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会社設立に税理士は必要か?いらない人と頼んだほうが楽な人を分ける4つの物差し

公開 更新 約12分(6,617字) 会社設立は税理士に頼むべき?できること・費用・司法書士との違いの全てのことメディア 編集部 一次情報の確認日:2026年10月17日

会社設立に税理士は必要か?いらない人と頼んだほうが楽な人を分ける4つの物差し

「会社設立に税理士は必要?」で手が止まっている方へ

  • 会社設立を考えはじめて、税理士は必要なのか、いらないのかを決めきれずにいる方に向けた記事です。「一人社長なら税理士なしで十分」という声と、「法人は税理士がいないと回らない」という声の両方を目にして、どちらを信じればよいのか迷っている方を想定しています。
  • 先にお伝えしておくと、会社設立そのものにも、設立後の申告にも、税理士への依頼を義務づける決まりはありません。それでも依頼する人が多いのには理由があります。この記事では、その理由をばらして、ご自身がどちら側にいるのかを確かめるための物差しを四つ並べます。
  • 税額を下げる工夫や、設立の手順そのものは扱いません。税理士が必要かどうかを決めるための判断材料と、税理士にできること・できないことの線引きに絞っています。
  • 会社設立で税理士に頼めること・頼めないことの全体を先に確かめたい方は、会社設立と税理士の全体像(トップ)からお読みください。

会社設立に税理士は必要か。先に、税理士が担当する範囲を表で確かめる

会社設立の手続きごとに担当できる専門家を天秤で整理したイラスト
税理士の担当は税務。登記は司法書士の業務です。

「会社設立に税理士は必要か」という問いには、じつは二つの意味が混ざっています。ひとつは会社をつくる手続きに税理士が要るか、もうひとつは会社ができたあとに税理士が要るかです。前者の答えは比較的はっきりしていて、設立の手続きの中心は税理士の担当ではありません。

会社設立でやることは、登記、定款、税務の届出、社会保険の届出、許認可に分かれ、それぞれ業として扱える資格が法律で決まっています。税理士が担当できるのは、このうち税務の部分です。

会社設立の各手続きを、税理士・司法書士・行政書士・社労士・弁護士のどの資格が担当できるかを示した表

税理士の業務は、税理士法2条1項が税務代理(1号)・税務書類の作成(2号)・税務相談(3号)の三つとして定めています(税理士法)。登記の申請代理と登記申請書類の作成は司法書士法3条1項1号・2号が定める司法書士の業務で、司法書士でない者が業として行うことは同法73条1項で禁じられています。

「税理士が登記までやってくれる」わけではありません

税理士事務所が「会社設立をまとめて」と案内している場合、登記の部分は提携している司法書士が担当しています。この形そのものは問題ありませんが、依頼するときは「登記はどなたが担当されますか」と確かめておくと、あとで話が食い違いません。

つまり、会社設立に税理士が必要かどうかを考えるときは、設立の手続きより、設立後の税務をどうするかに目を向けたほうが話が早く進みます。以下はその前提で読み進めてください。

出典税理士法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 2条1項が業務(1号税務代理・2号税務書類の作成・3号税務相談)、3条1項4号が公認会計士の資格、51条が弁護士の通知、52条が業務の制限、59条1項が罰則(2年以下の拘禁刑又は1…

法律上は、税理士なしで会社設立も申告もできる

会社が自分で手続きをしている様子を建物で表したイラスト
申告の義務は会社にあります。税理士への依頼は義務ではありません。

まず押さえておきたいのは、税理士に依頼しないこと自体は、どこにも違反しないという点です。法人税法74条1項は、内国法人が各事業年度終了の日の翌日から2月以内に確定申告書を提出しなければならないと定めています(法人税法)。義務を負っているのは会社であって、税理士に頼むことまでは求めていません。

設立の手続きも同じです。司法書士法73条1項が禁じているのは、司法書士でない者が他人のために業として登記の手続きをすることです。自分の会社の登記を自分で申請する本人申請は、この制限の外にあります。法務局は申請書の様式と記載例を公開しており、本人が申請することを前提にした案内も用意されています。

資格の制限がかかる場面とかからない場面を左右に分けた図

ですから、「税理士なしで会社設立をするのは危ない」という言い方は正確ではありません。危ないかどうかは法律ではなく、自分にその作業を回す時間と知識があるかで決まります。ここを切り分けておくと、必要か不要かの判断がぐっと具体的になります。

