本文へ移動する
会社設立は誰に頼む? 依頼先比較の全てのことメディア
会社設立 顧問税理士 選び方 設立後

顧問税理士を選ぶときに確かめる項目|対応範囲・記帳の担当・連絡手段・訪問の頻度・料金の決まり方

公開 約11分(6,299字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

顧問税理士を選ぶときに確かめる項目|対応範囲・記帳の担当・連絡手段・訪問の頻度・料金の決まり方

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 会社設立を終えて、あるいは設立の準備と並行して、顧問税理士を探しはじめたところの方。
  • 複数の事務所から月額の案内をもらったものの、金額以外に何を見比べればよいのかが分からず、依頼先を決めきれずにいる方。
  • この記事では、特定の事務所を比べたり順位を付けたりはしません。税額を下げる方法の話も扱いません。書いているのは、依頼する前に確かめておくと食い違いにくい項目と、その聞き方です。会社設立の手続きを誰に依頼するかとは別の話として読んでください。個別の契約の可否や金額の妥当性は、見積もりを取って税理士にご確認ください。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

1顧問契約で頼めるのは、税理士法2条1項の三つの範囲です

顧問契約で頼める範囲が税理士法で決まっていることを表したイラスト
顧問契約でも、税理士の業務の枠は変わりません。

会社設立のあとに顧問税理士へ依頼できることは、税理士法2条1項が定める三つの業務の範囲に収まります。どの専門家に何を頼めるかは法律で決まっているためです。顧問という契約の形になっても、この枠が広がるわけではありません。

税理士法 2条1項

税理士は、他人の求めに応じ、租税(略)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。

一 税務代理(略)

二 税務書類の作成(略)

三 税務相談(略)

出典:税理士法(e-Gov法令検索(デジタル庁))

会社設立の後の場面に当てはめると、決算と申告、税務署などへの届出、日々の税務の相談がこの中に入ります。帳簿を作る作業そのものは、この三つのうち二号の書類の作成に近い位置づけで、実務上は顧問契約の中で扱われるのが普通です。

一方で、次のものは税理士の業務ではありません。顧問契約に入っているかどうかを確かめるときに、混ざりやすいところです。

  • 社会保険・労働保険の手続き
    健康保険・厚生年金の届出や、労働保険の手続きは社会保険労務士の分野です。給与計算の受託は行われることがありますが、届出の代行は別です。
  • 登記に関すること
    本店の移転や役員の変更なども登記です。司法書士(および弁護士)の分野で、税理士は業として行えません。
  • 許認可の申請
    官公署への許認可の申請書類の作成と提出代理は行政書士の分野です。
  • 法律上の紛争の代理
    取引先とのもめごとの代理交渉は弁護士の分野になります。
  • 「まとめて対応します」と案内されている場合

    税理士事務所が社会保険や登記まで案内していることがあります。その場合は、事務所内の別の資格者か、提携している専門家が担当しています。この形に問題はありません。会社設立を依頼するときと同じで、確かめるのは「その部分はどなたが担当されますか」という一点です。

    出典税理士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2条1項が業務(1号税務代理・2号税務書類の作成・3号税務相談)、3条1項4号が公認会計士の資格、51条が弁護士の通知、52条が業務の制限、59条1項が罰則(2年以下の拘禁刑又は1…

    2対応範囲|月額に何が含まれるかを、項目で確かめる

    顧問契約に含まれる仕事を項目で確かめることを表したイラスト
    同じ月額でも、含まれる仕事は事務所ごとに違います。

    顧問料の月額だけを並べても、事務所ごとの違いはほとんど分かりません。同じ月額でも含まれている仕事が違うためです。まず、範囲を項目で確かめるところから始めます。

    顧問契約の範囲として契約前に確かめる項目を並べたチェックリスト

    この表を持って行って、ひとつずつ「これは含まれますか」と聞けば足ります。会社設立から関わっている専門家であれば、どれも即答できる質問です。依頼する側が遠慮する必要はありません。答えが分かれたところが、事務所ごとの違いになります。

