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顧問税理士はいつから付けるか|設立前・設立直後・決算前、それぞれの判断材料

公開 約11分(6,553字) 合同会社commit 編集部 一次情報の確認日:2026年9月1日

顧問税理士はいつから付けるか|設立前・設立直後・決算前、それぞれの判断材料

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 会社設立の準備を進めていて、顧問税理士をいつから付けるのがよいのかの見当が付いていない方。
  • 設立してからしばらくは自分で記帳してみたいけれど、それで問題ないのかどうか、専門家に頼む時期を逃さないかが気になっている方。
  • この記事は、顧問を付けるように勧めるものでも、付けなくてよいと言うものでもありません。書いているのは、時期ごとに何が変わるのかと、時期に関係なくやってくる届出の期限です。税額を下げる方法の話は扱っていません。ご自身の場合にどの時期が合うかは、税理士に事情を伝えてご相談ください。
  • 会社設立でやること全体と、士業ごとの線引きをまとめて確かめたい方は、会社設立を誰に頼むかの全体像からお読みください。

顧問を付ける時期に、制度上の決まりはありません

顧問を始める時期に決まりがないことを表したイラスト
時期によって変わるのは、まだ間に合うことの中身です。

先に結論を書いておきます。会社設立のあと、顧問税理士をいつから付けなければならないという決まりはありません。付けないままで会社が続いても、それ自体で何かの違反になることはありません。法人に求められるのは帳簿を備え付けて申告することであって、税理士に依頼することではないからです。

では時期によって何が変わるのかというと、その時点でまだ専門家に頼めることの中身です。会社設立の前にしか決められないこともあれば、決算の前でも間に合うこともあります。並べてみます。

顧問税理士を始める時期ごとに、その時点でまだ間に合うことを比べた表

上の二行は会社設立の登記より前に決めるものなので、設立が終わってから相談しても、変更には手続きと費用がかかります。逆に下の三行は、あとから依頼しても間に合います。この違いが、時期を決めるときの土台になります。

自分で記帳を続けるのも、普通の選択肢です

会計ソフトを使って記帳をご自身で行っている法人はたくさんあります。会社設立の直後は取引が少ないことが多く、記帳の負担もそれほど大きくありません。依頼するかどうかは、事業に使える時間と取引の数で決めてください。当サイトでは、依頼しないと危ない、という書き方はしていません。

出典税理士とは(日本税理士会連合会) 税務代理・税務書類の作成・税務相談の三業務と付随業務の範囲

時期に関係なくやってくるのは、届出の期限です

設立後の届出に期限があることを表したイラスト
決めかねている間も、届出の期限だけは進みます。

顧問をいつから付けるかを考えるうえで、唯一こちらの都合で動かせないのが届出の期限です。会社設立の登記が終わると、税務署などへの届出が始まります。

  • 法人設立届出書内国普通法人等を設立した場合、設立の日以後2か月以内に納税地の所轄税務署長へ提出することとされています。定款等の写しを添付します。都道府県と市町村にも同様の届出があります。
  • 青色申告の承認申請書設立した事業年度から青色申告をしようとする場合、設立の日以後3か月を経過した日と、その事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までが期限です。
  • 給与支払事務所等の開設届出書給与を支払う事務所を設けた場合の届出です。役員報酬を出すのであれば、会社設立の時点から関係します。
  • 社会保険の新規適用届これは税理士の業務ではありません。法人は代表者ひとりでも健康保険・厚生年金の適用事業所になります。手続きは社会保険労務士の分野です。
届出だけを単発で依頼することもできます

顧問契約を結ばずに、会社設立の届出だけを依頼するという頼み方もあります。これは税理士法2条1項2号の税務書類の作成にあたるので、税理士に依頼できます。顧問を誰にするか決めかねている場合は、期限のあるものだけ先に相談してみてください。単発で受けているかどうかは事務所によって違いますので、問い合わせのときに確かめることになります。