本人がやることと、知人に頼むことは別の話です

自分でやるのは自由ですが、資格のない知人や業者に報酬を払って申告書の作成を頼むのは別問題です。国税庁は、税理士でない者が有償・無償を問わず税理士業務を行うと税理士法52条違反になると案内しています。手伝ってもらう場合は、相手が税理士かどうかを確かめてください。

出典法人税法(e-Gov法令検索(デジタル庁)) 74条1項=確定申告は各事業年度終了の日の翌日から2月以内。122条2項1号=設立事業年度の青色申告承認申請は、設立の日以後3月を経過した日と事業年度終了の日のいずれか早い日の前日…

一人社長・小さい会社・株式会社で、税理士の必要性はどう変わるか

一人社長と小さい会社のつながりを表したイラスト
会社の形より、作業の量と判断の場面で必要性が変わります。

検索でよく見かけるのが「一人社長に税理士は必要か」「小さい会社に税理士はいらないのでは」「株式会社なら税理士が必要か」という問いです。答えの土台は同じで、どの形でも税理士への依頼は義務ではありません。違いが出るのは、作業の量と、判断に迷う場面の多さです。

一人社長の場合

代表者ひとりで始める会社は、取引の数も役員の数も少なく、会社設立の書類も比較的シンプルです。法務省も、一人会社の設立登記については完全オンライン申請を案内しています。設立後も、取引が少ないうちは自分で記帳を続けている一人社長は珍しくありません。ただ、本業と経理を同じ一人が抱えることになるため、忙しい時期に帳簿が後回しになりやすいという面はあります。

小さい会社の場合

従業員が数名いる小さい会社では、記帳に加えて給与の計算や源泉徴収、年末調整の作業が加わります。人を雇うと、健康保険・厚生年金や労働保険の手続きも始まりますが、こちらは税理士ではなく社会保険労務士の担当です。税理士が必要かどうかと、社労士が必要かどうかは、分けて考えてください。

株式会社と合同会社で違うか

株式会社だから税理士が必要、合同会社だから不要、という区別はありません。どちらも法人として決算と申告を行います。設立の段階では、株式会社には定款の認証があり、合同会社にはないという違いがありますが、これは税務ではなく定款と登記の話です。

一人社長の会社と人を雇う小さい会社で、増える作業を比べた図

出典法務省:一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!(法務省) 一人株式会社・一人合同会社は公的個人認証サービス電子証明書で全添付書面に電子署名でき、完全オンライン申請が可能

税理士が必要か不要かを分ける四つの物差し

四つの判断基準をチェック欄に並べたイラスト
引っかかった項目だけを依頼する、という考え方もできます。

ここからが本題です。会社設立にあたって税理士が必要か、いらないかは、次の四つを順に当てはめると見えてきます。

  • 時間を割けるか毎月の記帳と、年に一度の決算・申告にどれだけ時間を使えるか。調べながら進める時間も含めて考えます。本業が立ち上がる時期ほど、ここが窮屈になります。
  • 許認可が要る業種か建設業や飲食業など、営業に許認可が要る業種では、定款の事業目的や資本金の額が要件に関わることがあります。これは主に行政書士に相談する話で、税理士が必要かどうかとは別の軸です。
  • 会社の中身が込み入っているか出資者が複数いる、役員が複数いる、現金以外のものを出資する。人と取り決めが増えるほど、設立の時点で決めることも、税務で判断する場面も増えます。
  • 設立後の申告を自分で組み立てられるか法人の申告は、決算書を作り、法人税・地方税の申告書を作るところまでを含みます。最初の一回をどうするかが、いちばんの分かれ目になりやすいところです。
税理士なしで会社設立と設立後の税務を進められるかを点検するチェックリスト

この四つは混ざるのが普通です。たとえば、時間はあるけれど許認可が要る、ひとりで始めるけれど最初の決算には自信がない、といった具合です。全部が自分寄り、全部が依頼寄り、という人のほうが少ないと思います。混ざっている場合は、引っかかった項目だけを専門家に頼むという考え方ができます。許認可なら行政書士、人の手続きなら社労士、税務なら税理士と、項目ごとに相談する専門家が違うことも覚えておいてください。

