会社設立を税理士に相談するなら何を聞く?無料相談の入口と相談先の選び方
会社設立のことを、税理士に相談してみようか迷っている方へ
- 会社設立を考えていて、税理士に相談したほうがいいのか、相談するなら何を聞けばいいのかが分からずにいる方のための記事です。「起業の相談は誰にすればいいのか」「無料相談でどこまで聞いていいのか」と、相談先の選び方の段階で止まっている方も想定しています。
- 会社設立の相談は、ひとつの窓口で全部が済むわけではありません。税金のことは税理士、登記のことは司法書士、許認可は行政書士、社会保険は社労士と、相談の中身によって向いている相手が変わります。この記事ではまずその振り分けを示し、そのうえで税理士への相談に絞って、入口と聞くことを並べます。
- 特定の事務所を勧めたり、相談の質を比べたりはしていません。相談に行く前に持っておくと話が早く進む材料と、相談の場で確かめておきたい点をまとめています。
- 会社設立で税理士に頼めること・頼めないことの全体を先に確かめたい方は、会社設立と税理士の全体像(トップ)からお読みください。
1会社設立の相談は誰にする?税理士に相談できることと、ほかの専門家の担当

「会社設立 相談 誰に」と検索すると、税理士、司法書士、行政書士、商工会議所と、さまざまな相談先が出てきます。迷ったときは、相談したい中身から逆にたどると整理しやすくなります。士業の担当は法律で分かれているからです。

税理士が業として応じられるのは、税理士法2条1項の税務代理(1号)・税務書類の作成(2号)・税務相談(3号)です(税理士法)。会社設立の相談でいえば、設立前の税務の設計、設立後の届出、記帳と申告の進め方がここに入ります。
登記の申請代理と登記申請書類の作成は、司法書士法3条1項1号・2号が定める司法書士の業務です。税理士事務所に会社設立を相談して「登記もまとめて」と案内された場合は、提携の司法書士が登記を担当する形になっています。相談の場で、登記の担当者を確かめておいてください。
つまり、会社設立について税理士に相談するなら、税金と経理のことを中心に聞くのが話の早い使い方です。登記や許認可の細かいところは、それぞれの専門家に回ることになります。
出典税理士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2条1項が業務(1号税務代理・2号税務書類の作成・3号税務相談)、3条1項4号が公認会計士の資格、51条が弁護士の通知、52条が業務の制限、59条1項が罰則(2年以下の拘禁刑又は1…
2税務の相談は税理士の業務。無料でも、資格のない人には頼めない

会社設立の相談で意外と知られていないのが、税務の相談に乗ること自体が税理士の業務とされている点です。税理士法2条1項3号は、税務相談を税理士の業務に挙げています。そして同法52条は「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない」と定めています。

ここで押さえておきたいのは、お金を取るかどうかは関係ないということです。国税庁は、税理士・税理士法人などでない者が「有償・無償を問わず税理士業務を行うと、税理士法第52条違反として罰せられる」と案内しています(国税庁)。行政書士法19条1項のように「報酬を得て」という言葉が入っていない点が、ほかの士業の決まりと違うところです。
この決まりは、資格のない人が業として税務相談を受けることを禁じるものです。相談した側が罰せられるわけではありません。ただ、資格のない相手の助言で申告に誤りがあっても頼れる先がないので、税務のことを聞くなら相手が税理士かどうかを確かめるのが安全です。
出典No.9204 にせ税理士にご注意(国税庁)
3税理士の無料相談には、三つの入口がある