会社設立の手続きをまとめて依頼している場合、これらの届出が依頼の範囲に入っていることもあります。入っているかどうかは見積書で確かめられます。入っていない場合、誰が出すのかを決めておかないと、期限だけが過ぎてしまいます。

なお、期限を過ぎたからといって会社設立が無効になるようなことはありません。ただ、青色申告の承認のように、期限との関係で扱いが変わるものはあります。具体的な影響はご自身の状況で変わりますので、心配な場合は税理士か所轄の税務署にご確認ください。

出典C1-4 内国普通法人等の設立の届出(国税庁)

設立の前から付ける場合

設立前から税理士に相談することを表したイラスト
登記の前にしか決められないものがあります。

いちばん早いのが、会社設立の登記より前から相談する形です。定款をつくる前の段階で税理士に入ってもらい、資本金の額や決算期の決め方を見てもらいます。

  • 決算期の決め方
    事業年度は定款に書く事項です。あとから変えるには定款の変更が必要になります。最初の事業年度をどれくらい取るか、繁忙期と重ならないかを見ておけます。
  • 資本金の額
    登記される事項で、設立登記の登録免許税の計算にも入ります。株式会社は資本金の額の0.7%で、15万円に満たないときは15万円。合同会社は同じく0.7%で、6万円に満たないときは6万円です。
  • 役員報酬の決め方
    決め方に手続き上の区切りがあり、期の途中で自由に動かせるものではありません。社会保険料にも関わるため、社会保険労務士の話も出てきます。
  • 設立後の記帳の進め方
    どの会計ソフトを使うか、資料をどう渡すか。設立の前に決めておくと、開始と同時に流れができます。
  • この時期に相談する意味は、登記が終わってからでは変えにくいものがあるという一点に尽きます。逆に言えば、これらを自分で決められる、あるいは司法書士に相談して決められるという場合は、無理に設立前から顧問を付ける必要はありません。

    設立前の相談だけを受けてもらう形もあります

    会社設立のサポートを行っている事務所では、初回の相談を無料にしているところもあります。また、商工会議所やよろず支援拠点といった公的な窓口でも、一般的な相談ができます。ただし窓口では代理までは行いません。書類の作成や提出を頼む段になったら、それぞれの専門家への依頼が必要になります。

    会社設立の手続きそのものを税理士事務所に依頼する場合は、この形になっているのが普通です。登記は提携する司法書士が担当し、税務の相談と届出は税理士が担当する、という分担です。この形に問題はありません。確かめるのは「登記はどなたが担当されますか」という一点だけです。

    出典会社設立は誰に頼む?司法書士・行政書士・税理士に依頼できること(マネーフォワード) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

    設立の直後から付ける場合

    設立の直後から顧問契約を始めることを表したイラスト
    届出の期限に間に合わせやすいのがこの時期です。

    次に、会社設立の登記が終わってから顧問契約を始める形です。会社設立の登記は司法書士に直接依頼して、税務は別の専門家に頼む、という進め方でもここに入ります。

    この時期から始めると、設立時の届出を最初から任せられます。法人設立届出書も青色申告の承認申請書も期限内に収まりますし、給与の支払いが始まるタイミングも一緒に見てもらえます。会社設立の手続きと顧問契約を分けたい方に向いた形です。

    • 向いている場合設立後すぐに取引が始まる、人を雇う予定がある、給与の支払いが最初から発生する。手続きがまとまって出てくる時期に、相談先があると進めやすくなります。
    • 気をつけること会社設立の日から数えて期限が来るものがあるので、顧問を探す時間はあまり長く取れません。登記の申請と並行して探しはじめるくらいの見当になります。
    • 設立前の論点は決まったあと資本金と決算期はすでに決まっています。相談できるのは、決まったものを前提にした進め方の話になります。
    • 会社設立の依頼先に紹介してもらう形も登記を担当した司法書士に、税理士を紹介してもらうこともできます。紹介だからといって、そのまま決めなければならないわけではありません。
    設立の日は登記の申請日です

    会社は本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します。届出の期限の起算点になる「設立の日」は、この登記を申請した日です。登記が完了した日ではありません。期限を数えるときに間違えやすいところなので、依頼した司法書士に申請日を確かめておいてください。