出典株式会社の設立手続き(中小企業基盤整備機構 J-Net21)

税理士がいらないと言い切れないのは、設立後の申告が待っているから

設立後の期限を時計で表したイラスト
設立の日から、税務の期限が動きはじめます。

会社設立の手続き自体は、税理士がいなくても進められます。それでも「税理士は不要」と言い切れないのは、設立後の一年に、税務の作業が切れ目なく続くからです。大まかな流れを並べてみます。

会社設立から最初の確定申告までの税務の流れを六つの段階で示した図

法人設立届出書の期限は、国税庁の案内でも「法人設立の日(設立登記の日)以後2月以内」とされています(国税庁)。青色申告の承認申請は、設立の日の属する事業年度については、設立の日以後3月を経過した日とその事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日が期限です(法人税法122条2項1号)。

このあたりの届出は、様式に沿って書けば自分でも出せます。重くなるのは、そのあとの毎月の記帳と、最初の決算・申告です。個人の確定申告の経験があっても、法人の決算は書類の種類も確認することも増えます。税理士への依頼を考える人の多くは、この最初の決算をきっかけにしています。

届出の期限と、決算の時期は別に考える

届出は設立直後に集中し、決算と申告は事業年度の終わりにやってきます。どちらか一方だけを税理士に頼むこともできます。届出を自分で出して決算だけ頼む人もいれば、届出だけ頼んで記帳は自分でやる人もいます。いつ頼むかの詳しい話は、タイミングのカテゴリーで扱っています。

出典C1-4 内国普通法人等の設立の届出(国税庁)

会社で税理士を雇わない場合に、代わりに頼れるもの

ノートパソコンで自分で帳簿をつけている様子のイラスト
税理士なしで進めるなら、聞ける先を先に決めておきます。

「会社 税理士 雇わない」と検索する方は、費用を抑えたい、自分でできるところは自分でやりたい、と考えていることが多いと思います。その選び方は十分に成り立ちます。専門家に頼まないことは、手を抜くこととは違います。ただ、分からないことが出てきたときに聞ける先は、税理士なしで進めるなら先に決めておいたほうが安心です。

  • 会計ソフト
    取引を入力すると帳簿や決算書の形にまとめてくれる道具です。あくまで本人が使う道具で、判断まで代わってくれるわけではありません。
  • 税務署の窓口
    申告や届出の手続きについて、一般的な質問ができます。個別の事情に踏み込んだ判断は求めにくい場面もあります。
  • 税理士会の無料相談
    各地の税理士会が、納税者向けに無料の税務相談を設けています。相談時間や回数、すでに税理士に依頼している人は対象外とするなどの条件を設けている会もあるので、利用前に確かめてください。
  • スポットの依頼
    顧問契約を結ばずに、設立時の届出だけ、決算と申告だけを税理士に依頼する形です。受けているかどうかは事務所によって違います。
  • ここで気をつけたいのは、相談に乗ってくれる相手が税理士かどうかです。税務相談は税理士法2条1項3号で税理士の業務とされ、税理士でない者が業として行うことは同法52条で禁じられています。知人の紹介や安さを理由に資格のない人へ申告書の作成を頼むと、内容に誤りがあったときに頼れる先がなくなります。

    自分で続けるのは、ちゃんとした選択です

    会計ソフトで記帳し、決算と申告も自分で行っている法人はたくさんあります。税理士なしで会社を回すこと自体を心配する必要はありません。大事なのは、自分で抱えきれなくなったときに切り替えられるよう、相談先と期限を把握しておくことです。

    出典No.9203 税理士制度について(国税庁) Shift_JIS 配信。

    税理士が必要になったら、必要な部分だけ依頼する

    必要な部分だけ書類を受け渡しているイラスト
    必要な部分だけ、税理士に依頼することができます。

    税理士が必要だと感じたときも、いきなり毎月の顧問契約を結ぶ必要はありません。専門家の側も、相談の内容に応じて頼み方を提案してくれることが多いものです。会社設立のまわりでは、依頼する単位を選べることを知っておくと、必要か不要かの二択で悩まずに済みます。

