労務士・弁護士は、いずれもそれぞれの会に必ず入会したうえで業務を行うという仕組みになっています。会は会員である専門家に対する指導や監督の役割を持っていて、その一環として、依頼した方からの苦情や相談を受ける窓口を設けています。

各士業会の苦情窓口と消費生活センターの違いを比べた図

会の窓口は、依頼した相手の所属先に連絡するのが基本です。司法書士も行政書士も、都道府県ごとの会に所属しています。どの会に所属しているかは、全国団体の会員検索で調べられます。日本司法書士会連合会の司法書士検索、日本行政書士会連合会の行政書士会員検索、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトなどです。

会は「個別の代理人」ではありません

会の窓口は、依頼した方の代わりに相手と交渉したり、返金を取り立てたりする場ではありません。会員への指導や、双方の言い分を整理する仕組みとして設けられています。金銭の回収そのものを求める場合は、別に法的な手段を検討することになります。

出典司法書士とのトラブル|東京司法書士会(東京司法書士会) 依頼した司法書士との紛争時の申出先と会の解決手続

司法書士に登記を依頼していた場合

司法書士会の苦情窓口を表したイラスト
所属する都道府県の会に窓口があります。

会社設立で登記の申請を代理できるのは司法書士(および弁護士)です。ですから、会社設立の依頼で登記に関わる困りごとが出た場合、相手は司法書士であることが多くなります。

司法書士については、都道府県ごとの司法書士会が、会員に対する苦情や要望を受ける窓口を設けています。東京司法書士会は「司法書士とのトラブル」の案内を、京都司法書士会は「司法書士に対する苦情について」の案内を、福岡県司法書士会は「要望・苦情窓口」を、それぞれ公開しています。連絡先や受付の方法は会ごとに異なりますので、依頼した相手が所属する会の案内をご確認ください。

  • 依頼した司法書士の所属会は、日本司法書士会連合会の司法書士検索で調べられます。
  • 苦情を伝えるときは、依頼の内容、契約の時期、報酬の額、何が起きたのかを日付順にそろえておきます。
  • 報酬をめぐる争いについては、会によって扱いが異なります。まず窓口に事情を伝えて、扱えるかどうかを確かめてください。
  • 登記そのものに誤りがある場合は、まず依頼先に是正を求めるのが先になります。会への相談は、それでも解決しないときの道です。
「本当に司法書士だったのか」が気になる場合

登記の申請書類を業として作成し、または申請を代理できるのは、司法書士と弁護士だけです(司法書士法3条1項1号・2号、73条1項)。会員検索に登録が見当たらない相手が、報酬を得て登記の書類を作成していたのであれば、そのこと自体を会や関係する窓口に情報として伝えるという道もあります。ここでは特定の業者を名指しすることはしませんが、確かめる手段は公開されています。

あわせて、東京司法書士会は資格のない相手による登記の取扱いについて注意を促す案内も出しています。会社設立を依頼する前に会員検索で確かめておけば、この種の心配はほとんど起きません。依頼する前の確認がいちばん軽い手当てだという点は、覚えておいて損がありません。

出典司法書士に対する苦情について | 京都司法書士会(京都司法書士会) 意見受付シートによる苦情申立の手順と受付時間

行政書士に定款や許認可を依頼していた場合

行政書士会の苦情窓口を表したイラスト
定款や許認可の依頼は、都道府県の行政書士会が窓口です。

会社設立では、定款の作成や、建設業・飲食業などの許認可の申請を行政書士に依頼することがあります。行政書士についても、都道府県ごとの会が苦情の受付窓口を設けています。大阪府行政書士会は「行政書士への苦情受付窓口について」、神奈川県行政書士会は「行政書士への苦情窓口について」という案内をそれぞれ公開しています。