    会社設立の直後に出す届出も、範囲に入るか確かめておきます

    法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書。会社設立の直後にはこれらの届出があります。会社設立のサポートを受けずに顧問だけを依頼する場合、これらが顧問料に含まれるのか、別の料金になるのかを確かめてください。期限があるものなので、担当も早めに決めておくほうが安全です。

    出典税理士とは(日本税理士会連合会) 税務代理・税務書類の作成・税務相談の三業務と付随業務の範囲

    3記帳をどちらがやるか。ここで手間も料金も変わります

    記帳を自分でやるか任せるかを表したイラスト
    記帳の担当が、手間と料金の両方を左右します。

    顧問契約の中身でいちばん差が出るのが、記帳をどちらが行うかです。会社設立のあと、日々の取引を帳簿に記録していく作業のことで、ここを自分でやるか任せるかで、こちらの手間も、料金の決まり方も変わります。

    記帳を自分で行う場合と任せる場合とで、確かめる項目が分かれることを示した図

    会社設立の直後は取引が少ないので、自分で記帳しておいて、あとから専門家に任せる形に切り替えるという進め方もできます。逆に、最初から任せてしまって本業に時間を使う、という考え方もあります。どちらも普通に選ばれています。

    帳簿の備付けは、青色申告の要件でもあります

    青色申告の承認を受けた法人は、帳簿書類を備え付けて取引を記録し、保存することが求められます。誰が記帳するかにかかわらず、帳簿そのものは必要です。自分で記帳する場合も、任せる場合も、この点は変わりません。詳しい要件は国税庁の案内でご確認ください。

    なお、記帳を任せる場合でも、領収書や通帳の整理はこちら側の作業として残ります。「全部やってもらえる」ではなく「どこまでをこちらが用意するのか」という聞き方をすると、実際の手間が見えやすくなります。

    出典C1-19 青色申告書の承認の申請(国税庁)

    4連絡の手段と、返事までの速さ

    顧問税理士との連絡手段を表したイラスト
    長く続く契約なので、連絡の取りやすさが効きます。

    顧問契約は毎月続く契約なので、連絡の取りやすさがそのまま使い勝手になります。会社設立の依頼のように一度きりで終わる仕事とは、この点が違います。長く付き合う専門家を選ぶ、という見方になります。

    • どの手段で連絡できるか電話、メール、チャット、専用の連絡ツール。どれが主な窓口になるのかを確かめます。手段が決まっていると、こちらも聞きやすくなります。
    • 返事の目安があるか何営業日で返すという目安を示している事務所もあります。目安がない場合でも、繁忙期の対応を聞いておくと見当が付きます。
    • 誰が答えるのか税理士本人が答えるのか、担当の職員が窓口になるのか。担当が代わることがあるかも聞いておくとよい項目です。
    • 質問の回数に決まりがあるか月に何回まで、といった区切りがある場合があります。あること自体は珍しくないので、決まりの有無を確かめておきます。
    税務の判断は、税理士でなければ答えられません

    顧問契約の窓口が職員の方であっても、個別の税額の計算に関わる判断は税理士の業務です。税理士法52条は、税理士でない者が税理士業務を行うことを禁じています。実務では職員が資料を整理し、判断は税理士が行うという分担になっているのが普通です。誰が答えているのかが分かる形になっているかを見ておいてください。

    会社設立の直後は、分からないことがまとめて出てくる時期です。質問しやすいかどうかは、この時期にいちばん効きます。会社設立を依頼した専門家とそのまま顧問契約を結ぶ場合は、設立の手続きのあいだの応対がそのまま判断の材料になります。初回の面談のときに一つか二つ質問をしてみて、返ってくる説明の分かりやすさを見ておくと、判断の材料になります。

    出典税理士に相談する(日本税理士会連合会)

    5訪問の頻度と、面談の形

    訪問の頻度と面談の形を表したイラスト
    訪問の回数は、料金の決まり方にも関わります。

    顧問契約の案内でよく出てくるのが訪問の頻度です。毎月訪問、隔月訪問、年に数回、来社のみ、オンラインのみ。どの形でも構いませんが、料金の決まり方に関わってくることが多いので、確かめておく項目のひとつです。

