会社設立は税理士と行政書士のどっちに頼む?定款・許認可・税務の違いと、どちらも登記はできない理由
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- 飲食店や建設業など、許認可が要る事業で会社設立を考えていて、行政書士と税理士のどちらに先に相談すればよいか決めかねている方。
- 「会社設立 税理士 行政書士」で調べると、行政書士事務所は定款作成を、税理士事務所は設立サポートを前面に出していて、二つの違いがどこにあるのかが見えにくいと感じている方。
- このページでは、会社設立の場面で行政書士にできることと税理士にできることを、それぞれの法律の条文から並べます。事務所の比較や順位付けはしません。個別の論点は下に並ぶ記事で掘り下げているので、ここでは二つの資格の役割の地図を一枚にまとめることに絞ります。
- 会社設立で税理士に頼めること・頼めないことの全体を先に確かめたい方は、会社設立と税理士の全体像(トップ)からお読みください。
会社設立で税理士と行政書士にできること・できないことの一覧

会社設立を税理士に頼むか行政書士に頼むかで迷ったら、まず二つの資格に何ができて、何ができないかを並べてみるのが近道です。それぞれの専門家の仕事の範囲は法律で決まっていて、事務所の方針で広げたり狭めたりはできません。

行政書士の列には、定款・定款認証・許認可の三か所に丸があります。税理士の列には、税務の届出・税務相談・設立後の記帳と申告の三か所。二つの列は一行も重なっていません。会社設立の依頼先として並んで出てくるのは、同じ時期に両方の仕事が発生するからです。
そして、登記の行はどちらの列も空いています。会社設立の登記申請は司法書士(と弁護士)の仕事で、行政書士にも税理士にも頼めません。ここが、このテーマでいちばん誤解されやすいところです。
報酬を得て、他人のために業として行えるかどうかの話です。自分の会社の定款を自分で作ったり、税務の届出を自分で出したりするのは、資格がなくてもできます。
出典行政書士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2026年5月21日施行の改正で条がずれた。現行は1条の3が業務、1条の4が代理等、1条の2は職責。19条1項違反の罰則は21条の2(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)。
行政書士にできること。定款と許認可は行政書士法1条の3・1条の4から

「会社設立 行政書士 できること」の答えは、行政書士法の二つの条文にあります。1条の3が書類の作成を、1条の4が提出手続の代理や相談を定めています。会社設立に引き寄せて読むと、定款と許認可の二つが行政書士の仕事になります。

- 定款会社の目的・商号・機関などを定める書類で、「権利義務に関する書類」にあたります。株式会社なら、公証役場での認証の手続きまで依頼できます。
- 許認可建設業・飲食業・古物商など、営業を始めるのに官公署の許可や届出が要る事業の申請書類です。官公署に提出する書類として、行政書士の本来の分野です。
- 定款と許認可のつながり許認可の審査では、定款の事業目的が見られることがあります。会社設立と許認可を同じ行政書士に頼むと、この二つを一度に見てもらえます。
2026年5月21日に施行された改正で、行政書士法の業務の条が一つずつ繰り下がりました。現行の1条の2は「職責」の条で、業務の条ではありません。条番号を引く解説を読むときは、確認日を見てください。
なお、行政書士法2条は、税理士となる資格を持つ人も行政書士になる資格があると定めています。税理士が行政書士としても登録していれば、その人は定款や許認可の書類も扱えます。名刺や案内に両方の資格が書かれているかどうかは、確かめる価値があります。
出典行政書士の業務(日本行政書士会連合会)
税理士にできること。税務の届出と設立後の申告