行政書士に依頼したときの困りごとで、職域に関わりやすいのは次の点です。ここは知っておくと、行き違いを冷静に見分けられます。

  • 登記の書類まで作ってもらった気がする
    行政書士法1条の3第2項は「その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない」と定めています。登記申請書類の作成はここに当たり、行政書士の業務ではありません。
  • 定款の作成は行政書士の業務です
    定款は権利義務に関する書類にあたるため、行政書士が作成でき、公証役場での認証の手続きも扱えます。ここは職域の中の話です。
  • 許認可の見通しが違った
    許認可の可否は所管の官公署が判断します。見通しの説明と結果が違った場合、まず依頼先に経緯の説明を求めるのが先になります。
  • 報酬の説明と請求が違う
    契約書と見積書を並べて、どこがずれているかを特定します。そのうえで会の窓口に相談できます。
  • 職域の話は、事務所の善し悪しとは別です

    行政書士が登記を扱わないのは、法律でそう決まっているからであって、その事務所が不親切だからではありません。登記まで含めて頼みたい場合は、提携する司法書士がいるかどうかを最初に確かめておくのが、いちばん行き違いの少ない進め方です。

    なお、大阪府行政書士会は、資格のない相手が報酬を得て書類の作成を行う行為についての案内も公開しています。行政書士法19条1項に違反した場合の罰則は、同法21条の2で1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金と定められています。2026年5月21日施行の改正で条番号が繰り下がっているため、古い解説の条番号とは異なる点にご注意ください。

    出典行政書士への苦情受付窓口について|大阪府行政書士会(大阪府行政書士会) 会員とのトラブルを受け付ける窓口の受付曜日・時間・電話番号

    税理士・弁護士に依頼していた場合|紛議調停という仕組み

    紛議調停の仕組みを表したイラスト
    税理士会・弁護士会には、争いを調整する仕組みがあります。

    税理士と弁護士については、苦情の受付に加えて、紛議調停という仕組みがあります。依頼した方と会員との間で起きた争いについて、会が間に入って調整するものです。関東信越税理士会は、依頼者との間で争いになった場合に税理士会で相談できるかという問いに答える案内を公開しています。日本弁護士連合会も「弁護士とトラブルになったら」という案内で、紛議調停や懲戒請求の仕組みを説明しています。

    会社設立に関わる士業の業務の範囲を定めた条文を並べたカード

    会社設立を税理士に依頼した場合、税理士が自分の資格で行えるのは税理士法2条1項の三つ、すなわち税務代理・税務書類の作成・税務相談までです。登記は入りません。税理士事務所が会社設立の窓口になっているときは、登記の部分を提携する司法書士が担当しているのが通常の形です。この構造を知っていると、「登記の書類のことを税理士に聞いても要領を得なかった」という場面も、行き違いではなく役割の違いとして理解できます。

    紛議調停は、話し合いの場です

    紛議調停は、会が双方の言い分を聞いて調整する仕組みです。判決のように一方的な結論を出すものではなく、双方が納得できる着地点を探す場だと考えてください。取扱いの範囲や申立ての方法は会によって異なりますので、依頼した相手が所属する会の案内をご確認ください。

    出典Q9:お客様とトラブルになりましたが、税理士会で相談できますか? – 関東信越税理士会(関東信越税理士会) 税理士法にもとづく税理士会の紛議調停(裁判外紛争処理)の説明

    消費者としての相談窓口|消費者ホットライン188

    消費者ホットラインの案内を表したイラスト
    188にかけると、最寄りの相談窓口につながります。

    依頼した相手が資格者かどうかにかかわらず、契約についての困りごとを相談できる公的な窓口があります。消費者庁が案内している消費者ホットラインです。電話番号は188の三桁で、かけると最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。