「起業 税理士 無料相談」と調べると、いくつもの窓口が出てきます。大きく分けると入口は三つです。どこがよいということではなく、相談の深さと、その後の依頼につながるかどうかが違います。
| 入口 | どんな相談か | 確かめておくこと |
|---|---|---|
| 税理士事務所の初回相談 | 会社設立を扱う事務所が、依頼前の相談を無料にしていることがある | 無料の範囲と時間、相談後の依頼が前提かどうか |
| 税理士会の無料相談 | 各地の税理士会が、納税者向けに税務の相談を受けている | 対象者、1回の時間、予約の方法、すでに税理士に依頼している人が使えるか |
| 公的な経営相談の窓口 | 商工会議所やよろず支援拠点など。経営全般の相談に応じ、必要に応じて専門家と連携する | 税務の個別の判断まで聞けるか、専門家の相談日があるか |
確認日 2026年10月17日。無料の範囲や条件は窓口ごとに、また時期によって変わります。
たとえば東京税理士会の納税者支援センターは、税務・会計の相談に会の税理士が無料で応じると案内しています(東京税理士会)。同じページには、税理士又は公認会計士に依頼している人は利用できないこと、1回の相談は25分までであること、面談やオンラインは予約制であることも書かれています。ほかの税理士会では条件が違うことがあるので、所在地の税理士会の案内で確かめてください。
公的な窓口では、商工会議所が地域で事業や創業を予定している人の相談に原則無料で応じ、必要に応じて税理士などの専門家と連携すると案内しています。よろず支援拠点も、国が設けた無料の経営相談所です。ただ、こうした窓口で個別の税務の判断までどこまで聞けるかは窓口によって違うので、決めつけずに問い合わせてみてください。
無料の相談は時間が限られていることが多く、会社設立のすべてを一度で聞き切るのは難しいものです。聞くことを絞って持っていき、答えをメモに残す。その使い方がいちばん役に立ちます。
出典納税者支援センター(東京税理士会) 税務・会計の相談に会の税理士が無料で応じる。税理士又は公認会計士に依頼している人は利用不可。1回25分まで。電話は予約不要、面談・オンラインは予約制。再度の相談はおおむね2か月後か…
4起業前に税理士に聞くこと。相談の時間を無駄にしない質問の並べ方

「起業 税理士 に聞くこと」は、検索でもよく調べられている語です。会社設立の前に税理士へ相談するなら、聞くことを税務のこと・進め方のこと・依頼の条件の三つに分けておくと、限られた時間でも話が散らかりません。

ここで気をつけたいのは、税理士に聞くことと、ほかの専門家に聞くことを混ぜないことです。定款の事業目的の書き方や許認可の要否は行政書士、登記の進め方は司法書士のほうが詳しく答えられます。税理士の相談の場で出てきたら、「それは誰に聞けばいいですか」と尋ねるのが近道です。
株式会社か合同会社か迷っている、資本金の見当がついていない、といった状態でも相談はできます。決まっていないことこそ相談の中身です。分からないことは分からないと伝えたほうが、具体的な答えが返ってきやすくなります。
出典税理士に相談する(日本税理士会連合会)
5相談の前にそろえておくと話が早い材料

会社設立の相談で一般論しか返ってこないときは、こちらの事情が相手に伝わっていないことが多いものです。次の材料を手元に用意しておくと、税理士の側も具体的に答えやすくなります。

とくに役に立つのが、事業の中身を一枚にまとめたメモです。売上の見込みが立っていなくても、どんな取引をするのかが分かれば、税理士は届出や記帳の話を具体的にできます。
出典経営相談|日本商工会議所(日本商工会議所)
6相談の場で、依頼の範囲と報酬の条件を確かめる

税理士事務所の相談では、会社設立の話から、そのまま依頼や顧問契約の話に進むことがよくあります。そのとき確かめておきたいのが、依頼の範囲と、報酬の条件です。
- 登記は誰が担当するか税理士は登記を扱えません。提携の司法書士が担当するのか、自分で司法書士に頼むのかを確かめます。
- 範囲はどこまでか設立時の届出まで、記帳まで、決算と申告まで。社会保険の届出は社労士の分野なので、含まれるかどうかも聞いておきます。
- 報酬の出し方税理士の報酬には公的な統計がありません。事務所ごとの料金表と見積もりで確かめ、総額で比べます。
- 顧問契約の条件月額、最低契約期間、解約の条件。設立の支援と顧問契約がセットになっていないかも確かめます。