税理士の仕事は税理士法2条1項が定める三つで、どれも「租税に関し」という枠のなかにあります。会社設立の場面に当てはめると、次のように整理できます。
行政書士との違いでいえば、税金に関する相談に応じられるのは税理士だけだという点が大きいと思います。税理士法52条は税理士でない者が税理士業務を行うことを禁じていて、59条1項で2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が定められています。行政書士が定款を作るときに「資本金はいくらが税金上有利か」まで踏み込めないのは、このためです。
反対に、税理士は定款の作成や許認可の申請書類を、税理士の資格では業として扱えません。定款は行政書士法19条1項で行政書士の業務とされているからです。前のセクションで見たとおり、行政書士としても登録している税理士であれば別です。
行政書士との関わりは、定款や許認可という出来事ごとに区切られることが多い一方、税理士との関わりは設立後の記帳と申告で毎月・毎年続きます。会社設立を税理士に依頼するのは、実質的には設立後の顧問を選ぶことに近いと考えておくと、比べ方を間違えません。
出典税理士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2条1項が業務(1号税務代理・2号税務書類の作成・3号税務相談)、3条1項4号が公認会計士の資格、51条が弁護士の通知、52条が業務の制限、59条1項が罰則(2年以下の拘禁刑又は1…
会社設立の税理士と行政書士、違いは向き合う役所と関わる時期

ここまでの内容を、会社設立の流れのなかで並べ直してみます。二人の専門家を見比べると、違いは、書類を出す役所と関わる時期で見ると、いちばんはっきりします。

二つ目の行を見ると、行政書士と税理士では書類を出す先の役所がまったく違うことが分かります。役所が違えば、そこへの書類を業として作れる資格も分かれます。違いの根っこは、ここにあります。
三つ目の行の「関わる時期」も大事です。行政書士は会社の成立前後のいくつかの山場に関わり、税理士は設立の少し前から始まって、そのあとずっと続きます。会社設立の依頼をどっちにするかという問いは、どの時期の手間を減らしたいかという問いでもあります。
出典税理士とは(日本税理士会連合会) 税務代理・税務書類の作成・税務相談の三業務と付随業務の範囲
行政書士に登記を頼むと違法?税理士も同じ線の外にいる

「会社設立 行政書士 違法」という検索が出てくるのは、行政書士が会社設立の登記まで扱えるのかどうかが分かりにくいからだと思います。答えは、行政書士は登記申請書類の作成も、登記申請の代理もできません。そして、これは税理士も同じです。
根拠は二段になっています。行政書士法1条の3第2項は、書類の作成であっても「他の法律において制限されているもの」は業務を行えないと定めています。その「他の法律」が司法書士法で、3条1項が登記の代理と法務局に出す書類の作成を司法書士の業務とし、73条1項が司法書士・司法書士法人以外の者に禁じています。違反すれば78条1項で1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。

実務では、会社設立を扱う行政書士や税理士の多くが司法書士と提携していて、登記の段だけ司法書士が担当する形で一件を仕上げています。この形そのものに問題はありません。依頼のときに「登記はどなたが担当されますか」と聞いて、司法書士の名前が出てくるかを確かめれば足ります。
「会社設立の書類を一式作成します」とだけ書かれ、担当する資格が分からない案内もあります。登記の書類は司法書士、定款は行政書士(または司法書士・弁護士)、税務の書類は税理士。特定の業者を指すものではありませんが、誰がどの書類を作るのかを聞けば、線を越えていないかは確かめられます。
出典司法書士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 3条1項1号〜5号が業務、同条8項が他法律による制限、73条1項が非司法書士の禁止、78条1項が罰則(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)。
許認可が要る業種なら、税理士と行政書士のどっちに先に相談するか

会社設立で税理士と行政書士のどっちに先に声をかけるかは、始める事業に許認可が要るかどうかで、だいたい決まります。許認可の要る業種では、定款の事業目的の書き方や、事務所・設備・人の要件が審査に関わることがあるからです。

許認可が要る場合でも、税理士への相談を後回しにしてよいわけではありません。資本金の額は許認可の要件に関わることがあり、同時に設立後の税金にも効いてきます。行政書士と税理士の両方に、定款を固める前に一度ずつ話を聞くのが、手戻りの少ない進め方だと思います。
どの業種に許認可が要るかは、中小企業基盤整備機構の解説や、商工会議所の許認可窓口の一覧で大まかに確かめられます。そのうえで、具体的な要件は所管の官公署か行政書士に確認してください。
許認可が要るかどうかがまだはっきりしない段階なら、どちらか一方に全部を依頼すると先に決めてしまう必要はありません。事業目的と許認可の関係だけをまず行政書士に相談し、税務の届出や設立後の記帳は税理士に依頼する、という分け方もできます。依頼する範囲を手続きごとに区切っておくと、それぞれの見積もりも読みやすくなります。
出典主な許認可窓口(東京商工会議所)
報酬の見方。行政書士は一括の統計だけ、税理士には公的な統計がない

