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会社設立を税理士事務所に頼む前に何を確かめる?資格・対応範囲・提携先・料金の決まり方

公開 更新 約12分(7,030字) 会社設立は税理士に頼むべき?できること・費用・司法書士との違いの全てのことメディア 編集部 一次情報の確認日:2026年10月17日

会社設立を税理士事務所に頼む前に何を確かめる?資格・対応範囲・提携先・料金の決まり方

この記事を読んでほしい方

  • 会社設立を機に税理士を付けようと考え、「会社設立 税理士 事務所」で調べてみたものの、どの税理士事務所も同じことを書いているように見えて決められずにいる方。
  • 「起業に強い」「設立から丸ごと」といった案内を見て、それが実際に何を意味しているのかを、依頼する前に自分で確かめられるようにしておきたい方。
  • ここでは事務所の名前を挙げて比べることも、順位を付けることもしていません。書いているのは、税理士事務所という依頼先をどういう物差しで見ればよいかと、その物差しの根拠になっている条文や公的な仕組みです。会社設立そのものを自分で進めるか専門家に頼むかは、読んだうえでご自身で決めてください。
  • 会社設立で税理士に頼めること・頼めないことの全体を先に確かめたい方は、会社設立と税理士の全体像(トップ)からお読みください。

1会社設立で税理士事務所が担当できる範囲と、提携先に回る範囲

会社設立で税理士事務所が担当する税務の部分と、ほかの専門家に回る部分を表したイラスト
税理士事務所が自分の資格で引き受けるのは、税務の部分です。

会社設立の相談先として税理士事務所を探すと、多くの事務所が「設立から設立後まで」と案内しています。窓口としてはそのとおりでも、事務所の中の税理士が自分の資格で引き受けられる仕事は税務に限られます。まずは、会社設立に出てくる仕事を、担当できる専門家ごとに並べた表で、線の位置を確かめておきましょう。

会社設立の手続きごとに、税理士・司法書士・行政書士・社労士・弁護士のどれが担当できるかを示した表

税理士の業務は、税理士法2条1項が定める税務代理・税務書類の作成・税務相談の三つです。会社設立の場面に当てはめると、資本金や決算期を決めるときの税務の相談と、設立後に税務署や都道府県・市町村へ出す届出の作成・提出、そして設立後の記帳と申告がここに入ります。

反対に、設立登記の申請書類を作ることも、登記を代理することも、税理士の資格ではできません。司法書士法73条1項がこれを司法書士(と弁護士)に限っているためで、違反には同法78条1項で1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が定められています。健康保険・厚生年金の新規適用や労働保険の手続きは社会保険労務士、営業の許認可は行政書士の分野です。

「設立から丸ごと」と書く税理士事務所の中身

窓口が一つでも、登記は事務所に所属する司法書士か、提携している司法書士が担当しています。社会保険の届出も同じで、社労士が担います。この組み立て自体はごく普通のもので、依頼する側の手間も減ります。確かめるのは、それぞれの部分を誰が引き受けるのか、という一点です。

出典No.9203 税理士制度について(国税庁) Shift_JIS 配信。

2「税理士事務所」と「税理士法人」は、法律上どう呼び分けられているか

税理士事務所と税理士法人という二つの呼び名を表したイラスト
税理士事務所も税理士法人も、税理士法に根拠のある呼び名です。

会社設立の依頼先を探していると、「〇〇税理士事務所」「〇〇会計事務所」「税理士法人〇〇」と、いくつもの名乗り方に出会います。このうち「税理士事務所」と「税理士法人」は、税理士法に根拠のある呼び名です。

税理士事務所と税理士法人の呼び名を定めた税理士法の条文を並べたカード

整理すると、税理士が個人として業務を行う拠点が税理士事務所で、一人の税理士が持てるのは一か所だけです。税理士が共同で設立した法人が税理士法人で、社員はすべて税理士でなければなりません。法人のほうは名称に「税理士法人」の文字を入れることも決まっています(税理士法48条の3)。

一方で「会計事務所」という言い方は、条文の上で定義された名前ではありません。税理士事務所の通称として使われることもあれば、記帳の代行などを主に扱う事業所が名乗っていることもあります。名前だけでは、税理士が所属しているかどうかは分からないということです。

事務所か法人かで、頼める仕事は変わるのか

会社設立にかかわる税務という点では、どちらに依頼しても税理士の業務の範囲は同じです。違いが出るのは組織の形のほうで、法人は複数の拠点を持てる、複数の税理士がいる、といった特徴があります。規模が大きいほど良い、個人の事務所のほうが小回りが利く、といった一般論はどちらも当てはまる場合と当てはまらない場合があり、当サイトではどちらが優れているとは書きません。会社設立のあとに誰が担当になるのか、担当が代わることがあるのか、を直接聞いてみるほうが確かです。