  • 毎月の訪問
    月ごとに数字を見てもらえます。移動の時間が料金に反映されることがあります。
  • 数か月ごとの訪問
    節目ごとに見てもらう形です。合間の質問は連絡の手段で補うことになります。
  • オンラインでの面談
    遠方の事務所にも依頼しやすくなります。会社設立のときの面談方法と同じ考え方です。
  • 決算のときだけ面談
    記帳をご自身で行う場合に選ばれることがあります。年間の関わり方が少ない分、料金の決まり方も変わります。
  • 会社設立の依頼先を選ぶときと同じで、事務所が遠くても構わないかどうかは事業のやり方によります。書類のやり取りが電子でできるなら、距離はあまり問題になりません。訪問を前提にするかどうかを最初に決めておくと、選ぶ相手の範囲が決まります。

    訪問の回数が多いほど良い、ということではありません

    訪問が多ければ料金にも反映されますし、こちらの時間も使います。逆に、訪問が少なくても連絡が取りやすければ困らない、という場合もあります。どちらが良いかは事業のやり方によります。当サイトでは、どの形が優れているという評価はしていません。

    出典会社設立で代行できる手続きとは?専門家に依頼するメリット・デメリットと選び方(freee) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

    6料金の決まり方|何によって金額が動くのか

    顧問料の決まり方を表したイラスト
    金額より先に、何で金額が動くのかを見ます。

    料金の話です。まず前提として、税理士の報酬には公的な統計がありません。司法書士と行政書士には全国団体が公表する報酬の統計がありますが、税理士にはこれにあたるものがありません。ですから当サイトでは、顧問料の相場を金額で示すことはしていません。

    参考として挙げられる資料には、日本税理士会連合会の第7回税理士実態調査報告書があります。令和6年4月に実施され、回答は38,607件、回答率は44.8%という調査で、顧問報酬や決算報酬の分布が公開されています。ただしこれは実態を調べたもので、報酬の基準を定めたものではありません。金額は事務所ごとに自由に決められています。

    そこで依頼する側が見るのは、金額そのものより何によって金額が動くのかという決まり方のほうです。次のような項目が、料金を動かす要素としてよく使われています。

    • 会社の売上の規模。区分を設けている事務所があります。
    • 記帳をどちらが行うか。任せる場合は取引の件数で変わることがあります。
    • 訪問や面談の回数。
    • 従業員の人数。給与計算や年末調整が絡むと変わります。
    • 消費税の課税事業者かどうか。
    • 決算と申告が月額に含まれるか、別料金か。
    見積書では、実費と報酬が分かれているかを見ます

    会社設立のときの登録免許税や定款認証の手数料が実費であるのと同じで、実費は誰に依頼しても同じ額です。設立後にも証明書の取得費用などの実費が出てきます。報酬と混ざっていると比べようがないので、見積書で分かれているかを見てください。当サイトでは費用の内訳表や試算は扱っていません。

    なお、金額の表示については景品表示法があります。「最安」のような表示は、何と比べたのかが示されているかを見てください。当サイトでは、特定の事務所の料金を並べて比較したり、順位を付けたりはしていません。

    出典第7回税理士実態調査報告書 – 日本税理士会連合会(日本税理士会連合会) 令和6年4月実施、回答38,607件・回答率44.8%。顧問報酬・決算報酬の分布を各編PDFで公開

    71年の流れを聞いておくと、進め方が見えます

    会社設立後の1年の流れを表したイラスト
    いつ何をするのかを、先に聞いておきます。

    顧問契約を結ぶ前に、1年のうちいつ何が起きるのかを聞いておくと、進め方の見当が付きます。会社設立の直後は、これに設立時の届出が加わります。会社設立を依頼した先とは別の税理士に顧問を頼む場合も、流れそのものは同じです。

    会社設立のあと顧問税理士とやり取りする1年の流れを段階ごとに並べた図

    この流れのどこで、こちらが何を用意するのか。ここを最初に聞いておくと、あとから「聞いていなかった」となりにくいです。とくに5から6にかけての決算の時期は、資料をまとめて渡すことになるので、期限を先に確かめておいてください。