    税理士への依頼の単位(会社設立のまわり)
    頼み方 中身 向いている人
    設立時の届出だけ 法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書など 期限のある書類だけ確実に出しておきたい人
    決算と申告だけ 自分でつけた帳簿をもとに、決算書と申告書を作ってもらう 記帳は自分でできるが、決算に自信がない人
    記帳から申告まで 毎月の帳簿づけから決算・申告、税務相談まで 本業に時間を割きたい人、取引が多い人
    設立前の相談だけ 資本金や決算期を決める前に、税務の面から意見を聞く 設立後は自分でやるつもりの人

    確認日 2026年10月17日。どの単位で受けているかは事務所によって異なります。

    会社設立の手続きを専門家に依頼する場合は、費用の考え方も押さえておきましょう。会社設立の費用は実費(法定費用)と報酬に分かれ、実費は誰に依頼しても自分でやっても同じ額です。税理士が必要かどうかで変わるのは、報酬の部分だけです。

    会社設立の費用が実費と報酬に分かれることを示した図
    「設立手数料0円」と書かれていたら

    税理士事務所が顧問契約を前提に設立サポート料を0円にし、登記は提携の司法書士が担当する、という組み立てが多く見られます。誰の報酬が0円なのか、登記の実費と司法書士の報酬は別か、顧問料の月額と最低契約期間はどうかを確かめ、総額で比べてください。

    出典会社設立で代行できる手続きとは?専門家に依頼するメリット・デメリットと選び方(freee) 実務上の運用と料金の目安の補助として使う。法解釈の出典には使わない。

    まとめ|会社設立に税理士が必要かは、設立後の一年で決まる

    資格を確かめる認証バッジのイラスト
    必要になったら頼む、という順番でも構いません。

    会社設立に税理士は必要か、という問いへの答えを短くまとめます。

    • 義務ではない会社設立にも申告にも、税理士への依頼を義務づける決まりはありません。申告の義務は会社が負います(法人税法74条1項)。
    • 設立の手続きは税理士の担当外が多い登記は司法書士、定款は司法書士・行政書士、社会保険は社労士。税理士の担当は税務の届出と設立後の税務です。
    • 一人社長でも株式会社でも土台は同じ違いが出るのは作業の量と判断の場面の数です。人を雇うなら社会保険の手続きは社労士へ。
    • 四つの物差し時間、許認可、会社の中身、設立後の申告。引っかかった項目だけ依頼する考え方もできます。
    • 頼む単位は選べる届出だけ、決算だけ、記帳から申告まで、設立前の相談だけ。顧問契約だけが頼み方ではありません。

    税理士なしで会社設立を進めるのも、最初から税理士に依頼するのも、どちらも正しい選び方です。不要と判断したあとで、必要になったら頼むという順番でも問題ありません。そのときに慌てないよう、届出と申告の期限だけは手帳に書いておいてください。

    依頼する前に、資格を確かめる

    税理士に依頼するときは、相手が登録された税理士かどうかを日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで確かめられます。これは特定の事務所を勧めるためのものではなく、どの専門家に頼む場合にも使える確認の手段です。登記を頼む司法書士についても、日本司法書士会連合会が同じような検索を公開しています。

    ここに書いたのは判断の材料です。ご自身の会社に税理士が必要かどうかの個別の判断は、当サイトでは行っていません。実際に決めるときは、記事に添えた出典で最新の制度を確かめたうえで、税理士などの専門家にご相談ください。

    出典税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会) 登録内容のほか懲戒処分の有無も確認できる。

    必要かどうかは、設立後の一年を思い浮かべて決めてください

    会社設立に税理士が必要かどうかは、設立の手続きよりも、設立したあとの一年をどう過ごすかで決まります。記帳に毎月どれくらい時間を割けるか、最初の決算と申告を自分で組み立てられそうか。そこが見えていれば、税理士なしで始めるのも、最初から依頼するのも、どちらも筋の通った選び方です。

    迷っているなら、いきなり顧問契約を結ぶ必要はありません。設立時の届出だけ、最初の決算だけ、という頼み方もあります。一度話を聞いてみて、それでも自分でやれそうだと思えば、その判断で構いません。

    制度は改正されることがあります。この記事は2026年10月17日時点で確かめた内容です。ご自身の場合に税理士が必要かどうかの最終的な判断は、事情を伝えたうえで税理士などの専門家にご相談ください。

    この記事は、依頼先を考えるのに役に立ちましたか。

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