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会社設立を依頼するとき、頼む側が用意するもの|決めておくことと、そろえる書類を段階ごとに

公開 約11分(6,407字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

会社設立を依頼するとき、頼む側が用意するもの|決めておくことと、そろえる書類を段階ごとに

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 会社設立を専門家に依頼することは決めたけれど、依頼する側は何を用意しておけばいいのかが分からず、最初の連絡をためらっている方。
  • 「必要書類」で検索したら申請書の様式や記入例ばかりが出てきて、自分の手元に用意するものだけを知りたい方。
  • この記事は、会社設立の手続きをご自身で進めるための手順書ではありません。申請書の書き方も記入例も書いていません。書くのは、依頼する側が決めておくことと、依頼する側がそろえるものの二つだけです。書類の作成そのものは、依頼先の専門家の仕事になります。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

用意するものは「決めること」と「そろえるもの」に分かれます

用意するものが二つに分かれることを表したイラスト
決めることと、そろえるもの。重さが違います。

会社設立を依頼するときに用意するものは、性質の違う二つに分かれます。ひとつは自分で決めなければならないこと、もうひとつは役所などから取ってくるものです。この二つは重さがまったく違うので、混ぜて考えないほうが進みます。

会社設立の依頼で用意するものを決めることとそろえるものに分けた図

左側が決まらないと、右側をそろえても前に進みません。会社設立の依頼で日程が止まるのは、ほぼ左側です。逆に、左側さえ決まっていれば、右側は依頼先の指示に従って動くだけで済みます。

全部そろえてから相談する必要はありません

相談の段階では、決まっていないことがあって当然です。候補を持っていけば十分です。むしろ、決めきれていない部分こそ専門家に判断材料を出してもらうところなので、そのままお伝えください。

出典会社設立は誰に頼む?司法書士・行政書士・税理士に依頼できること(マネーフォワード) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

決めておくこと その一|商号・本店・事業目的

商号と本店と事業目的を決める場面を表したイラスト
定款の冒頭に来る三つ。ここが起点になります。

まず、会社の名前と場所とやることです。定款の冒頭に置かれる三つで、ここが決まらないと定款の作成が始まりません。

  • 商号(会社の名前)
    同じ本店の所在場所で同じ商号は登記できません。使える文字にも決まりがあります。会社設立を依頼した場合、同一商号・同一本店の調査は依頼先が行うのが通常です。候補を二つ三つ用意しておくと、調査の結果を受けて動きやすくなります。
  • 本店の所在地
    登記を申請する法務局の管轄が、ここで決まります。株式会社では定款を認証する公証人の所属も本店の所在地で決まります。自宅にするか、事務所を借りるかは先に決めておいてください。賃貸の場合、契約上の使い方に制限がないかも確かめておくところです。
  • 事業目的
    会社が行う事業を書きます。許認可が要る業種では、目的の書き方が許認可の審査に効いてくることがあります。いま始める事業だけでなく、近いうちに始めそうな事業も相談しておくと、あとで目的の変更登記をせずに済むことがあります。
  • 許認可が要りそうなら、この段階で伝えてください

    建設業、飲食業、古物商、産業廃棄物の収集運搬、旅行業、人材紹介、運送業など、営業に行政の許可や登録が必要な業種があります。心当たりがあれば、会社設立の相談の最初に伝えてください。許認可の申請書類の作成と提出代理は行政書士の分野なので、定款の段階から同じ専門家に相談できる形になることがあります。要否は業種と所管の官公署によって変わりますので、必ず所管の窓口にご確認ください。

    なお、事業目的は多く書けばよいというものではありません。目的の数が多すぎると、金融機関の口座開設や許認可の審査で説明を求められることがあると言われます。ここは判断が分かれるところなので、依頼先の専門家と相談して決めてください。

    出典会社法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 26条1項・30条が株式会社の定款と認証、575条が持分会社の定款(認証の規定はない)、579条が設立の登記による成立。