    出典A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出(国税庁)

    しばらく自分で記帳して、決算の前から付ける場合

    自分で記帳して決算前に依頼することを表したイラスト
    自分で記帳しておく形も、普通に選ばれています。

    三つ目が、会社設立のあとしばらくは自分で記帳しておいて、最初の決算が近づいてから税理士に依頼する形です。これも普通に選ばれている進め方です。決算と申告だけを専門家に依頼する場合と、そこから顧問契約に移る場合があります。

    この形を選ぶときに見ておきたいのは、次の点です。

    • 自分で記帳する時間が取れるか。取引の数が増えると、まとめて処理するのが難しくなります。
    • 会計ソフトの入力が正しくできているか。決算の前にまとめて直すと、手間が増えます。
    • 領収書や請求書の保存ができているか。帳簿書類の備付けと保存は青色申告の要件でもあります。
    • 依頼する時期に、税理士の側の繁忙期が重ならないか。
    • 決算だけの依頼を受けているかどうか。事務所によって扱いが違います。
    「あとからまとめて」は、こちらの手間にも返ってきます

    1年分の資料をまとめて渡すと、内容を確かめるやり取りがその分だけ増えます。自分で記帳する場合でも、月ごとに区切って進めておくと、決算のときに楽になります。これは依頼するかどうかとは関係なく、帳簿の作り方の話です。

    なお、決算の前から依頼する場合でも、設立時の届出は済んでいる必要があります。法人設立届出書や青色申告の承認申請書の期限は、決算よりずっと前に来るためです。自分で記帳する道を選ぶ場合は、この届出だけ会社設立の直後に単発で依頼しておく、という組み合わせもできます。

    出典C1-19 青色申告書の承認の申請(国税庁)

    いつ頼んでも、税理士に依頼できる範囲は同じです

    税理士に依頼できる範囲が時期で変わらないことを表したイラスト
    時期が変わっても、頼める仕事の枠は同じです。

    時期の話をしてきましたが、いつ依頼しても税理士に頼めることの範囲は同じです。税理士法2条1項が定める税務代理、税務書類の作成、税務相談の三つで、顧問契約という形にしても広がりません。

    顧問契約で依頼できる範囲に関わる税理士法・司法書士法・社会保険労務士法の条文を並べたカード

    ですから、顧問を付ける時期が早いか遅いかで、その専門家に頼める仕事の種類が増えたり減ったりすることはありません。変わるのは、その時点でまだ間に合う相談があるかどうかだけです。

    会社設立の場面でとくに間違えられやすいのが登記です。本店の移転や役員の変更といった設立後の登記も、司法書士(および弁護士)の分野です。顧問税理士が「登記もこちらで」と案内している場合は、提携する司法書士が担当しています。この形に問題はありません。

    「懲役」と書いてある解説に気をつけてください

    2025年6月1日から、刑法の改正にともなって「懲役」は「拘禁刑」に置き換わりました。いまも「2年以下の懲役」と書いてある解説は、それ以前の条文をそのまま写しています。条文を引くときは、確認した日付とあわせて見てください。

    出典税理士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2条1項が業務(1号税務代理・2号税務書類の作成・3号税務相談)、3条1項4号が公認会計士の資格、51条が弁護士の通知、52条が業務の制限、59条1項が罰則(2年以下の拘禁刑又は1…

    時期を決めるときに見る材料

    顧問を頼む時期を決める材料を表したイラスト
    事業の側の事情が、時期を決める合図になります。

    では、どうやって時期を決めるのか。合図になるのは事業の側の事情です。次のような項目に当てはまるものが増えてきたら、相談してみる時期だと考えられます。脅かすつもりで並べているのではなく、判断の材料として見てください。

    顧問税理士への依頼を考えはじめる目安になる項目を並べたチェックリスト

    いちばん上の「記帳に使う時間」は、専門家への依頼を考えるときの分かりやすい目安になります。会社設立の直後は取引が少なく、記帳もそれほど大変ではありません。取引が増えてきて、本業の時間が削られはじめたときが、依頼を考える自然なきっかけです。