    国民生活センターも、相談窓口の案内全国の消費生活センター等の一覧を公開しています。近くの窓口を先に調べてから連絡することもできます。

    • 相談は無料です。専門の相談員が事情を聞き、契約の内容や解約について助言をしてくれます。
    • 解約や返金の交渉について、進め方の助言を受けられることがあります。
    • 会社設立の依頼は事業に関わる契約にあたるため、消費生活センターの扱いになるかどうかは事案によって分かれます。まず事情を話して確かめてください。
    • 国民生活センターは、起業や副業をめぐる消費者トラブルについての調査報告も公表しています。どういう相談が寄せられているかを知る材料になります。
    事業者としての契約は、扱いが分かれることがあります

    消費生活センターは、消費者と事業者の間の契約を主な対象としています。会社設立の依頼は事業のための契約なので、相談を受け付けてもらえる範囲は窓口の判断によるところがあります。断られたとしてもそれは制度上の切り分けであって、相談すること自体に問題はありません。次の行き先を教えてもらえることもあります。

    なお、資格のない相手が報酬を得て登記の書類を作成したり、税務の相談に応じたりしていた場合、それぞれの法律に業務の制限の定めがあります。当サイトでは特定の業者を名指しして違法と決めつけることはしません。個別の事案がそれに当たるかどうかは、当サイトでは判断していません。気になる場合は、各士業会や消費生活センターに事実関係を伝えたうえで、扱いを確かめてください。

    出典消費者ホットライン | 消費者庁(消費者庁) 局番なし188で最寄りの消費生活相談窓口につながる制度の説明

    話し合いで収まらないとき|法テラスと弁護士会

    法テラスや弁護士会への相談を表したイラスト
    法的な請求として詰める段階では、専門の窓口があります。

    報酬の返還や損害の賠償といった、法的な請求として詰める必要がある段階になったら、法律の専門家である弁護士への相談が視野に入ります。ここでも、いきなり費用の高い相談に進まなくてよいように、入口が用意されています。

    • 法テラス国が設立した法的トラブル解決の総合案内所です。相談窓口や法制度の情報を無料で案内しています。収入などの条件を満たす場合、無料の法律相談や費用の立替えの制度があります。
    • 弁護士会の中小企業向け相談日本弁護士連合会は、中小企業と個人事業主に向けた法律相談の窓口を案内しています。会社設立の前後に関わる相談も、この枠組みで受けられることがあります。
    • 都道府県の弁護士会の相談センター地域ごとに法律相談センターが設けられています。相談料の扱いは会によって異なります。
    • 紛議調停との関係依頼した相手が弁護士であれば、まず所属する弁護士会の紛議調停という道もあります。どちらから始めるかは事情によります。
    「弁護士に相談=裁判」ではありません

    相談したからといって、必ず裁判になるわけではありません。言い分の整理と、取りうる手段の見通しを聞くだけでも意味があります。会社設立の依頼をめぐる争いは、金額の大きさから見て、話し合いで収める道を探ることのほうが多い場面です。

    なお、会社設立の依頼をめぐる困りごとは、時間が経つほど記録が散らばり、双方の記憶も薄れます。動くかどうかを決めるのは早いほうが楽です。すぐに請求すると決めなくてよいので、まずは事実を書き出して、どこかの窓口に一度話してみることをお勧めします。

    出典相談窓口・法制度 | 法テラス(日本司法支援センター(法テラス)) 法的トラブルの内容から相談窓口と関係法制度を探せる案内

    依頼する前に確かめておけば、そもそも減らせます

    依頼前の確認で困りごとを減らすことを表したイラスト
    資格の確認と、範囲を書面にすること。この二つが要です。

    ここまで相談先を並べてきましたが、いちばん軽く済むのは依頼する前に確かめておくことです。会社設立の依頼でよく起きる食い違いは、次の二つを押さえておくとかなり減ります。