    決めておくこと その二|資本金・出資・役員・事業年度

    資本金と出資と役員と事業年度を決める場面を表したイラスト
    あとから変えにくいものが並びます。相談する価値の高い部分です。

    次が、お金と人の話です。この四つは、設立後に変えるとなると手続きが要るものが多く、会社設立の時点で考えておく意味があります。

    • 資本金の額登録免許税の計算の基礎になります。株式会社は資本金の額の0.7%で最低15万円、合同会社は同0.7%で最低6万円です。株式会社では定款認証の手数料も資本金の額の区分で変わります。
    • 誰がいくら出資するか発起人(合同会社では社員)が複数いる場合、出資の割合が持分や議決権に関わります。あとで話がまとまりにくくなりやすい部分なので、会社設立の前に取り決めを整理しておくほうが安全です。
    • 役員を誰にするか設立時の取締役や代表取締役を誰にするか。人数と構成によって、そろえる書類の種類と数が変わります。
    • 事業年度(決算期)登記の必須事項ではありませんが定款で定めます。設立後に変えるには手続きが要るため、税理士に相談する場面です。
    会社設立で決めた内容が定款や実費やそろえる書類にどう効くかを示した表
    資本金の額は、実費に直接ひびきます

    登録免許税は資本金の額の0.7%で、株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円です。株式会社の定款認証手数料は、資本金の額等が100万円未満で3万円(発起人が全員自然人で3人以下、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の定款の記載がある、取締役会を置く旨の記載がないという三つの条件をすべて満たせば1万5,000円)、100万円以上300万円未満で4万円、300万円以上で5万円です。これらは実費なので、誰に依頼しても自分で手続きしても同じ額になります。

    出典株式会社の設立手続き(中小企業基盤整備機構 J-Net21)

    そろえる書類|印鑑証明書と本人確認証明書

    印鑑証明書と本人確認証明書をそろえる場面を表したイラスト
    必要な範囲は依頼先が示します。取得の時期を確認してください。

    会社設立の依頼で、依頼する側が実際に取ってくる書類は、そう多くありません。中心になるのが印鑑証明書本人確認証明書です。何がどれだけ要るかは、会社の形と役員の構成によって変わります。

    法務局が公開している添付書面の説明では、株式会社の設立登記について、設立時代表取締役の印鑑証明書(就任承諾書に押した印鑑について市町村長が作成したもの)と、印鑑証明書を添付しない役員についての本人確認証明書(住民票記載事項証明書、運転免許証の写しに本人が原本と相違ない旨を記載して記名したものなど)が挙げられています。

    取得の時期に決まりがあります

    法務局は、印鑑届書に添付する印鑑証明書について作成後3か月以内のものと案内しています。早く取りすぎると使えなくなることがあるということです。まとめて先に取っておこうとして無駄になるより、依頼先に「いつ取ればいいですか」と聞いてから動くほうが確実です。

  • 誰の分が要るか
    会社の形と役員構成で変わります。合同会社では業務執行社員や代表社員の構成によって変わります。依頼先が必要な範囲を示してくれます。
  • 何通要るか
    登記の添付書面のほか、金融機関の口座開設などで使うこともあります。予備を含めて何通取るかを依頼先に確認してください。
  • 原本か写しか
    登記の添付書面には原本が求められるものがあります。原本の返却を希望する場合の扱いも、依頼先に確認しておくとよいところです。
  • 電子でそろえる場合
    就任承諾書に代わるべき情報に本人が電子署名を付け、電子証明書とあわせて送信したときは、別途印鑑証明書や本人確認証明書を提出する必要がないとされています。完全オンライン申請では、紙の書類が減ります。
  • この段は、依頼する側の作業としてはいちばん分かりやすい部分です。逆に、ここが遅れると登記の申請まで進めません。指示が来たら早めに動いてください。

    出典株式会社設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立):法務局(法務局) 添付書面の一覧と記載例