名乗りに「税理士」が入っていたら、名簿で引けます

税理士法53条により、税理士でない者が「税理士」「税理士事務所」を名乗ることはできません。名乗っている以上、日本税理士会連合会の名簿で確かめられるはず、という見方ができます。逆に「会計事務所」「設立サポート」としか書かれていないときは、所属する税理士の氏名を尋ねてから名簿を引くとよいでしょう。

出典税理士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2条1項が業務(1号税務代理・2号税務書類の作成・3号税務相談)、3条1項4号が公認会計士の資格、51条が弁護士の通知、52条が業務の制限、59条1項が罰則(2年以下の拘禁刑又は1…

3「起業に強い税理士」という言い方は、何を指していることが多いか

起業に強いという言葉を確かめられる事実に置き換えることを表したイラスト
言葉の印象ではなく、聞けば答えが返ってくる事実で比べます。

会社設立について調べると、「起業に強い税理士」「創業特化の税理士事務所」という表現をたびたび見かけます。気持ちは伝わってくる言葉ですが、資格や公的な認定の名前ではありません。税理士はみな同じ試験・同じ登録の制度のもとにあり、「起業に強い」という区分が法律にあるわけではないからです。

では、この言い方は何を指しているのか。実際の案内を読んでいくと、だいたい次のどれか、あるいは組み合わせを言い表していることが多いようです。

  • 会社設立の手続きに慣れている設立直後の届出の期限や、資本金・決算期を決めるときの論点を、何度も扱ってきたという意味です。
  • 提携先がそろっている登記を担当する司法書士、社会保険を担当する社労士などとの連携が決まっていて、依頼者が自分で探さずに済む、という意味です。
  • 創業期の相談に乗る創業融資の準備や事業計画づくりの相談、補助金の情報提供など、税務以外の場面でも話を聞く体制がある、という意味です。
  • 小さな会社の顧問が多い立ち上げたばかりの会社の記帳や申告を多く受けている、という意味です。

どれも悪いことではありませんが、どれも依頼する側が自分で確かめられることです。「起業に強いですか」と聞いても答えは「はい」になりがちなので、質問のほうを具体的にしてみてください。たとえば「会社設立の届出は、どこまでを事務所で作成していただけますか」「登記を担当されるのはどちらの司法書士ですか」「設立後の記帳は、どちらが入力する形が多いですか」。答えの具体性が、そのまま専門家としての経験の厚みを表してくれます。

数字の実績は、何を数えたものかを確かめる

「設立実績〇〇件」といった数字は、事務所が自分で数えたものです。登記まで含めた件数なのか、相談だけの件数なのか、グループ全体の件数なのかで意味が変わります。数字の大小で優劣を判断するより、自分の会社設立と同じ形(株式会社か合同会社か、許認可の有無、従業員の予定)を扱った経験があるかを聞くほうが役に立ちます。

起業に強いという案内の言葉と、かわりに確かめる質問を並べた図

出典税理士とは(日本税理士会連合会) 税務代理・税務書類の作成・税務相談の三業務と付随業務の範囲

4会社設立を頼む税理士事務所の探し方|入口ごとの性質を知っておく

税理士事務所を探す入口がいくつもあることを表したイラスト
入口はいくつあっても、最後は名簿で確かめます。

税理士事務所の探し方には、いくつかの入口があります。どれを使っても構いませんが、入口ごとに見えるものと見えないものが違うので、性質を知っておくと遠回りが減ります。

  • 知人・取引先からの紹介
    実際の対応ぶりを聞けるのが強みです。一方で、紹介元と同じ業種・規模でないと、合うかどうかは別問題になります。
  • 検索と事務所のホームページ
    料金の表示や対応範囲を自分のペースで読めます。書かれている範囲が事務所ごとに違うので、同じ物差しで並べ直す必要があります。
  • 税理士の紹介サービス
    条件を伝えると候補を紹介してもらえる民間の仕組みです。手軽ですが、紹介の対象は登録している事務所に限られる、という前提があります。
  • 金融機関・商工会議所・自治体の創業窓口
    創業の相談のついでに、専門家の情報を得られることがあります。公的な窓口は特定の事務所を推すことはしないのが普通です。
  • 税理士会・日本税理士会連合会
    名簿で登録の有無を確かめる入口です。紹介ではなく、確認のための入口として使います。
  • 国税庁も「税理士をお探しの方へ」という案内を出しており、税理士を探すときは各地の税理士会や日本税理士会連合会の情報を使うよう案内しています。どの入口から見つけた事務所でも、最後は名簿で確かめる、という順番にしておくと安心です。