多くは、税理士事務所が顧問契約を前提に設立サポート料を0円にし、登記は提携の司法書士が担当する組み立てです。①誰の報酬が0円か、②登記の実費と司法書士の報酬は別か、③顧問料の月額と最低契約期間・解約の条件、④総額でいくらか。この四つを相談の場で確かめてください。
相談の場では、話を聞いてもらうことと、正式に依頼することを分けて考えておくと落ち着いて判断できます。限られた時間の中で、会社設立のあとにどの届出が必要になりそうか、設立後の記帳や決算をどこまで任せられるかといった全体像を聞き、書類の作成や提出を任せるかどうかは、見積もりと契約の書面を受け取ってから決めれば足ります。
相談した税理士が、登記や社会保険の話に触れることもあります。ただ、それは手続きの全体像としての説明で、登記の申請は司法書士、社会保険の届出は社会保険労務士の業務です。実際に依頼する段になったら、それぞれを誰が担当するのかを確かめてください。提携する専門家を紹介してもらえる場合も、契約の相手と報酬の請求元がどこになるのかは、相談の段階で聞いておいてかまいません。
出典会社設立費用が0円で依頼できる税理士の注意点(税理士コンシェルジュ) 0円モデルの構造を説明する補助として使う。個別事務所の推奨には使わない。
7相談したあと、依頼するかどうかを決めるまで

相談に行くと、その場で依頼を決めなければいけないような気がするかもしれません。けれども、相談と依頼は別のものです。会社設立の相談をしたあと、どう進めるかはこちらで決めて構いません。

依頼すると決めたら、相手が登録された税理士かどうかを、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで確かめられます。国税庁も、税理士を探す方に向けて、日本税理士会連合会のホームページで登録されているすべての税理士・税理士法人の情報を見られると案内しています(国税庁)。特定の事務所を選ぶためではなく、どの相談先を選ぶ場合にも使える確認の手段です。
相談の結果、「今は税理士に頼まずに自分でやってみる」と決める方もいます。それも相談した意味のある結論です。会社設立を自分で進めることは合法で、ツールを使えば現実的な選択肢です。必要になったときに、相談した相手にもう一度連絡すればよいだけです。
出典税理士をお探しの方へ(国税庁)
8まとめ|会社設立の税理士相談は、聞くことと相談先を決めてから

会社設立の相談と税理士について、ここまでの内容をまとめます。
- 相談先は中身で選ぶ税金と経理のことは税理士、登記は司法書士、許認可は行政書士、社会保険は社労士。税理士に登記は頼めません。
- 税務相談は税理士の業務税理士法2条1項3号・52条。国税庁は、有償・無償を問わず税理士でない者の税理士業務は違反になると案内しています。
- 無料相談の入口は三つ事務所の初回相談、税理士会の無料相談、公的な窓口。対象者や時間などの条件は窓口ごとに違います。
- 聞くことは三つに分ける税務のこと、進め方のこと、依頼の条件。決まっていないことも、そのまま伝えて構いません。
- 依頼の条件を確かめる登記の担当、範囲、報酬、顧問契約。0円の案内は四つの点を聞いてから。
- 相談と依頼は別話を聞いてから決めれば十分です。自分で進めると決めるのも、意味のある結論です。
会社設立について誰かに相談しようと思えた時点で、準備はもう始まっています。聞くことを三つ書き出して、相談先を一つ選ぶ。そこから先は、相談の場で専門家と一緒に考えれば大丈夫です。
無料相談の条件や受付の方法は変わることがあります。この記事は判断の材料をまとめたもので、個別の判断は行っていません。実際に相談・依頼するときは、各窓口の最新の案内を確かめたうえで、税理士などの専門家に直接ご相談ください。
出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。
聞くことを三つに絞って、まず一度話してみてください
会社設立の相談は、準備に時間をかけすぎると、かえって動き出しが遅くなります。聞きたいことを三つに絞って、一度税理士と話してみるのがいちばん早いと思います。たとえば「決算期をどう置くか」「設立直後の届出を誰が出すか」「設立後の記帳を自分で続けられそうか」の三つです。
相談したからといって、その場で依頼を決める必要はありません。複数の相談先で話を聞いて比べるのも、話だけ聞いて自分で進めると決めるのも、どちらもふつうのことです。
この記事は2026年10月17日時点で確かめた内容です。無料相談の条件や受付の方法は、窓口ごとに、また時期によって変わります。実際に申し込むときは各窓口の案内を確かめ、ご自身の事情は税理士などの専門家に直接ご相談ください。
この記事は、依頼先を考えるのに役に立ちましたか。