    印鑑証明書は、どこで取れるか

    印鑑証明書を窓口やコンビニエンスストアで取得する場面を表したイラスト
    印鑑登録が前提です。対応状況は市区町村によります。

    会社設立で使う印鑑証明書は、印鑑登録をしている市区町村で交付を受けます。窓口に行く方法のほかに、コンビニエンスストアなどの端末で交付を受けられる仕組みがあります。会社設立の準備を平日の日中に進めにくい方には、こちらのほうが動きやすいことがあります。

    この仕組みは、マイナンバーカードなどを使って、店舗に設置された端末から証明書の交付を受けるものです。利用できる証明書の種類、対応している市区町村、利用できる時間帯は一律ではありません。ご自身の住んでいる市区町村が対応しているかどうかを、先に確かめてください。

    • 先に印鑑登録が要る印鑑証明書は、印鑑登録をしていないと交付を受けられません。登録がまだの方は、そこから始まります。登録の方法は市区町村によって異なります。
    • マイナンバーカードの用意コンビニ交付を使う場合、マイナンバーカードと、登録した暗証番号が必要になります。
    • 対応の有無を確かめる対応していない市区町村もあります。会社設立の日程を組む前に確認しておくと安心です。
    • 取る時期は依頼先に確認作成後3か月以内という決まりがあります。依頼先の指示を待ってから取るほうが無駄がありません。
    同居のご家族が発起人や役員になる場合

    発起人や設立時役員にご家族が入る場合、その方の印鑑登録と印鑑証明書も必要になることがあります。ご自身のぶんだけ用意して足りると思い込まないようにしてください。誰の分が要るかは、依頼先の専門家が示してくれます。

    出典コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付【コンビニ交付】 | 証明書の取得方法(地方公共団体情報システム機構(J-LIS)) 印鑑登録証明書のコンビニ交付の全国的な仕組み

    印鑑まわり|個人の実印、会社の印鑑、電子証明書

    個人の実印と会社の印鑑と電子証明書を表したイラスト
    オンライン申請では印鑑の提出は任意とされています。

    印鑑の話は、会社設立の中でも少し整理が要ります。会社設立で出てくる印鑑には、個人の実印会社の印鑑の二つがあり、性質が違います。

  • 個人の実印
    市区町村に登録している印鑑です。印鑑証明書とセットで使います。登録がまだなら、まずここからです。
  • 会社の印鑑(いわゆる会社実印)
    登記所に提出する会社の印鑑です。書面で申請する場合や、代理人への委任状が書面の場合には押印が必要になります。
  • 会社の印鑑の提出
    法務省は、オンライン申請の場合は印鑑の提出は任意としています。ただし登記所が発行する印鑑証明書が必要であるなどの理由がある場合には提出できる、と案内されています。
  • 電子証明書
    完全オンライン申請では、書類に電子署名を付けます。一人株式会社または一人合同会社であれば、公的個人認証サービスの電子証明書を取得することで対応できると案内されています。
  • 会社の印鑑は「作らなくてもよい」わけではありません

    登記の場面での提出が任意になったというだけで、会社の印鑑そのものが不要になったという話ではありません。契約書や金融機関の手続きで求められる場面は残ります。作るかどうか、どの種類を作るかは、事業の進め方によって判断してください。会社設立を依頼している場合は、依頼先に相談できます。

    印鑑の提出は、登記申請とは別に印鑑届書を作成して管轄の登記所に持参または送付するか、オンラインによる登記申請とあわせてオンラインで提出することができるとされています。印鑑届書には、市町村に登録済みの印鑑を押印し、その印鑑について市町村長が作成した印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)を添付する必要があります。ここでも印鑑証明書が出てきます。

    依頼している場合、この手配は依頼先の専門家が組み立てます。依頼する側は、指示された印鑑を、指示された箇所に押すという動きになります。どの印鑑を使うのかが分からなくなったら、その都度確認してください。

    出典法務省:オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)(法務省) 印鑑の提出はオンライン申請と同時にのみ可能