    会社設立を頼む税理士事務所を探してから決めるまでの流れを六つに分けた図

    探しはじめる前に一番効くのは、1の「頼みたい範囲を書き出す」です。会社設立の手続きの相談だけなのか、設立後の記帳と申告まで任せたいのか。ここが決まっていないと、どの税理士事務所の案内を読んでも「よさそう」に見えてしまいます。

    出典税理士をお探しの方へ(国税庁)

    5税理士事務所の選び方|会社設立のときに見る六つの観点

    会社設立で税理士事務所を選ぶ六つの観点を表したイラスト
    六つの観点のうち、資格の確認だけは必ず最初に。

    ここからは選び方です。会社設立のときに税理士事務所を見比べる観点を、六つに絞りました。それぞれの深掘りはこのカテゴリーの子記事に譲り、ここではなぜその観点が要るのかを短くまとめます。

    会社設立で税理士事務所を選ぶときに確かめる六つの観点を並べたチェックリスト

    一つ目を最初に置いている理由

    資格の確認を先頭にしているのは、ほかの五つはどれも「その人が税理士である」ことを前提にした話だからです。日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトでは、登録されている税理士・税理士法人を氏名や所在地から引くことができ、懲戒処分の有無も確認できます。特定の事務所を勧めるための仕組みではなく、誰を選ぶ場合にも使える確認の手段です。

    三つ目は、会社設立ならではの観点

    顧問税理士を選ぶだけなら、登記や社会保険の話はあまり出てきません。会社設立の依頼では、税理士事務所が窓口になって司法書士や社労士といったほかの専門家の仕事まで段取りすることが多いため、この観点が加わります。ここで「税理士が登記もやります」という答えが返ってきたら、それは税理士の資格では引き受けられない仕事なので、もう一度確かめてください。

    全部に満点の事務所を探す必要はありません

    六つすべてで条件がそろう依頼先は、そう多くありません。会社設立の時点で一番困ることは何か、を先に決め、その観点で納得できる専門家を選ぶ。残りは、契約の書面で範囲を決めておけば足ります。

    出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。

    6料金の決まり方|税理士事務所の見積もりで見るところ

    税理士事務所の料金がどう決まるかを表したイラスト
    税理士の報酬は、幅や統計ではなく決まり方で見ます。

    料金について、先に前提を書いておきます。司法書士と行政書士には、全国団体が会社設立の報酬について公表している統計があります。けれども税理士には、会社設立や顧問の報酬の相場を示す公的な統計がありません。報酬は事務所ごとに決められているため、当サイトでは税理士事務所の料金を一つの相場として示すことはしていません。

    日本税理士会連合会には「税理士実態調査」という調査があり、第7回の報告書が公開されています。ただしこれは、税理士の業務や事務所の実態を調べた調査です。報酬の基準を定めたものでも、会社設立の料金の相場を示したものでもありません。目安として引用されているのを見かけたら、何を調べた調査なのかを確かめてから読むようにしてください。

    会社設立の見積もりを実費と報酬に分けて読むことを示した図

    会社設立の費用は実費と報酬に分かれ、実費は誰に頼んでも、自分で手続きしても同じです。依頼する専門家ごとに差が出るのは報酬の側だけなので、見積もりではまずこの二つが分かれて書かれているかを見ます。そのうえで報酬の側について、何によって金額が動くのかを聞きます。売上の規模、取引の量、記帳をどちらがするか、訪問や面談の回数、従業員の人数、消費税の申告があるか。このあたりが料金を左右する要素としてよく使われています。

    設立時の料金と、設立後の料金を分けて聞く

    税理士事務所の会社設立サポートは、設立後の顧問契約と組み合わせて案内されることがよくあります。その場合、設立時の金額だけを見ても判断できません。設立時にいくら、設立後は毎月いくらで、最低の契約期間はあるか。時期を分けて聞くと、総額が見えてきます。顧問契約を条件にした案内の読み方は、「会社設立 税理士 セット」のカテゴリーで扱っています。

    出典第7回税理士実態調査報告書 – 日本税理士会連合会(日本税理士会連合会) 令和6年4月実施、回答38,607件・回答率44.8%。顧問報酬・決算報酬の分布を各編PDFで公開

    7記帳の担当と連絡の手段は、会社設立のあとに効いてくる

    会社設立のあとに続く記帳と連絡のやり取りを表したイラスト
    設立のあとに続く部分ほど、最初に決めておく意味があります。

    会社設立の手続きそのものは数週間で終わりますが、税理士事務所との付き合いは、顧問契約を結べばその後も毎月続きます。設立の時点では見落としやすい、続く部分の確かめ方にも触れておきます。