    設立の直後の届出には期限があります

    法人設立届出書は設立の日以後2か月以内に納税地の所轄税務署長へ提出することとされています。青色申告の承認申請書にも期限があります。顧問を探している最中に期限が来てしまわないよう、時期だけは見ておいてください。詳しくは国税庁の案内をご覧ください。

    出典No.5100 新設法人の届出書類(国税庁)

    8まとめ|五つを同じ順番で聞いてみてください

    顧問税理士を選ぶときの確認項目のまとめを表したイラスト
    五つを同じ順番で聞けば、違いが見えてきます。

    会社設立のあとに顧問税理士を選ぶとき、依頼の前に確かめる項目を五つにまとめます。どの専門家に聞いても、答えにくい質問ではありません。

    • 対応範囲決算と申告、年末調整、給与計算、税務調査の立ち会い。どこまでが月額に含まれるかを項目で確かめます。社会保険は税理士の業務ではありません。
    • 記帳をどちらがやるか自分で入力するのか、資料を渡して任せるのか。手間も料金の決まり方も、ここで変わります。
    • 連絡の手段どの手段で聞けて、誰が答えて、どれくらいで返ってくるか。長く続く契約なので効いてきます。
    • 訪問の頻度と面談の形毎月か、節目ごとか、オンラインか。回数が多いほど良いということではありません。
    • 料金の決まり方金額そのものより、売上の規模・取引の件数・人数など、何で動くのかを確かめます。

    登録された税理士かどうかは、名簿で確かめられます

    日本税理士会連合会が税理士情報検索サイトを公開しています。氏名や事務所の所在地から、登録されている税理士・税理士法人を検索でき、懲戒処分の有無まで確認できます。これは特定の事務所を勧めるものではなく、どの専門家を選ぶ場合にも共通して使える確認の手段です。会社設立を依頼する司法書士や行政書士といった専門家についても、それぞれの全国団体が同じような検索を用意しています。会社設立の依頼先を選ぶ段階から使える手段です。

    最後にもう一度書いておきます。顧問を付けるかどうか、いつから付けるかを決めるのはご自身です。会計ソフトで記帳をご自身で続けている法人もたくさんあります。付けないと何かが違法になる、ということはありません。この記事は、依頼すると決めたときに何を確かめるかを並べたものです。

    制度も条文も改正されます。この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。個別の契約の可否や金額の妥当性については当サイトでは判断していません。実際に決められるときは、記事に添えた出典で最新の内容を確かめたうえで、税理士をはじめとする専門家に直接ご相談ください。

    出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。

    同じ質問を、複数の専門家にしてみてください

    顧問税理士を選ぶときにいちばん効くのは、同じ質問を複数の事務所にしてみることです。対応範囲、記帳の担当、連絡の手段、訪問の頻度、料金の決まり方。この五つを同じ順番で聞けば、答えの違いがそのまま専門家ごとの進め方の違いになります。金額だけを並べても、この違いは出てきません。会社設立の依頼先を選ぶときと同じで、同じ質問を並べるのがいちばん確実です。

    そして、答えは書面で残してください。会社設立の依頼と違って顧問契約は毎月続く契約なので、思い違いがあると長く続きます。見積書か契約書に、範囲と料金の決まり方が書かれているかを見ておいてください。書かれていなければ、書き足してもらえるかを尋ねれば済みます。

    顧問を付けるかどうか、いつから付けるかも含めて、決めるのはご自身です。会計ソフトで記帳をご自身で続けている法人もたくさんあります。この記事は、会社設立のあとに専門家へ依頼すると決めたときに、何を確かめるかを並べたものです。制度は改正されますので、実際に判断されるときは記事に添えた出典で最新の内容をご確認ください。

    この記事は、依頼先を考えるのに役に立ちましたか。

    この記事のあとに読むと、つながるもの

    会社設立の依頼先は、ひとつの記事だけでは決めきれません。関係の深いテーマを並べています。

    他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

    掲載順は優劣を示すものではありません。関連しそうな順に並べているだけで、順位づけや推薦ではありません。各サイトの内容・料金・条件は提供者が随時変更します。ご覧になる時点の最新情報は、必ずそれぞれの公式ページでご確認ください。

    同じテーマの記事

    このテーマをすべて見る