    渡すときに確かめておくこと

    そろえた書類を依頼先に渡す場面を表したイラスト
    原本の扱いと個人情報の扱いを確かめておいてください。

    会社設立のためにそろえた書類を依頼先に渡す段になったら、いくつか確かめておくとよいことがあります。あとで困りやすいのは、原本の扱いと、個人情報の扱いです。

    会社設立の書類を依頼先へ渡す前に確認する項目を並べたチェックリスト

    もうひとつ。会社設立を依頼している事務所が窓口をひとつにしている場合でも、書類の行き先は複数になることがあります。定款は公証人へ、登記の添付書面は法務局へ、税務の届出は税務署へ。渡した書類がどこへ行くのかを一度確認しておくと、あとの連絡が理解しやすくなります。

    資格の確認は、どの依頼先でも同じようにできます

    司法書士は日本司法書士会連合会、行政書士は日本行政書士会連合会、税理士は日本税理士会連合会の税理士情報検索サイト、社会保険労務士は各都道府県会、弁護士は日本弁護士連合会で、登録の有無を確かめられます。特定の事務所を疑うための手段ではなく、どの依頼先にも共通して使える確認の方法です。

    出典会社設立手続きは司法書士に依頼できる?法人設立の相談先の選び方(弥生) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

    まとめ|決めることを先に、書類は指示を待って

    用意するもののまとめを表したイラスト
    決めることを先に。書類は指示を待ってから動いてください。

    会社設立を依頼するときに用意するものを、決めることとそろえるものに分けて見てきました。まとめます。

    • 先に決めること商号、本店の所在地、事業目的、資本金の額、出資者、役員、事業年度。候補の段階で相談して構いません。
    • そろえるものは多くない印鑑証明書と本人確認証明書が中心です。誰の分が何通要るかは、会社の形と役員構成で変わります。
    • 取得の時期に決まりがある印鑑届書に添付する印鑑証明書は作成後3か月以内のものとされています。早く取りすぎないでください。
    • 印鑑の提出は任意になったオンライン申請の場合、登記所への印鑑の提出は任意とされています。ただし会社の印鑑が不要になったという意味ではありません。
    • 電子でそろえられる場合がある電子署名を付けて送信する形では、紙の印鑑証明書や本人確認証明書が不要になる場合があります。
    • 渡す前の確認受け取る資格者、原本の返却、通数、個人情報の扱い。

    この記事では、会社設立の申請書の書き方や記入例には触れていません。書類をつくるのは依頼先の専門家の仕事だからです。依頼する側は、決めることを決め、指示された書類をそろえ、指示された箇所に署名か押印をする。この三つで足ります。

    なお、会社設立の手続きをご自身で行うことは、どの資格がなくてもできます。本人申請は合法で、現実的な選択肢のひとつです。この記事で挙げたものは、依頼する場合に用意するものとして整理したものです。

    制度も運用も変わります。この記事は2026年9月1日時点で確認した内容です。各セクションに添えた出典で最新の内容をご確認ください。実際に何が必要かは事案によって変わりますので、依頼先の専門家と、管轄の法務局にご確認ください。

    出典商業・法人登記の申請書様式(法務局)

    そろえるものより、決めることのほうが重いです

    会社設立の依頼で用意するものを見ていくと、書類そのものは意外と少ないことに気づかれると思います。印鑑証明書と本人確認証明書、それに払込みの記録。手間としては、市区町村の窓口かコンビニエンスストアで数枚取ってくるだけです。

    重いのは、決めることのほうです。商号、本店、事業目的、資本金、役員、事業年度。これは専門家に代わってもらえません。そして、決まらないと定款がつくれず、定款ができないと登記に進めません。会社設立の日程が止まるのは、たいていここです。

    ですから、依頼先へ最初に連絡するときは、完璧に決まっていなくて構いません。候補がいくつかある状態で相談すれば、専門家の側も判断材料を出しやすくなります。何をどこまで用意すればよいかは事案によって変わりますので、最終的には依頼先の専門家にご確認ください。

    この記事は、依頼先を考えるのに役に立ちましたか。

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