    • 資格の登録を確かめる各士業の全国団体が会員検索を公開しています。氏名や事務所の所在地から、登録されているかどうかを確かめられます。特定の事務所を勧めるものではなく、どの専門家を選ぶときにも共通して使える手段です。
    • 依頼の範囲と条件を書面にする今回の会社設立の依頼はどこからどこまでか、登記は誰が担当するか、実費と報酬は分かれているか、追加になるのはどういう場合か。書面かメッセージの履歴に残しておきます。
    • 実費と報酬の違いを知っておく登録免許税や定款認証の手数料といった実費は、誰に依頼しても自分で手続きしても同じ額です。差が出るのは報酬のほうだけです。
    • 設立後の契約の条件を見る顧問契約が前提になっている案内では、月額と最低契約期間、解約の条件をあわせて確かめます。

    会員検索の入口をまとめておきます

    確認は、相手を疑う行為ではありません

    会員検索での確認は、会社設立を依頼するときの手順のひとつだと考えてください。登録されている専門家であれば、確かめられて困ることは何もありません。むしろ、確認を済ませたうえで依頼したほうが、依頼する側の気持ちも落ち着きます。

    出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。

    まとめ|相手の資格で、行き先が決まります

    相談先の地図をまとめたイラスト
    相手の資格が分かれば、行き先はすぐに決まります。

    会社設立の依頼でトラブルになったときの相談先を見てきました。整理すると次のようになります。

    • 司法書士に依頼していた所属する都道府県の司法書士会に、苦情や要望を受ける窓口があります。所属会は全国団体の検索で調べられます。
    • 行政書士に依頼していた都道府県の行政書士会に苦情受付の窓口があります。登記は行政書士の業務ではない、という職域の線も押さえておきます。
    • 税理士・弁護士に依頼していた苦情の受付に加えて、紛議調停という調整の仕組みがあります。
    • 資格のない相手だった、または分からない消費者ホットライン188から最寄りの消費生活センターにつながります。国民生活センターも窓口の一覧を公開しています。
    • 損害や返金が絡む法テラスと弁護士会の相談窓口があります。相談が必ず裁判につながるわけではありません。
    • これから依頼する会員検索で登録を確かめ、依頼の範囲と条件を書面に残しておきます。ここがいちばん軽い手当てです。

    窓口が用意されているというのは、会社設立を専門家に依頼するという関係が、社会の仕組みとして整えられているということでもあります。依頼が危ういから窓口があるのではありません。ここを取り違えて、依頼そのものをためらってしまうのはもったいないことです。

    この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。窓口の名称・連絡先・取扱いの範囲は変わることがありますので、実際に相談されるときは各セクションに添えた出典で最新の案内をご確認ください。個別の事案がどの窓口の扱いになるか、また相手の行為が法に触れるかどうかについては、当サイトでは判断していません。事実関係を整理したうえで、窓口や専門家に直接ご相談ください。

    出典相談(国民生活センターの紹介)_国民生活センター(独立行政法人国民生活センター) 消費生活相談の受付時間・電話番号、消費者ホットラインとの役割分担

    行き先は用意されています。ひとりで抱えないでください

    会社設立の依頼でうまくいかないことがあっても、行き先がないわけではありません。依頼した相手が司法書士なら司法書士会、行政書士なら行政書士会、税理士なら税理士会、弁護士なら弁護士会に、それぞれ苦情や紛議を扱う窓口があります。資格のない相手との契約であれば、消費者ホットライン188から最寄りの消費生活センターにつながります。

    相談するときに大切なのは、起きたことを時系列で書き出しておくことと、契約書・見積書・やり取りの記録を手元にそろえておくことです。これがあると、どの窓口でも話が早くなります。窓口の側も、事実関係が見えないと動きようがありません。

    そして、相談することは相手を責めることと同じではありません。双方の言い分を第三者に整理してもらうための場でもあります。会社設立は多くの方にとって初めての手続きですから、行き違いが残ってしまうこと自体は珍しくありません。この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。窓口の名称や取扱いは変わることがありますので、実際に相談されるときは各セクションの出典で最新の案内をご確認ください。

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