    記帳は、税理士の業務に付随する仕事

    帳簿をつける作業は、税理士法2条1項の三つの業務そのものではなく、同条2項で税理士が「税理士業務に付随して」業として行えるとされている仕事の一つです(財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務)。そのため、記帳を事務所に任せるのか、会社の側で会計ソフトに入力して事務所に見てもらうのかは、契約でどちらにも決められます。

    記帳を自分で入力するか任せるかで、確かめる項目が分かれることを示した図

    連絡の手段と、誰が答えるのか

    会社設立の直後は、細かな疑問が次々に出てきます。電話・メール・チャットのどれが主な窓口なのか、返事の目安はどれくらいか、税理士本人が答えるのか担当の職員が窓口になるのか。職員が窓口でも構いませんが、税理士法41条の2は、税理士が使用人などを使うときに業務が適正に行われるよう監督する義務を定めています。税務の判断は税理士が行い、職員が資料の整理ややり取りを担う、という分担になっているかを聞いておくと安心です。

    設立直後の届出の担当を、先に決めておく

    法人設立届出書は、設立の日以後2か月以内に納税地の所轄税務署長へ出すこととされています。青色申告の承認申請にも期限があります。税理士事務所を探している間に期限が過ぎてしまわないよう、どの届出を事務所が作成するのか、いつ出すのかを、依頼の最初に確かめておいてください。

    出典C1-4 内国普通法人等の設立の届出(国税庁)

    8まとめ|会社設立の税理士事務所は、名簿・範囲・提携先で選ぶ

    会社設立を頼む税理士事務所を決めるための要点を表したイラスト
    名簿で確かめ、範囲と提携先を聞き、決まり方で比べます。

    会社設立を税理士事務所に依頼するときに確かめたいことを、最後に短くまとめます。

    • 税理士が引き受けるのは税務税務代理・税務書類の作成・税務相談(税理士法2条1項)。設立登記は司法書士、社会保険は社労士、許認可は行政書士の分野です。
    • 事務所と法人は条文上の呼び名税理士事務所は税理士一人につき一か所(税理士法40条)、税理士法人は税理士が共同で設立する法人(同48条の2)。頼める税務の範囲は変わりません。
    • 「起業に強い」は資格の名前ではない経験・提携先・創業期の相談体制など、確かめられる事実に置き換えて聞きます。
    • 探し方は自由、確認は名簿で紹介でも検索でも構いません。最後に税理士情報検索サイトで登録を確かめます。
    • 料金は決まり方で比べる税理士の報酬に公的な相場の統計はありません。実費と報酬を分け、設立時と設立後を分けて聞きます。
    • 記帳と連絡は先に決める記帳をどちらがするか、誰がどの手段で答えるか。設立のあとに毎月効いてきます。

    ここまで読んで、「やはり自分で会社設立を進めて、税理士は決算のときだけ頼もう」と考える方もいるはずです。それも十分に成り立つ選び方です。依頼する範囲を決めるのはあくまで会社の側で、税理士事務所の案内はその材料の一つにすぎません。

    個別の事情でどの範囲を頼むのがよいか、見積もりが妥当かといった判断は、当サイトでは行っていません。迷うところは、候補の専門家に直接たずねるか、日本税理士会連合会や各地の税理士会の相談の案内をご覧ください。制度と条文は改められることがあります。この記事の内容は2026年10月17日時点で確認したものです。

    出典税理士に相談する(日本税理士会連合会)

    最後にひとつだけ、お願いがあります

    会社設立の前後は、知らない言葉と締め切りが一度に押し寄せる時期です。そのなかで依頼先を一つ決めるのは、思っている以上に気力を使います。だからこそ、看板の言葉ではなく、自分で確かめられる事実を手がかりにしてください。名簿に載っているか、範囲がどこまでか、登記は誰が担当するのか、記帳はどちらがするのか、料金は何で動くのか。

    この五つを、候補の税理士事務所それぞれに同じ順番で聞いてみると、答え方の違いがそのまま事務所の進め方の違いとして見えてきます。聞かれて困る専門家はいませんし、聞き方が整っている依頼者は、事務所の側にとっても話が早い相手です。

    なお、税理士を付けずに会計ソフトで記帳と申告に取り組む会社もあります。どちらが正しいということはありません。依頼すると決めたときに、何を確かめればよいか。この記事はその材料を並べただけです。制度や条文は改められることがあるので、判断の前には添えてある出典で最新の内容をご確認ください。

    この記事は、依頼先を考えるのに役に立ちましたか。

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