会社設立のお金は、登録免許税や定款認証の手数料といった実費と、専門家に払う報酬に分かれます。実費は誰に依頼しても、自分で手続きしても同じ額です。専門家を比べるときに見るのは報酬の側だけです。
行政書士の報酬には、日本行政書士会連合会の報酬額統計調査があります。最新の令和7年度分(令和8年1月実施)で会社設立に関わるのは、「会社設立手続」という一括の項目だけです。株式会社と合同会社を分けた数値や、定款作成だけの数値はありません。

幅の広さを見てください。最小7,000円から最大550,000円まで開いているのは、同じ「会社設立手続」でも、定款だけなのか、認証まで含むのか、許認可の相談まで入るのかが事務所ごとに違うからです。金額を比べる前に、範囲をそろえる必要があります。
税理士の側には、会社設立の報酬について公的な統計がありません。比べるときは各事務所の公開料金を、設立時の金額と、設立後の顧問料の月額・最低契約期間まで並べて見ます。「設立手数料0円」と書かれていても、多くは顧問契約が前提で、実費や司法書士の報酬は別にかかります。事務所によって異なりますので、条件は必ず同じ画面で確かめてください。
出典報酬額の統計(日本行政書士会連合会) 令和7年度報酬額統計調査(令和8年1月実施)。消費税を含み立替金は含まない。会社設立手続は回答者287/平均106,371円/最小7,000円/最大550,000円/最頻値110,…
まとめ|会社設立の税理士と行政書士は、定款・許認可と税務で役割が分かれる

会社設立で税理士と行政書士のどっちに頼むか、あるいは両方に頼むかを考えるための要点です。
- 行政書士は定款と許認可行政書士法1条の3・1条の4が根拠。株式会社の定款認証の手続きも扱えます。
- 税理士は税務の届出と申告税理士法2条1項が根拠。税金の相談に応じられるのは税理士だけです。
- どちらも登記はできない行政書士法1条の3第2項と司法書士法73条1項により、登記は司法書士と弁護士の仕事です。
- 許認可が要るなら行政書士に先に事業目的の書き方は定款の前に決まります。税金の相談は税理士へ。
- 報酬は幅と範囲で見る行政書士は日行連の一括の統計だけ。税理士には公的な統計がありません。

資格は名簿で確かめられます
行政書士は日本行政書士会連合会の会員検索で、税理士は日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで登録を確かめられます。どちらも特定の事務所を勧めるものではなく、誰に依頼する場合にも使える確認の手段です。
会社設立の依頼先は、優劣ではなく受け持つ場面で選ぶものです。定款と許認可、税金、そして登記。それぞれの場面に合う専門家が誰かを押さえておけば、案内の言葉に迷わずに済みます。条文も統計も改められますので、判断の前には各セクションの出典で最新の内容をご確認ください。
出典行政書士会員検索(日本行政書士会連合会) 末尾スラッシュなしが実効URL。
二つの資格は、会社設立の別々の場面を受け持っています
行政書士が受け持つのは、会社の中身を書類にする定款と、事業を始めるための許認可です。税理士が受け持つのは、成立した会社が税とどう付き合うかです。どっちが上という話ではなく、受け持つ場面が違うだけです。そして、二人とも登記の申請はできません。そこは司法書士の仕事です。
許認可の要る業種なら、事業目的の書き方の段階から行政書士に相談しておくと、あとで定款を直す手間を避けやすくなります。設立後の記帳や申告を任せたいなら、資本金や決算期を決める前に税理士に声をかけておくと、届出までの流れが滑らかになります。
もちろん、定款を自分で作ることも、税務の届出を自分で出すことも合法です。どこまでを専門家に依頼するかは、時間と手間をどう配分するかで決めてください。この内容は2026年10月17日時点で確かめたものです。個別の判断は、行政書士・税理士それぞれの専門家に直接ご相談ください。
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