    相談だけして、決めないという選び方もあります

    会社設立の依頼先を選ぶときと同じで、複数の専門家に話を聞いて、そのうえで「今は依頼しない」と決めても構いません。相談したら契約しなければならない、ということはありません。話を聞いた事務所の名前は控えておいて、必要になったときに連絡する、という進め方もできます。

    出典会社設立で代行できる手続きとは?専門家に依頼するメリット・デメリットと選び方(freee) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

    まとめ|時期は選べます。期限だけ見ておいてください

    顧問を付ける時期のまとめを表したイラスト
    時期は選べます。届出の期限だけ見ておいてください。

    会社設立のあと、顧問税理士をいつから付けるかについて、ここまでの内容をまとめます。

    • 時期に決まりはありません設立前でも、直後でも、決算の前でも構いません。付けないまま自分で記帳を続けるのも、普通の選択肢です。
    • 設立前にしか相談できないものがある資本金の額と決算期は、登記の前に決めます。あとから変えるには手続きと費用がかかります。
    • 設立直後は届出が集まる時期法人設立届出書は設立の日以後2か月以内。青色申告の承認申請書にも期限があります。届出だけの単発の依頼もできます。
    • 決算前から依頼する場合それまでの帳簿を整理して渡すことになります。自分で記帳するなら、月ごとに区切って進めておくと楽です。
    • 頼める範囲は時期で変わらない税理士法2条1項の三つが枠です。登記は司法書士、社会保険は社会保険労務士の分野です。
    • 合図は事業の側にあります記帳の時間が増えた、人を雇った、判断に迷う場面が出てきた。当てはまる項目が増えたときが相談の時期です。

    依頼する相手が登録された税理士かどうかは、名簿で確かめられます

    日本税理士会連合会が税理士情報検索サイトを公開しています。氏名や事務所の所在地から、登録されている税理士・税理士法人を検索でき、懲戒処分の有無まで確認できます。これは特定の事務所を勧めるものではなく、どの専門家を選ぶ場合にも共通して使える確認の手段です。会社設立の登記を依頼する司法書士についても、日本司法書士会連合会が同じような検索を用意しています。

    最後にもう一度だけ書いておきます。顧問を付けないと危ない、という趣旨の記事ではありません。会社設立のあと、記帳をご自身で続けている法人はたくさんあります。この記事は、専門家への依頼を考えはじめたときに、時期ごとに何が変わるのかを並べたものです。

    制度も条文も改正されます。この記事の内容は2026年9月1日時点で確認したものです。個別の判断は当サイトでは行っていません。実際に決められるときは、記事に添えた出典で最新の内容を確かめたうえで、税理士や司法書士といった専門家に直接ご相談ください。

    出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。

    決まりはありません。合図になるのは自分の側にあります

    会社設立のあと、顧問税理士をいつから付けなければならないという決まりはありません。設立の前でも、直後でも、最初の決算の前でも、その先でも構いません。会計ソフトで記帳をご自身で続けている法人もたくさんあります。時期を決める合図になるのは、事業の側の事情です。取引が増えて記帳に時間を取られはじめた、人を雇うことになった、資料の整理が追いつかなくなった。そういう変化が出てきたときが、専門家に相談してみる時期です。

    そのうえで、時期に関係なくやってくるものが一つだけあります。届出の期限です。法人設立届出書は設立の日以後2か月以内、青色申告の承認申請書にも期限があります。顧問を付けるかどうかを決めかねている間にも、この期限は進みます。届出だけを単発で依頼することもできますので、期限が近い場合は先にそこだけ相談してみてください。

    会社設立の依頼先を決めるときと同じで、顧問税理士も一度会って話してみるのがいちばん早いと思います。相談したからといって、その場で契約する必要はありません。当サイトでは個別の事務所の比較や順位づけはしていません。制度も改正されますので、実際に判断されるときは記事に添えた出典で最新の内容をご確認ください。

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